210番道路をしばらく進むと、周囲が濃い霧に包まれていった。
シロナの言っていた事は本当の事だったというわけだ。
というのも、その濃さは少し離れただけで姿が影に変わり、さらに離れたら全く見えなくなってしまうほどの濃さだったからだ。
霧と靄の違いは濃さの規模にある。
1キロ先がまだはっきり確認できるなら『靄』となり、1キロ先が全く見えない時は『霧』として扱われるのだ。
キロ単位にも到達しないところで、もう見えなくなる時点でこれが『霧』だというのは確実だ。
「かなり霧が濃いからはぐれないようにしなきゃね。」
「ああ。ほんの少し離れただけで、もう姿がぼやけちまってやがるからな。」
「さすがにオレの透視能力じゃあ、霧の奥を見通すのはできないみたいだ。」
向こう側が元々ぼやけてるからか、レントラーの透視能力でも霧の中は見通せないようだった。
「足元も霧がかかってますから、足場を見落とさないようにしなくてはいけませんわ。」
ロズレイドはナオキがひそかに見落としていた事を指摘した。
「そうだね。」
「………。」
ムクホークは黙り込んでいた。
それはただ黙り込んでいるのではなく、何か考え事をしているようだった。
ナオキ達はあらためて前に進んだ。
立ち込める霧はナオキ達を容赦なく包み込んでいる…
しばらく進むと、霧の中に微かに道らしき場所があるのを見つけた。
霧はさっきよりも濃くなっている。
「これは進みにくいなぁ…。微かに見えるけど、どうやらこの先は谷になってるみたいだよ。」
「みてえだな。一歩間違えりゃ谷底に真っ逆さまだぜ。」
「慎重に進まないとね。」
ナオキ達は前に進んだ。
視界は霧に覆われており、自分達が今いる場所もようやく見えるほど辺りは真っ白だった。
「これじゃあ、踏み込むまで足場があるかないかわからない事になるなぁ…」
ナオキ達の今の環境は、自分達のいる場所以外は足元でさえ霧で真っ白になっている感じだった。
「踏み込むまでわからねえんじゃかえって危ねえじゃねえか。これじゃあ、落ち着いて進めねえぞ。」
ナオキ達は足を止めた。
周囲は白く濃い霧が容赦なく立ち込めている。
その時…
「ナオキ。」
ナオキは声がした方を向いた。
声からしてムクホークのようだ。
「オレにいい考えがあるかもしれねえがいいか?」
「いい考え?」
「ああ。まだ身につけてやった事がねえから、自信ねえんだけどよ。これが決まったらもしかすると、この霧をどうにかできるかもしれねえからよ。」
「何か手があるの?」
ムクホークはナオキの前に姿を現した。
「こういう時のためっつー事で身につけてたんだけどよ、やる機会がなかったから、自信がなくて迷ってたんだ。」
「それならやってみてよ。」
「いいのか?成功するかわかんねえぞ。」
「とにかくまずはやってみてよ。このまま迷ってたら何も始まらないよ。」
「わかったぜ。」
ムクホークはこくりと頷いた。
ムクホークは低く飛び上がり体制を構えた。
「いくぜ!」
ムクホークは翼を交差させた。
「霧払い!!」
ムクホークは交差させた翼を大きく広げた。
その瞬間…
ブワァァァ…
立ち込めていた霧がムクホークの翼が発生させた風に飛ばされるように消えていった。
視界はさっきとは真逆のようにはっきり見えるようになった。
「すごーい!霧が一気に晴れましたわ!」
「すごいよムクホーク。君にそんな技があったなんてね。」
「まあな。こういう機会のための技で、今まで使う機会がなかったけど、やっと生かせたようだな。」
「あらためてありがとうムクホーク。」
「いいって事よ。」
ムクホークはひそかに大きな嬉しさを感じていた。
仲間の役に立てたという事に…
210番道路を突破したナオキ達は一つの小さな町に着いた。
「随分と小さい町ね。」
「しかも、町の作りがかなり古いね。かなり伝統のある町なのかもね。」
ロズレイドの一言に対してナオキが言った。
