辺りは少しの間、再び時が止まったように静まり返っていた。
その静寂の中にあったのは、トライス・ソードを持ったまま、ディアルガと共に立ち尽くすナオキ。
そして、それとは真逆に、野望を打ち砕かれ、同時に抗う術も全て失った中、その場に崩れているアカギの全てが対極の立場にあるそれぞれの姿だった。。
お互いがそれぞれの在り方の中、静寂がしばらく続いた。
その静寂を先に破ったのは、ナオキだった。
「今度こそ勝負ありだね。」
ナオキは、崩れた体制のままでいるアカギに言った。
ナオキが言った事に反応するように、アカギはうなだれていた頭を上げた。
アカギの見た先には、ディアルガと共に立ち尽くすナオキの姿があった。
その雰囲気は、今のアカギにはもはや悪あがきさえできないほどの威圧感を醸し出しているようなものだった。
アカギは、再び頭をうなだれ、言った。
「なぜだ…なぜ負けた…この私が…」
ナオキはアカギに言った。
「まだわからないのか。この戦い、貴様は戦いが始まった時点で負けるべくして負けたんだって事に。」
「!?」
『なんだと!?』というような反応をしたアカギに対して、ナオキは言った。
「多少追い詰められた部分は確かにあったけど、貴様が野望を打ち砕かれた事による私に対する怒りと憎しみをあらわにした時点で私は確信していたのさ。『私達の勝ち』だってね。」
ナオキは、『あの時』にマグマラシに話していた時の事を言った。
「貴様は、私達によって野望を砕かれた時から、私への怒りと憎しみにとらわれ、トバリの時のような冷静な判断が出来なくなり、そして同時に、貴様のポケモンと戦っているポケモンがいるにもかかわらず、私ばかりを狙うほど、貴様は私しか見えなくなっていた。貴様は、自らが殺したと称していた怒りと憎しみの感情にとらわれ、それによって自ら負けを決定づける墓穴を掘っていたのさ。」
ナオキは、多少追い詰められるような状況になりながらも、ひそかにこの戦いが始まった時から既に勝つ事を確信していた。
それは、アカギが野望を打ち砕かれた事により、ナオキへの怒りと憎しみにとらわれ、それによりナオキしか見えなくなっていたという事だった。
戦いの時も、アカギはナオキのポケモンが自身のポケモンを常に狙っていながらも、時に隙を見せるような形でずっとナオキの事だけを狙っていた。
自身のポケモンがナオキのポケモンによって攻められながらも、それでもアカギはナオキを直に排除しようとする衝動にとらわれ、あくまでナオキしか見ていなかったのだ。
そして何より、アカギは野望を打ち砕かれた事による怒りと憎しみからトバリの時のような余裕どころか、最低限の冷静さを欠き、ただ猪突猛進のような判断のもとで戦っており、常に隙を作るような戦い方を無自覚な中でやっていたのだ。
それは、まさしくトバリでのサターンを想起させるようなものだった。
アカギは、それがさらに極端になったものと言えよう。
ナオキは、アカギに言った。
「貴様は、怒りと憎しみに一方的にとらわれた時点で、貴様自身に負けていたんだ。貴様が殺したと称していた『感情』という『心が生み出した事』そのものによってね。」
「!!」
ナオキが言った事に対して、アカギは今までにない反応を示した。
アカギ自身は、あくまで否定する立場をとっていたが、それはもはやごまかしでしかないとアカギ自身もわかっているように、アカギの『心』がそうだと言っていたからだった。
もはや何も言い返せない状況まで追いつめられたに等しいアカギにとどめを刺すかのように、ナオキは言った。
「貴様は、私との戦いよりも前に、私の『心』に、そして何より、貴様自身の『心』に負けたのさ。貴様自身が、真っ先に否定し続けていた『心』にね。」
アカギは、もはやただ茫然としているしかなかった。
アカギにはもう悪あがきどころか、捨て台詞ひとつを吐く気力も残されていなかった。
「観念しな、アカギ。もう貴様に戦うポケモンも、ディアルガを縛る鎖もないよ。」
ナオキは、アカギにトライス・ソードの刃を向けて言った。
その時…
「ぐっ…!」
「!?」
後ろから聞こえた声に反応して、ナオキは振り返った。
ナオキの見た先には、苦しそうにしているディアルガの姿があった。
