208番道路からテンガン山へ入ったナオキ達は、どこか上に通じる道がないか散策を始めた。
「どうだ、ナオキ?」
「…レントラーの言う通り、確かにどこを探しても、階段どころか坂道すらないようだね…」
ナオキ達は、入り口付近や少し奥の方に行き、隅から隅まで散策したが、そこは階段はおろか、坂道のような上に上がれる場所さえなかった。
「改めて見直してみたけど、やっぱり隠しルートさえないみたい。」
レントラーは、透視能力を駆使して岩の内部を覗く勢いで細かく探したが、それでも見つからなかった。
「あの団員が言っていた事も間違いだったのか…?あいつ、自分でも曖昧そうな様子であんな大声の独り言を言ってただけによ。」
「どうなんだろうね…」
ナオキは、一旦散策をやめて辺りを見回した。
(ここから頂上に行けるとするならば、奴らはどうやって向かったんだ…?テンガン山の頂上に近いところは、私達も知ってるとおり、かなりの寒さだった…あの寒さでは、飛行できるポケモンはともかく、飛行機のような乗り物でも行けそうにない…)
ナオキは、この推測から、少なくともアカギを含む他のギンガ団員もテンガン山の内部から登ったのは確かだという事だけはわかった。
しかし、案の定問題は『どうやってここから頂上まで登ったか』である。
上に登るならば、『普通』なら階段や坂道を使って登るものである。
しかし、ここにはまぎれもなくその階段も坂道もない。
(それでも、さっきの団員みたいに足止めをくらっている団員はここにはいない…という事は、奴らは何か他の方法で内部からテンガン山に登ってるという事なのか…?)
ナオキの中では、こういう場所で上に登る方法の候補として浮かんでくるのは、それこそ階段や坂道がある。
しかし、これはあくまでも『一般常識の範囲において』であり、『方法の全て』ではない。
ともすれば、ギンガ団達はそれとは別の、ナオキが知らない方法で登ったという事になるのだろうか。
そうでなければ、今頃団員達もここから進めないはずだ。
すると、その時だった。
「…!」
ふとある方向を向いた時、ナオキはピクリと反応した。
ナオキは、その方向をしばらく見ていた。
「ナオキ、どうだ?」
そう言って、マグマラシがナオキに近寄ってきた。
それに気づいたナオキは、咄嗟にマグマラシの方を向いた。
「ねえ、マグマラシ。ちょっと、向こうに向かって『火炎放射』を撃ってくれない?」
ナオキからの唐突な要求にマグマラシはきょとんとした。
「何だ急に?」
「説明は後でするよ。とにかくやって。」
「…よくわかんねえけど、とにかくやりゃあいいんだな。」
「うん。お願いするね。」
マグマラシは、ピンとこないままナオキの指し示す方へ向いた。
「『火炎放射』!」
マグマラシは、一方向に向ける形で口から火を放った。
放った火は、周囲を照らしながらまっすぐ伸びていった。
そして、それがある位置に到達した時の事だった。
「…!」
ナオキは、再び何かに反応した。
マグマラシは、そのまましばらく火を吹き続けていた。
「OK、もういいよ、マグマラシ。」
ナオキがそう言うと、マグマラシは火を吹くのをやめた。
「それで、結局どうだったんだ?」
マグマラシが聞くと、ナオキは言った。
「今のでわかったよ。上に行く方法が。」
「え?」
マグマラシは、再びきょとんとした。
今のでどうやって登り方に気づいたのか、まったくピンとこなかったからだ。
ナオキは、マグマラシに説明した。
「さっき君に『火炎放射』をしてもらったのは、『この辺りを照らすため』だったんだ。この辺りに、私達がひそかに見落としていた場所があったのにさっき気づいたんだ。」
「『見落としていた場所』?」
「そうだよ。でも、これで行き方がわかったからもう大丈夫だよ。みんなを呼びに行こう。」
ナオキとマグマラシは、急いで他の仲間達を集めに行った。
それからしばらくして、ナオキ達がいた場所は、もう誰一人としていなくなっていた。
しかし、ナオキ達はまだテンガン山の中にいた。
ナオキ達がいたのは、さっきまでいた所よりも一段上に上がった場所だった。
「…まさかオレ達がさっきからうろついていた場所に既にあったとはな…」
そう言って、マグマラシはその場所から下を見下ろした。