「こういう古い町もなかなか風流で美しいですわ。」
ロズレイドは新たな美しさを見つけたようだった。
「ここは『カンナギタウン』。昔を伝える町…。環境からしてこのフレーズはある意味合ってるかもね。」
ナオキ達は前に歩いていった。
その時、ナオキ達の見た方向に誰かがいた。
「誰かいるぜ。」
「何か様子が変みたいだよ。」
マグマラシが先にその存在に気付き、レントラーがその人の様子に気付いた。
「…そうみたいだね。行ってみよう。」
ナオキ達は一斉にそこに向かって走っていった。
そこにいたのは、かなりお年をめしたおばあさんだった。
「おばあさん、どうしたんですか?」
「おお、ちょうどいいところに来たねトレーナーさん。」
おばあさんはすぐにナオキ達に気付いた。
「遺跡の前に宇宙人みたいなのがおる。あそこには何もないのに、それに腹を立てて、爆弾を使うと言っておる…。」
「爆弾!?」
「この町を吹っ飛ばす気か!?」
「困ったものだ…。わしが若ければポケモンと一緒にギタンギタンにしてやるのに!」
「言う事だけは、力強いなぁ…。」
ナオキは言う事は出来ても、それを実行できない事に対して、『本当、年はとりたくないなぁ…』とひそかに思っていた。
「では、私達が奴をギタンギタンにしてやります!まかせて下さい!」
そう言うと、ナオキはマグマラシ達の方を向いた。
「みんな、急ごう!早くしないと大変な事になるよ!」
「ああ、そうみてーだな。」
「早速行こう!この町を悪の手から守り抜くんだ!」
レントラーのこの一言と共にナオキ達はカンナギタウンの中心部にある場所へ走っていった。
「こんなしみったれた町、何もないならギンガ爆弾で吹き飛ばす!」
ギンガ団がそう言った時…
「そんな事はさせないぞ!」
どこからともなく声がした。
「誰だ!?」
団員は振り返った。
「やはり貴様だったか。」
「てめえはさっき逃げ回ってたしたっぱ!」
「懲りずにこんな所にまで来ていたのか。」
ムクホークの一言が終わった後、団員は言った。
「またおまえか!どこまでもしつこいやつめ…!邪魔するというならポケモン勝負で黙らせるぜ!さあ、どうする?邪魔をするのか!?」
団員の質問にナオキはあっさり即答した。
「するとも。けど、邪魔はしない。」
「何っ?」
『する』と言ったはずなのに、邪魔をしないとはどういう事なのか団員にはさっぱりわからなかった。
「私達の場合は、『邪魔』ではなく、『阻止する』って言うべきだからね。貴様なんかに邪魔者扱いされる筋合いはない。」
「くっ…。ギンガ団の邪魔をするとは、世界に…いや、宇宙に逆らう奴だな!」
「フン、そんな子供チックなごてれつはいいから、さっさとかかってきてってば。どうせ私達が勝つんだから。」
「野郎…!行け!奴らをギタンギタンにしてやれ!」
団員はありったけのポケモンを繰り出した。
「よし、じゃあ一気に畳んじゃおうか。まとめて全部出してくれたからさ。」
「おう!」
「さっさとけりをつけちまおうぜ。」
マグマラシとムクホークが言った後、ナオキが言った。
「OK。それじゃあ行くぞ!」
ナオキ達は団員の出したポケモン達に向かっていった。
「くっ…。何なんだ、こいつらの強さは…。」
団員はあっさり負けたようだった。
「てめえに合わせてオレ達も2人で戦ったってのに。こんなのトレーニングにもならねーよ。」
マグマラシは余裕勝ちした事がわかる一言を言った。
「つまんないな。オレ達の出番はなしかよ。」
レントラー、ロズレイド、ムクホークの出番は今回はなかったようである。
「くっそー!こんな何もない所、とっとと帰ってやるよ!」
そう言って団員は、爆弾を持ち、一目散に走り去っていった。
「おお、助かったよ。それにしても強いトレーナーだね。このカンナギタウンの長老として御礼を言うよ。」
「いえいえ。人として当たり前の事をしたまでですよ。」
