『アルケミスト』。
正式名称は『アルケミスト ~夢を旅した少年~』である。
私がこの書籍を知ったのは、数年前の事。
錦糸町のくまざわ書店をぶらついていた時に、ふと気になる帯の内容があり、手に取った。
開いてみると、それはノベルだった。
『なんだ、ノベルだったか…』と思った私だったが、それでも当時はまだわからない理由のもとでそれが気になり、試しにかじってみた。
内容は普通に一人の少年(とはいっても、ぶどう酒を飲めているところから少なくとも、二十歳は過ぎていると思われる)が、夢のお告げのもとでピラミッドの近くにあるという宝物を探しに行くものだったが、それはただの冒険譚ではないようだった。
それは、当時の私からすれば『私が共感するような何かが込められている』内容のように思えたのだ。
結局、当時の私が目的にしていた内容ではなかった事と、『立ち読みでは到底読み切れるものではない』という理由でその時はそれっきりになっていた。
しかし、その後も何かと『アルケミスト』の事が気になり、時折見かけては手にとって読み漁る事をするわ、ウェブで内容についてのレビューを調べるわと、存在を知って以来、それっきりに出来ないほどあの書籍の事が気になり続けていた。
そして存在をしってから数年後…
私はついにそれを購入した。
存在を知った時は、小さめのハードカバー版だったが、他にもいくつかの書籍があった中で私はこの角川文庫版の書籍にした。
私的には内容の雰囲気から見ると、この表紙の方が雰囲気的にいいような気がしたからだ。
最初存在を知った時に見かけたハードカバー版もそれなりによかったのだが、その後に知った角川文庫版の方がそれ以上によかったと感覚的に思い、意を決してこれにしたのである。
あえて言うなら、ゆくゆくはこの書籍のハードカバー版とシンプルカバー版を買おうと思っている。
『アルケミスト』には、時に万人に当てはまるような多くの名言がちりばめられている。
それは時に、詩文のように『1回読んだだけでは本質がつかめない』名言もあったりする。
その中で、私がある時に気になったのがこのフレーズだった。
『幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ』(アルケミスト 40ページから抜粋)
このセリフが意味するものをあらためてつかんだ時、私はある事に初めて気づいたのだった。
私はこのセリフの意味を、まさしく『今の私自身に投影する事が出来る』のに気づいたのである。
ここで言う『世界のすべてのすばらしさ』とは、私なりの考えで言うなら、『新たに知り、そして気を向けた事』。
そして、ここでいう『スプーンの油』というのは、私なりの解釈で言うなら、『既に持っているもの』を言うのだと思う。
その後に書かれていた内容がこのセリフの意味をわかりやすく説明していたが、それを通して私はこのセリフの事がまさしく今の私にも当てはまる事に気づいたのだった。
特に、一番それを実感したのが『スプーンの油が意味するもの』だった。
故郷に戻ってやり直しの時期を過ごしていく中で、私は市川にいる間に『スプーンの油』に相当するものをひそかに忘れていた事にあらためて気づいたのである。
このセリフの意味を通して、私にとっての『スプーンの油』とは、『故郷の事』と『市川にいる間に忘れていた存在全て』だったのだとあらためて実感した。
今思えば、私は市川にいる間、やがて限界が訪れるとひそかにわかっていながら、それをどうにかしようとせず、ずっとそこから逃げていたのだとあらためて思う。
そしてそうした中で、いつしか狭い世界に閉じこもり、しがみついたまま、『やり直す事に通じるためにやるべき事』が出来る場所として既にあったところ…いつでも心の隅に残されている形で持ち続けていた『大切に思える存在』…その全てがある、『私の故郷』というスプーンの油の事を私はずっと忘れていたのである…
今私は故郷に戻ってよかったと思っている。
戻って早々は色々と地獄を見るような日々を過ごしたが、それもいつしか乗り切り、ようやく2015年に誓った『本当の生き方』に向けた事に向かって進んでいる。
これも全ては、私がずっと忘れていた『スプーンの油』である『私の故郷』に戻り、『故郷にある大切な存在』を思い出せたからである。
忘れていた『既に持っている大切な存在』を思い出せた事と、それを通して気づいた事は私にひそかな幸福を実感させる事に通じていったのだった。
それを今まで以上に実感出来たのならもうやるべき事は決まっている。
今この時から、私の全てを変え、新たな私へと進んでいくもと、『スプーンの油』と共に『世界のすべてのすばらしさ』を味わえるようになる事だ。
コン度は『スプーンの油』も大事に持っていき、それと共にさらに新たな世界を広げていく形で『世界のすべてのすばらしさ』を味わっていこう。
その時は『スプーンの油』のように、もう既にそこにあるようにもうすぐ訪れるのだから…
