間に合っていようとなかろうと、ついにこの時が来た。

今日は公務員試験の本番当日。

そしてこれが今回最後のチャンスとなる試験だ。

内容は初級だが、今までの実践演習から油断してはいけないというのは前提としている。

久々に早起きして朝ごはんを済ませた後、スーツ姿(気温の都合上上半身はワイシャツ)に着替えた。

私服じゃない姿になったのは、役所で受験の手続きをする時以来である。

普通だったらこれからは私服よりも制服姿になるのが主流になるんだろうけど…

あらためて私は会場へ向かった。

今回の会場は中学校だった。

今までは大学を会場にしていただけにひそかなギャップを感じるような気分だ。

こういう環境に浸るのも8年ぶりだなぁ…

時折鳴るチャイムや中学校らしい学校環境が今まで記憶の果てに忘れていた日々を想起させた。





まず最初に受けたのは、お約束規模の教養科目だった。

大学受験と比べたら問題は簡単な方なのだろうが、やった事のない科目や苦手な科目をもとにした問題はやはりつまずきを覚える。

市川と比べたら時間配分はそう難しい事ではないが、やはりわからない問題は時間の浪費につながりかねないものだ。

やはり数的推理がその大部分だった。

中には塩水についての問題もあったが、実践した計算とは違うのを求める問題だった。

内容がわかってるのにやり方がわからない事ほど勉強不足が悔やまれる事はない。





試験時間の時、外からは祭の音が響き渡っていた。

この程度の音で気をとられては本格的にやろうという気がない証拠だ。

寧ろ静か過ぎるのも私としてはかえって気が散る時がある以上、ちょうどいい環境と言っていいかもしれない。

来月、私はこうゆう気分になれてるだろうか…

そうひそかに思いながら私は解答を続けたのだった。





正午になり、一次試験が終わった。

1番気掛かりだった科目が終わったわけだが、案の定ただ終わっただけにならないでほしい。

受け終わった以上祈る事はただそれだけだ。





昼ご飯を済ませしばらくした後、二つ目の試験が始まった。

二つ目は作文だった。

二つ目の中には他に、専門科目、小論文があったが、一般行政は作文だった。

私としては、ある意味好都合と言っても過言ではない。

今の私には確実にできるのは作文だけなのだから…

私は、東日本大震災をもとに公務員の存在理由をあらためて実感した事をもとに解答を作成した。

面接で話そうと思った切実な事を述べたつもりだ。

後は審査員次第である…





こうして私の戦いはひとまず終わった。

ようやく試験を終えたというのに、その実感がないのはなぜなのだろう…

まだ二次試験があるからなのか、それとも…

ひとまず今までの荷が降りた気持ちの中、私は会場を後にした。

外は今も祭太鼓の音が賑やかに響き渡っていた。










自宅に戻り、物事が一段落した私はしばらくして姉御と共に畑に向かった。

試験が終わったというわけで、今回は本格的な行動に入る事にした。

まず、開墾した場所に種を植えるための溝を作り、そこにほうれん草の種を植えた。

その前に、土の固まりを砕かなければならなかったので地道なだけに大変だった。



次に大根を植えるために土地を掘り、小さな山を作った。

大根は平面では育たないそうなので、こうやって山を作りそこに植えるそうだ。

時間の都合上、大根を植えるのは明日になった。





ひとまずこれで公務員試験は一時的ではあるが、終わりになった。

続きは10月21日である。

これからの私に次があるのかはその日にかかっている。



明日は市川に帰る日。

ようやく待ち望んでいた日のはずだが、今の私にはいつもよりそういう気がしない。

だとしたらやはり私は…

…きっとそうなのかもしれない。

それが使命ならば…





市川と故郷のジレンマを抱きながら私は、試験を終えた後の余韻に浸ったのだった。