マグマラシが見下ろした先にあったのは、他でもないナオキ達があれほどまでに散策していた場所だった。
しかも、その見える範囲には入り口も一望できる。
「この場所にある道は、あくまでも通り道として整備したに過ぎない。そうである以上、それより上は利用する人はまずいない以上、そもそも整備自体されてなかった。だから、階段や坂道のような行きやすく整備された場所がなかったんだよ。そうである以上、上に登るためには、私達の手でどうにかするのが最良の方法だったわけなんだね。」
テンガン山の通り道はあくまでも、『通り抜けるため』の道。
そのため、それとは関係ない道は基本整備されていない。
登山目的であっても、観光名所にできるような場所ではないため(そもそもそういう考え自体ないらしい)、登りやすく整備もされていない。
だからこそ、テンガン山には階段のような登る場所がなかったのだ。
「?」
ナオキは、ふと今いる場所の隅に寄った。
ナオキは、ある場所を覗きこんだ。
そこには、階段とは言えないが、周囲よりもごつごつしたような部分があった。
その部分は、ちょうど今いる場所まで続いていた。
「どうしたんだ、ナオキ?」
マグマラシが話しかけると、ナオキは慌てて振り返った。
「あ、いや大丈夫だよ。ちょっと気になった事があってね。それじゃあ、行こうか。」
そう言いながらも、ナオキはあのごつごつした部分の事を気にかけていた。
進んでいくと、向かう場所に階段のような場所があった。
「あ、階段がある。1階部分はなかったのに…」
ナオキは、階段の前に立った。
その階段は、当時の技術の事もあってか、多少崩れてはいたが、階段として整備されていた。
(…もしや、1階に階段のような場所がなかったのは、『あえて作らなかった』のか…?)
1階は明らかに階段はなかった。
しかし、その上の位置には階段が普通にあった。
しかも、自然にできた階段じゃなく、『明らかに人間の手で作られた階段』である。
ナオキは、ふとエレメンタルで調べたシンオウ地方の神話のある内容を思い出した。
(…そういえば、シンオウ地方の神話で、人間がテンガン山の頂上でレジェンドに関する何かをしていたという記述があったな…。という事は、テンガン山にこういう形で頂上まで行く道を作ったのは、結局は人間によるものだったという事…。そして、あえて1階に階段のようなものを作らなかったのも、この秘密の場所の存在を知られないようにするため…。だからこそ、普通に探しただけじゃあ見つからなかったのか…。)
あらためて、ナオキ達は先を急いだ。
しばらく進むと、テンガン山の外に出た。
「この道って、遠回りになるように整備されてるみたいだね。」
レントラーが辺りを見回しながら言った。
「昔の人々は、それなりに自然の事を考えていたからね。人間の都合を優先せず、与えてくれた条件のもとで整備したんだよ。」
ただでさえ自然に干渉する事である以上、山を人間の都合を押し付ける形で削ってはならない。
そうなれば、山は容赦なく人間を裁く災害をもたらす事になる。
例え、それがこの山の本当の目的に通じる事であっても、その中でも人間の考えを優先しない、自然が与えてくれた条件のもとで整備するものである。
今よりも人間の都合を優先せず、本当に大事な規律を守っていた昔の人間の誠実さをこの遠回りに作られた道は象徴している。
しばらく進むと、その先は断崖絶壁がそびえたっていた。
「あれ…ここで行き止まりか…。普通に通り道になってたのに…」
マグマラシは、辺りを見回した。
一応、道そのものは別の場所にもあったが、それはここに出てきた出口に戻る道になっていた。
他にどこかへ通じてそうな道はありませんわ。」
ロズレイドが言った通り、この場所は今そびえたっている絶壁以外は何もなかった。
「ここに来るまでに通った道もずっと一方通行が多かったからなぁ…。ここ以外もう道はないと思うよ。」
レントラーは言った。
「どうすんだ…?これじゃあまた足止めだぜ…」
そう言ったムクホークに限らず、他のポケモン達も困っていた。
その時…
「この上だよ。」
「?」
ナオキがあっさり即答した事に、一同はきょとんとした。
「へ?本当なのか、ナオキ?」
先にそう聞いたのは、マグマラシだった。
「本当だよ。ひとまず、私に着いてきてよ。」