「ディアルガ!」
ナオキは、ディアルガの方に駆け寄った。
ナオキに続いて、他のポケモン達もディアルガに向かっていった。
ディアルガは体制を崩したまま苦しそうにしていた。
「ディアルガ、どうしたの!?」
ナオキがディアルガに話しかけたその時…
「!!」
ナオキは、思わず顔を上げた。
ナオキが見た先には、空間に歪みが出来たような光景が広がっていた。
「この歪みは…?一体、何が起きたんだ…?」
ディアルガは、どうにか持ち上げるような形で顔を上げた。
「…!」
あらためて目の前の光景を目の当たりにした時、ディアルガは驚愕した。
「…まずい…」
「!?」
ナオキがディアルガの言った一言に反応した。
「ディアルガ、一体何が起きたの!?」
ディアルガは、言った。
「奴が、オレを無理やり呼び出し、オレの力を一時的とはいえ、使った事によって時空の歪みが生み出されてしまったようだな…!」
「どういう事?」
「オレの力は元々均衡を保った形で使われていた…しかし、奴が自らの野望のためという間違った『心』のもとでオレの力を使った事により、時空のバランスが崩れ、歪みが発生してしまったのだ…」
「何だって!?」
ナオキは驚愕した。
ディアルガを『あかいくさり』から解放した事により、『アカギの手による』暴走は止める事は出来た。
しかし、それとは別に、それに誘発される形で再びシンオウ地方の存亡危機に関わる事態が発生してしまったのである。
「このままでは、シンオウ地方は全てが無に帰す形で崩壊してしまうかもしれない…なんとかして、あの歪みを止めなければ…」
ディアルガがそう言った瞬間…
「ぐ…!」
「ディアルガ!」
ディアルガは再び体制を崩した。
それと共に、歪みの大きさもさらに広がっていった。
そこへ…
「!」
ナオキは、ふと背後に気配を感じ振り返った。
そこには、ようやく追いついたらしく、ナナカマド博士、コウキ、ヒカリの姿があった。
ナナカマド博士は、目の前の光景に驚愕していた。
それは、ディアルガの存在、様子、そして時空の歪みの出現全てに向けられていた。
「おお!おお!時間の神、『ディアルガ』が…怒っているのか、悲しんでいるのか…ただわたしはおまえに助けを求めているように思える…」
ナナカマド博士は、ナオキの方を向いた。
「ヒカリから聞いたが、『トライス』と言うらしいな。ゆけい、トライス!ディアルガと向き合うのだ!そして、『心』の声を聞け!その思いを確かめろ!そうすれば、『あかいくさり』で無理矢理呼び出され、力を使わされた事によって起きたこの時空の歪みも止まる!なんだかそう思えるのだ。」
ナナカマド博士は、ナオキに言った。
ナオキは、ナナカマド博士の言葉から感じていた。
ナナカマド博士が『心』からナオキの事を信じているのだと…
そして、ナオキを『心』から信じているのはナナカマド博士だけではなかった。
ヒカリは、ナオキに近寄って言った。
「トライスくん…いや、ナオキくん…さっき、ジュンヤくんに会った時、言ってたの。あの人の事…ナオキくんの事、信じてるって…『あいつなら大丈夫だから』って。あたしも同じよ。」
ヒカリは、『心』を込めてナオキに言った。
「だからあのポケモンを助けて!ギンガ団に無理矢理呼び出され、あんなに苦しんでいるポケモンを!」
ヒカリがそう言った後、それに続くようにコウキがナオキのもとに寄ってきた。
コウキは、ナオキに言った。
「トライス…いや、ナオキ…ジュンヤも言ってたけど、オレも同じだよ。今、シンオウ地方とディアルガを救えるのは、キミしかいない。いや、キミだからこそ出来る事なんだって。オレも信じる…キミがシンオウ地方を『護って』くれるって!」
コウキの目は本気だった。
それは、ナオキの事を『心』から信じている事を伝えてる目であると、ナオキは察した。
ナオキは、ナナカマド博士、ヒカリ、コウキの言葉に、大きな『心』の思いを感じていた。
その思いは、ナオキの『心』に強い意志を持たせた。
「わかった。必ず、シンオウ地方を護ってみせるよ!」
ナオキがそう言うと、3人はこくりと頷いた。
ナオキは、歪みの方を向いた。
歪みは、さっきよりも広がりを見せていた。
このままいけば、止められなくなるほど大きくなっていくのも時間の問題だった。
