19世紀のヨーロッパ絵画といえばモネなどの印象派といわれる絵が有名だろう。

モネは風景画家として有名だが、こんな絵も描いている。
ラ・ジャポネーズ

明らかに日本を意識した絵である。
19世紀は日本ブームだったのである。



19世紀後半、フランスのナポレオン3世によって開かれたパリ万博に日本が初めて出展した。

公式の万博はパリが2回目でロンドンが1回目であるが、ロンドンの時は日本は出展できなかった理由があった。

それは鎖国である。

ちょうどロンドン万博とパリ万博の間で
浦賀に黒船が来航し日本は開国したのである。

このような時代背景もあり、日本という国は今まで他国には謎の国とされており、パリ万博では突如として現れた謎の集団だったわけである。

そしてそんな日本の出展というのが浮世絵などであった。


当時のヨーロッパ絵画は写実主義が一般的で、見たものをそのまま、ありのままに描写するのが良いとされていた。

そんな中で日本の絵は衝撃であった。



例えばこれは富嶽三十六景であるが、
こんな荒波が現実におこることはあるだろうか?

波の向こうにあんなにはっきりと富士山が見えるだろうか?

これは言わばありのままの写実的ではない。





荒波を見て、その数日後目を閉じてその波を思い出す。

「あの波はすごい高かったなぁ!」

「船がすごい斜めになっていたなぁ!!」

「そう言えば遠くに富士山が見えたなぁ!!」

という風に瞼の裏には風景が蘇る。

しかしその風景は実際のものではなくその荒波のそして富士山の「印象」を捉えた回想なのである。


印象とは目に映ったそのままではなく、目に映ったそれを心の中で一旦昇華したイメージのことなのである。


この日本流の印象主義にヨーロッパの人々は心を打たれ、日本主義、印象主義が19世紀のヨーロッパ絵画のトレンドとなったのであった。