少しすると、さっきまで足止めになっていた場所にナオキ達の姿はなくなっていた。
その代わり、再びさっきと同じようにナオキ達はその場所にそびえたっていた絶壁の上にいた。
「1階の時に限らず、まさかここでもこんな場所があったなんてね…」
レントラーは、下を見下ろしながら言った。
「ナオキ、なんでこの上に上に行く場所があるってわかったんだ?」
マグマラシが聞くと、ナオキは言った。
「それは、あの岩場についていた部分だよ。」
ナオキは、ちょうどよく近くにあったその部分がある岩場を指さした。
そこには、階段とは言えないが、周囲よりもごつごつしたような部分があった。
その部分は、はしごのように上の方まで続いていた。
「岩場の中には、ああいう風にごつごつした部分があるのがあったんだ。あの部分、途切れる事なく、上の方まで通じてたから、『もしかしたら…』って思ったんだ。」
ナオキは、この場所に着いた後、ひそかにこのごつごつ部分があるのでは、と思い、それを探していた。
ナオキが1階から上に通じる場所にいた時に、ふと自然のものじゃないようなごつごつした部分がその岩場の絶壁部分にあった事に気づき、『それがある場所は上に通じる道があるという事じゃないか…』と、考えたのである。
「あの時、ナオキが何か気になってたのはこの事だったんだな。」
「そういう事。それにしても、このごつごつした部分って何なんだろう?」
ナオキがそう言うと、エルレイドがそれに答えた。
「この部分は、『ロッククライム』っていう秘伝技で登るための部分なんだ。ポケモンで、その技を身に付けていれば、このごつごつ部分に乗って一気に登れるんだよ。」
「そうだったんだ。」
ちなみに、ナオキ達は普通に飛んで上まで登った。
結果的に、『どこを登ればいいかを確認する』のには活かされたのでよしとしよう。
その後もナオキ達は、テンガン山の道を進み続けた。
時に山の外へ出たと思えば、再び山の中へ戻り、階段のような場所を登ったと思えば、『ロッククライミング』を使って登る部分を目印に上へ進んだり…
そんな複雑に入り組んだ道をナオキ達は、今までのような足止めをする事なく、まっすぐ進んでいった。
そして…
「…!」
再びテンガン山の外に続く出口を出ると、ナオキは一瞬足を止めた。
ナオキの目の前に現れた情景は、今まで繰り返し目の当たりにしてきた情景とは全く違ったものだった。
そこは、山の姿そのものではない、完全に普通じゃない、全体に広がった大きな道。
その道の周囲には、まるでかつて神殿のような建物があったのをうかがわせる壊れた柱のようなものが至るところにそびえたっていた。
ナオキ達は、ついに辿り着いたのである。
テンガン山の頂上に…
「どうだ、ナオキ?」
「…レントラーの言う通り、確かにどこを探しても、階段どころか坂道すらないようだね…」
ナオキ達は、入り口付近や少し奥の方に行き、隅から隅まで散策したが、そこは階段はおろか、坂道のような上に上がれる場所さえなかった。
「改めて見直してみたけど、やっぱり隠しルートさえないみたい。」
レントラーは、透視能力を駆使して岩の内部を覗く勢いで細かく探したが、それでも見つからなかった。
「あの団員が言っていた事も間違いだったのか…?あいつ、自分でも曖昧そうな様子であんな大声の独り言を言ってただけによ。」
「どうなんだろうね…」
ナオキは、一旦散策をやめて辺りを見回した。
(ここから頂上に行けるとするならば、奴らはどうやって向かったんだ…?テンガン山の頂上に近いところは、私達も知ってるとおり、かなりの寒さだった…あの寒さでは、飛行できるポケモンはともかく、飛行機のような乗り物でも行けそうにない…)
ナオキは、この推測から、少なくともアカギを含む他のギンガ団員もテンガン山の内部から登ったのは確かだという事だけはわかった。
しかし、案の定問題は『どうやってここから頂上まで登ったか』である。
上に登るならば、『普通』なら階段や坂道を使って登るものである。
しかし、ここにはまぎれもなくその階段も坂道もない。
(それでも、さっきの団員みたいに足止めをくらっている団員はここにはいない…という事は、奴らは何か他の方法で内部からテンガン山に登ってるという事なのか…?)