ナオキは、仲間達の方を向いた。
「みんな、今からあの『時空の歪み』に向かって攻撃をぶつけるよ!あの歪みに、それを上回る力をぶつける事によって歪みの広がりを食い止めて、最終的に歪みを消す事が出来るかもしれない。」
「ああ!まかせとけ!」
「今こそ、シンオウ地方を救う時だね。一緒についてくよ。」
「私達のシンオウ地方をこのまま滅ぼさせはしませんわ!」
「オレも出来る限りの事はするぜ。」
「ボクも、礼儀のもと、全力でやり抜いてみせるよ!」
ナオキの仲間達は、それぞれの『心』の思いを込めていった。
「ありがとう。それじゃあいくよ!」
ナオキがそう言うと…
「ナオキ…オレも参戦させてくれ。」
もう一人、ナオキに話しかけてきた。
その声の主は、ディアルガだった。
「ディアルガ?」
ナオキはディアルガに言った。
ナオキは、ひそかにディアルガにも協力してもらいたいと思っていたが、ただでさえ苦しそうにしているディアルガに無理はさせたくないと思い、ディアルガには言わないでいた。
わざわざディアルガの方から協力を呼び掛けた事に、ナオキは戸惑っていた。
「ディアルガ、大丈夫なの?」
ナオキはディアルガの事を気にかけていた。
話しかけていた時も、ディアルガはかなり苦しそうにしていた。
今の状態では、大技を放つ事も大きな負担になり、ディアルガがもつかどうかも定かではない…
そんな状態でディアルガに無理をさせていいのか…
ナオキは、ディアルガに対する返事に葛藤していた。
すると、ディアルガは言った。
「確かに…オマエの言う通り、オレも力の暴走の影響で正直きつい状態にある…だが、シンオウ地方の存亡が危機に瀕しているならば、神と呼ばれしポケモンとして、例えきつくても何もしないわけにはいかんのだ…何より…オマエ達によってオレは救われた…だから今度は、オレがオマエ達と共にここシンオウ地方を『護る』番なのだ…」
きつそうな口調の中で、ナオキはその中にあるディアルガの『心』を聞いた。
ディアルガは、例えアカギに利用されていたとしても、例え自身がきつい状態にいても、シンオウ地方の危機を前にただ誰かにまかせっきりにするわけにはいかないと『心』から思っていた。
その思いには、シンオウ地方への思い、そこで神と呼ばれしポケモンの立場としての思い、そして自らを救ってくれたナオキ達への思いが込められていた。
ナオキは、ディアルガの『心』の思いを直に感じ、それを『心』から受け止めた。
「わかった。ディアルガ、力を貸して!」
ナオキが言うと、ディアルガは小さく微笑んだ。
「もちろんだ。ありがとう。」
ディアルガは、ナオキと共に歪みの方を向いた。
歪みは、止まる事なく広がりを見せていた。
時空の歪みという、今までにない相手を前にナオキは額に汗を流した。
(あの歪みは、どれほどのものかはわからなくても、少なくとも言えるのはポケモンの技や私の技をただぶつけるだけでは消えるどころか、一時的に収まる事もままならない規模のものだという事は確かな事…)
存在自体初めて見るものであっても、ナオキにはそれが今出来る事を精一杯やってもどうにか出来るかわからないほどの規模のものである事だけはわかった。
ナオキは、目の前の相手に今までにない心境を抱いていた。
(ひとつだけ言えるのは、今の私達の状態と今の歪みの状態を踏まえれば、あの歪みを止める技を放てるチャンスは一度きりだという事…私達が出せる技だけで、あの歪みを止める事は出来るだろうか…)
ナオキは葛藤していた。
本当に私達だけでこの危機を脱する事は出来るのだろうか…
しかし、もうそんな事を考えてばかりいてさらに事態を悪化させている場合ではない…
それでも、ナオキは立ち止まったまま、決められないままでいた。
その時…
「ナオキー!!」
「?」
どこからともなく聞こえた声にナオキは、その方向を振り向いた。
「…!」
ナオキは、振り返った瞬間、大きな反応を示した。
その反応を示したのは、ナオキだけではなかった。
コウキ、ヒカリ、そして…ナナカマド博士も目の前の光景に信じられないような反応を示していた。
ナオキ達が向いた方向にいたのは…
「パルキア!」
そう、パルキアだった。
