色々あるけど、眼に映る状況を伴っての思い出があるという点で、これかな〜。
当時、卒業を間近にしていても家業を継ぐ事が決まっているので就職活動もせずに
イラスト中心のアルバイトに励んでいた。
で、渋谷にあったコンサルタント会社からとてもいい条件で請け負った複数のイラスト、
これが難しくてお互いに電話でのやり取りを経て、やっとの事で構成が決まったのが
納品日の二日前という慌ただしさ。
さあ、やるぞぉ〜〜!と二階の自室に篭って筆洗やらポスカラやらを自分の周囲に配置して
イラスト制作にとっかかってからは、トイレに行く時間さえも惜しんで描きに描いた。
確か秋口だったと思うが、暑かったので窓は開けっ放しにしてラジオを聴きながらの作業。
夕方から夜になり、深夜放送も聞き流して時間との戦いが続き、やっと脱稿できたのは
夜明けも近くスズメがその日初めてのさえずりを始める頃だった。
「ふぅ〜、やれやれ」と窓辺に腰掛けてハイライトに火を点け、吐き出す煙が朝風に
流れる様を見ている時に、ラジオから聞こえて来たのがこの歌だった。
その時のイラストは写真に撮って残しておいたが、後年になってもう一度見直すと
これがすっごくいい出来!「お前、やればできる子だったんだな」と自分を褒めてやったのだが、
仕事、結婚、育児、建て替え、と続くうちにどこかに消えてしまったのがいかにも口惜しい。