ナオキの中では、こういう場所で上に登る方法の候補として浮かんでくるのは、それこそ階段や坂道がある。
しかし、これはあくまでも『一般常識の範囲において』であり、『方法の全て』ではない。
ともすれば、ギンガ団達はそれとは別の、ナオキが知らない方法で登ったという事になるのだろうか。
そうでなければ、今頃団員達もここから進めないはずだ。
すると、その時だった。
「…!」
ふとある方向を向いた時、ナオキはピクリと反応した。
ナオキは、その方向をしばらく見ていた。
「ナオキ、どうだ?」
そう言って、マグマラシがナオキに近寄ってきた。
それに気づいたナオキは、咄嗟にマグマラシの方を向いた。
「ねえ、マグマラシ。ちょっと、向こうに向かって『火炎放射』を撃ってくれない?」
ナオキからの唐突な要求にマグマラシはきょとんとした。
「何だ急に?」
「説明は後でするよ。とにかくやって。」
「…よくわかんねえけど、とにかくやりゃあいいんだな。」
「うん。お願いするね。」
マグマラシは、ピンとこないままナオキの指し示す方へ向いた。
「『火炎放射』!」
マグマラシは、一方向に向ける形で口から火を放った。
放った火は、周囲を照らしながらまっすぐ伸びていった。
そして、それがある位置に到達した時の事だった。
「…!」
ナオキは、再び何かに反応した。
マグマラシは、そのまましばらく火を吹き続けていた。
「OK、もういいよ、マグマラシ。」
ナオキがそう言うと、マグマラシは火を吹くのをやめた。
「それで、結局どうだったんだ?」
マグマラシが聞くと、ナオキは言った。
「今のでわかったよ。上に行く方法が。」
「え?」
マグマラシは、再びきょとんとした。
今のでどうやって登り方に気づいたのか、まったくピンとこなかったからだ。
ナオキは、マグマラシに説明した。
「さっき君に『火炎放射』をしてもらったのは、『この辺りを照らすため』だったんだ。この辺りに、私達がひそかに見落としていた場所があったのにさっき気づいたんだ。」
「『見落としていた場所』?」
「そうだよ。でも、これで行き方がわかったからもう大丈夫だよ。みんなを呼びに行こう。」
ナオキとマグマラシは、急いで他の仲間達を集めに行った。
それからしばらくして、ナオキ達がいた場所は、もう誰一人としていなくなっていた。
しかし、ナオキ達はまだテンガン山の中にいた。
ナオキ達がいたのは、さっきまでいた所よりも一段上に上がった場所だった。
「…まさかオレ達がさっきからうろついていた場所に既にあったとはな…」
そう言って、マグマラシはその場所から下を見下ろした。
マグマラシが見下ろした先にあったのは、他でもないナオキ達があれほどまでに散策していた場所だった。
しかも、その見える範囲には入り口も一望できる。
「この場所にある道は、あくまでも通り道として整備したに過ぎない。そうである以上、それより上は利用する人はまずいない以上、そもそも整備自体されてなかった。だから、階段や坂道のような行きやすく整備された場所がなかったんだよ。そうである以上、上に登るためには、私達の手でどうにかするのが最良の方法だったわけなんだね。」
テンガン山の通り道はあくまでも、『通り抜けるため』の道。
そのため、それとは関係ない道は基本整備されていない。
登山目的であっても、観光名所にできるような場所ではないため(そもそもそういう考え自体ないらしい)、登りやすく整備もされていない。
だからこそ、テンガン山には階段のような登る場所がなかったのだ。
「?」
ナオキは、ふと今いる場所の隅に寄った。
ナオキは、ある場所を覗きこんだ。
そこには、階段とは言えないが、周囲よりもごつごつしたような部分があった。
その部分は、ちょうど今いる場所まで続いていた。
「どうしたんだ、ナオキ?」
マグマラシが話しかけると、ナオキは慌てて振り返った。
「あ、いや大丈夫だよ。ちょっと気になった事があってね。それじゃあ、行こうか。」
そう言いながらも、ナオキはあのごつごつした部分の事を気にかけていた。
進んでいくと、向かう場所に階段のような場所があった。
「あ、階段がある。1階部分はなかったのに…」
ナオキは、階段の前に立った。
その階段は、当時の技術の事もあってか、多少崩れてはいたが、階段として整備されていた。
(…もしや、1階に階段のような場所がなかったのは、『あえて作らなかった』のか…?)