「なんと…神と呼ばれしポケモンのもう一人が現れただと…」
「本物なのか…シンオウ地方の伝説のポケモンが二体同時に現れるなんて…」
「信じられない…これ、夢じゃないわよね…?」
ディアルガがいるだけでも遥かにすごい事だというのに、それに合わせてもう一人のレジェンドが現れるのは、三人にとっては奇跡とも言える事だった。
パルキアは、ナオキの元の降り立った。
その様子に、三人はさらに驚愕した。
「なんと…神と呼ばれしポケモンが、自らトライスのもとに…?」
「で…伝説のポケモンまで仲間にしてるのか…?」
「ど…どうなってるの…時空が歪んでるから異常な事が起きてるの…?」
三人は、今の状況を理解できないでいた。
そんな中、ナオキはそれとは真逆に、まるで普通の事のようにパルキアに話しかけた。
「パルキア、どうしてここに?」
ナオキは、パルキアに言った。
「ずっとエレメンタル内にいたんだが、今まで以上に嫌な予感がして…それから、アンタらの事が気になっておもいきってテンガン山に行く事にしたんだ。」
パルキアは、しばらくの間聖地エレメンタルの中にいたが、そこにいる間、ひそかに今までにないような不安を覚えていた。
それは、今までの事を遥かに越える、彼らだけに任せていて自分は匿われているからという誼でこのままでいていいのかとパルキアに思わせるようなものだった。
外に出れば、いつギンガ団に狙われるかわからないとはいえ、このままでいていいのか…
パルキアは、その時だけにとどまらず、ここで過ごしているうちにひそかにそう考えるようになっていた。
そしてパルキアは、ついに意を決してエレメンタルを出る事にしたのだった。
全ては、シンオウ地方を護るため。
そして何より、今まで匿ってくれたナオキ達に今こそその恩を返すために…
神と呼ばれしポケモンに、ディアルガ以上に普通に話している様子に、三人はさらに戸惑っていた。
「か…神と呼ばれしポケモンと普通に会話してるじゃと…」
「ど…どうなってるんだ…?もう何がなんだか…」
「ト…トライスくんって、一体何者なの…?」
シンオウ地方の危機の中にいるのはわかっていながらも、三人はそれとは別の戸惑いを見せていた。
それを背に、ナオキは真剣に話を進めていた。
「ギンガ団が、ディアルガを呼び出して、その力を利用しようとしたから、時空の歪みが起きて、シンオウ地方が危機に瀕しているんだ。」
ナオキが言った事に、パルキアはぴくりと反応した。
「…やっぱりか。あの今までにないような嫌な予感は本当の意味で気のせいじゃなかったみたいだな…」
パルキアは、歪みが発生している方を向いた。
歪みは少しずつ広がり続けていた。
「空間を司るオレからしても、こんな歪みは見た事がねえ…でも、ただ一つわかるのは、この歪みをそのままにしたらシンオウ地方は明らかに存在そのものが危ういって事だな…」
パルキアでさえこの歪みは初めて見る事、そしてそれをただ事ではないと感じている事が、今の状況が今まで以上に大変な中にある事をさらに伝えていた。
パルキアはここに来るまでの事を話した。
「時空を歪めて行こうとも思ったんだが、アンタも知ってる通り、まだ調整中だからな…多少時間はかかっても確実に来れるように飛んできたんだ。案の定、時間はかかっちゃったけどな…」
パルキアは、少し顔を赤らめて言った。
「君らしいね。でも、そうしてまでわざわざ来てくれてありがとう。」
ナオキは、小さく微笑みながら言った。
パルキアの切実な事情は、ナオキの『心』の焦りを少し和らげてくれた。
「ナオキ、オレも参戦するぜ。今こそ、色々世話になったアンタらにその恩を返す時だ。」
ナオキは、即答するようにパルキアに言った。
「OK。君が加われば、百人力だよ。一緒にシンオウ地方を護ろう、パルキア!」
「ああ!」
パルキアはこくりと頷いた。
ナオキ達は、歪みの前に向かった。
歪みから少し離れた場所に着くと、ナオキ達は足を止めた。
ナオキ達の前に、シンオウ地方を無に帰そうとしている歪みが立ちはだかった。
しかし、もうナオキ達の『心』に迷いはなかった。
(今こそ、『守護者』としての役目と使命を果たす時。この歪みを消し去り、シンオウ地方を護り抜いてみせる!)