1階は明らかに階段はなかった。
しかし、その上の位置には階段が普通にあった。
しかも、自然にできた階段じゃなく、『明らかに人間の手で作られた階段』である。
ナオキは、ふとエレメンタルで調べたシンオウ地方の神話のある内容を思い出した。
(…そういえば、シンオウ地方の神話で、人間がテンガン山の頂上でレジェンドに関する何かをしていたという記述があったな…。という事は、テンガン山にこういう形で頂上まで行く道を作ったのは、結局は人間によるものだったという事…。そして、あえて1階に階段のようなものを作らなかったのも、この秘密の場所の存在を知られないようにするため…。だからこそ、普通に探しただけじゃあ見つからなかったのか…。)
あらためて、ナオキ達は先を急いだ。
しばらく進むと、テンガン山の外に出た。
「この道って、遠回りになるように整備されてるみたいだね。」
レントラーが辺りを見回しながら言った。
「昔の人々は、それなりに自然の事を考えていたからね。人間の都合を優先せず、与えてくれた条件のもとで整備したんだよ。」
ただでさえ自然に干渉する事である以上、山を人間の都合を押し付ける形で削ってはならない。
そうなれば、山は容赦なく人間を裁く災害をもたらす事になる。
例え、それがこの山の本当の目的に通じる事であっても、その中でも人間の考えを優先しない、自然が与えてくれた条件のもとで整備するものである。
今よりも人間の都合を優先せず、本当に大事な規律を守っていた昔の人間の誠実さをこの遠回りに作られた道は象徴している。
しばらく進むと、その先は断崖絶壁がそびえたっていた。
「あれ…ここで行き止まりか…。普通に通り道になってたのに…」
マグマラシは、辺りを見回した。
一応、道そのものは別の場所にもあったが、それはここに出てきた出口に戻る道になっていた。
他にどこかへ通じてそうな道はありませんわ。」
ロズレイドが言った通り、この場所は今そびえたっている絶壁以外は何もなかった。
「ここに来るまでに通った道もずっと一方通行が多かったからなぁ…。ここ以外もう道はないと思うよ。」
レントラーは言った。
「どうすんだ…?これじゃあまた足止めだぜ…」
そう言ったムクホークに限らず、他のポケモン達も困っていた。
その時…
「この上だよ。」
「?」
ナオキがあっさり即答した事に、一同はきょとんとした。
「へ?本当なのか、ナオキ?」
先にそう聞いたのは、マグマラシだった。
「本当だよ。ひとまず、私に着いてきてよ。」
少しすると、さっきまで足止めになっていた場所にナオキ達の姿はなくなっていた。
その代わり、再びさっきと同じようにナオキ達はその場所にそびえたっていた絶壁の上にいた。
「1階の時に限らず、まさかここでもこんな場所があったなんてね…」
レントラーは、下を見下ろしながら言った。
「ナオキ、なんでこの上に上に行く場所があるってわかったんだ?」
マグマラシが聞くと、ナオキは言った。
「それは、あの岩場についていた部分だよ。」
ナオキは、ちょうどよく近くにあったその部分がある岩場を指さした。
そこには、階段とは言えないが、周囲よりもごつごつしたような部分があった。
その部分は、はしごのように上の方まで続いていた。
「岩場の中には、ああいう風にごつごつした部分があるのがあったんだ。あの部分、途切れる事なく、上の方まで通じてたから、『もしかしたら…』って思ったんだ。」
ナオキは、この場所に着いた後、ひそかにこのごつごつ部分があるのでは、と思い、それを探していた。
ナオキが1階から上に通じる場所にいた時に、ふと自然のものじゃないようなごつごつした部分がその岩場の絶壁部分にあった事に気づき、『それがある場所は上に通じる道があるという事じゃないか…』と、考えたのである。
「あの時、ナオキが何か気になってたのはこの事だったんだな。」
「そういう事。それにしても、このごつごつした部分って何なんだろう?」
ナオキがそう言うと、エルレイドがそれに答えた。
「この部分は、『ロッククライム』っていう秘伝技で登るための部分なんだ。ポケモンで、その技を身に付けていれば、このごつごつ部分に乗って一気に登れるんだよ。」
「そうだったんだ。」
ちなみに、ナオキ達は普通に飛んで上まで登った。
結果的に、『どこを登ればいいかを確認する』のには活かされたのでよしとしよう。
その後もナオキ達は、テンガン山の道を進み続けた。
時に山の外へ出たと思えば、再び山の中へ戻り、階段のような場所を登ったと思えば、『ロッククライミング』を使って登る部分を目印に上へ進んだり…
そんな複雑に入り組んだ道をナオキ達は、今までのような足止めをする事なく、まっすぐ進んでいった。
そして…
「…!」
再びテンガン山の外に続く出口を出ると、ナオキは一瞬足を止めた。
ナオキの目の前に現れた情景は、今まで繰り返し目の当たりにしてきた情景とは全く違ったものだった。
そこは、山の姿そのものではない、完全に普通じゃない、全体に広がった大きな道。
その道の周囲には、まるでかつて神殿のような建物があったのをうかがわせる壊れた柱のようなものが至るところにそびえたっていた。
ナオキ達は、ついに辿り着いたのである。
テンガン山の頂上に…