ナオキはトライス・ソードを構えた。
「この一撃に、全てをかける!」
ナオキは、『心』を込めて豪語した。
その時…
「…!」
ナオキは、ふと気配を感じた。
それは、今ナオキ達がいる場所とは別次元の場所にいるような気配だった。
その気配を感じていたのは、ナオキだけだった。
ナオキは、その気配の正体を察知した。
(…エアトスさん?)
ナオキが察した気配の正体は、『ガーディアン・エアトス』だった。
気配ゆえに、姿ははっきりと確認できなかったが、ナオキにはそれがエアトスだとすぐにわかった。
それこそ『心』がそう伝えてくれたように…
(エアトスさん…エアトスさんも力を貸してくださるのですか…?)
エアトスは、こくりと頷いた。
自らの力を恐れ、自らの存在と共に封印していたが、ナオキの『心』を通し、ガーディアンの長として、今こそ迷いを吹っ切り、護る者としての使命を果たす…
エアトスは、ナオキの『心』に動かされ、ついにその決意を固めたのだった。
ナオキの背中に、大きな白い翼が生え、大きなオーラが包み込んでいった。
それに合わせ、ナオキは『守護者の腕輪』を外して再び『グロリアス・フォルム』に変身した。
それは、あの時のような迷いによる不完全性はなく、『本当の在り方』のもとにある事を感じさせるオーラだった。
ナオキの『心』は、その時にいた存在に限らず、そこにさらなる力が加わる形で、たくさんの仲間を呼び寄せたのだった。
全ては、シンオウ地方を仲間と共に護ろうというナオキの『心』の呼びかけによって…
エアトスの加護による影響は、ナオキの仲間達にも及んだ。
本人だけでなく、『心』を通じ合えた仲間達にもエアトスの力が分け与えられる。
それが、エアトスの加護の一つなのだろう。
「いくよ、みんな!」
ナオキの呼びかけに、集まった仲間達は全員大きく頷いた。
ナオキ達は、体勢を構えた。
その様子をナナカマド博士、コウキ、ヒカリは何も言わずに見ていた。
しかし、そんな中でも三人の『心』は言っていた。
『彼らを信じている』と…
今、ナオキとその仲間達の『心』は一つになった。
次の瞬間、ナオキのポケモン達は、一斉に技を放った。
「『ブラストバーン』!!」
「『でんじほう』!!」
「『ソーラービーム』!!」
「『ゴッドバード』!!」
「『サイコカッター』!」
「『時の咆哮』!!」
「『亜空切断』!!」
それに続き、ナオキはトライス・ソードを構え、攻撃体勢を整えた。
ナオキの全身を大きな光が包み込み、大きなエネルギーの塊がそれに引き寄せられるように集まって行った。
それがナオキを包み込む光に取り込まれると、光はさらに輝きを増していった。
その瞬間、ナオキは技を放った。
「『フォビドゥン・テラ・グロリアス』!!」
ナオキを包み込んでいた光が、光の塊によって形成された大きな光線になって飛んでいった。
それは、先ほどの『テラ・グロリアス』を遥かに超越する規模のものだった。
それを表すように、直に触れていない周囲のものを通り過ぎた時の勢いだけで吹き飛ばすほどの衝撃波が発生していた。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
ナオキの仲間達の放った技が時空の歪みに次々に命中していった。
命中する度に、歪みは広がりが止まり、一時的に収まる形でその規模は弱まっていった。
その瞬間…
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
ナオキの放った『フォビドゥン・テラ・グロリアス』が歪みに着弾した。
先ほどの事を遥かに超えるような大きな閃光と、轟音が『やりのはしら』に響き渡った。
その閃光は、やがてナオキを包みこんでいった…