ナオキは長老に言った。
その時、ナオキはふと長老の手元を見た。
そこにはお守りみたいな物があった。
「長老さん、それって何ですか?」
「ああ、これかい?これはむかーしむかしにカンナギで作られていたお守りでな、シンオウ地方を作ったと言われる神様に捧げていた物で、今でも時々見つかるのじゃよ。」
「そうなんですか。歴史を感じますね。」
「そうじゃ!せっかくカンナギに来たんだ。この遺跡を見ていかんかね?」
「いいですね。何気に気になってたところだったんです。」
「アルフの遺跡と何が違うのかオレも気になってたんだ。」
「君もなんだ、マグマラシ。」
ナオキはマグマラシに対してひそかに親近感を感じていた。
ナオキ達は遺跡の中へ入っていった。
「何だ?随分と変わった形をした内部だな。」
「そうだね…。」
内部は大きなくぼみのようなものが中心部にあり、その周りが通路のようになっていた。
「これは…?」
ナオキ達は壁を見てみた。
そこにはポケモンらしき形をした絵が3つあり、その真ん中に何かがあった。
そこへ長老が歩いてきた。
長老はナオキ達の所に来ると、そこで足を止め、話を始めた。
「その壁画…そこには神がいた。それらは強大な力を持っていた。その力と対になるように3匹のポケモンがいた。」
「3匹のポケモン?」
「そうじゃ。そうする事で鼎のごとく均衡を保っていた。カンナギに伝わるシンオウ地方の昔話さ。」
ナオキはあらためてその壁画を見直してみた。
「よくわからない模様が壁一面に描かれてる…。三角形に並んだ3つの何か…。そして中央に光るもの…。何の事なんだろうか…?」
ナオキはしばらく考え続けていた。
しばらくしてナオキ達は外に出た。
すると、そこに誰かが立っていた。
「あなたって確か…。」
ナオキはその姿に見覚えがあった。
そこにいたのは、ナオキ達がテンガン山で初めて会った人物だった。
「どうもくだらない争いがあったようだ。」
(くだらない争い?さっき私達が戦ってたのをこの人は見てたのか?)
彼の言ってる事が何を指しているのかナオキには見当がつかなかった。
「もっと世界を見渡して大きなレベルで物事を見るべきだ。そう、宇宙のような大きさで…。」
何気にいい事を述べた後、彼は言った。
「私の名前は『アカギ』。くだらない争いをなくし、理想の世界を作るための力を探している。が、ここにはなさそうだ。」
(理想の世界…?)
ナオキはこれをどこかで聞いた事があるように感じた。
だが、かなり前の事らしくどうしても思い出せなかった。
「キミはテンガン山で会ったが、何か伝説にまつわる力を見つけたら教えてほしい。それが新しい世界を生み出すのに必要だからね。」
「あ…はい…。」
ナオキは違和感を感じつつも一応今回は頷いておく事にした。
「では、失礼。」
そう言ってアカギはどこかへ歩いていった。
「あいつ、オレ達がテンガン山で会った奴だよな。あいつも言ってたけど。」
「キミ達はその時オレ達のパーティーにまだ入ってなかったから知らないと思うけど、オレ達以前奴に会った事があるんだ。」
マグマラシ、レントラーが続けてムクホークとロズレイドに言った。
「何者なんだあいつ?」
「少々怪しい感じがするわね。」
ムクホークとロズレイドは少々懐疑した。
ナオキは、214番道路で謎の監視員から彼の名前を聞いたのを思い出した。
あの監視員は、あの男に頼まれて入口を監視していたのは間違いないようだ。
ナオキはアカギが歩いていった方をしばらく向いていた。
(あの人は何者なんだ…?何より、『理想の世界』と『新しい世界』って…どこかで聞いた事があるような…。彼の言動は一理ある内容もあるけど…何かがひっかかる…。)
ナオキはアカギに対してしばらく懐疑の念を抱いていた。
ナオキはひそかに感じていた。
何か、大変な事が起きるかもしれないと…。
シロナの言っていた事は本当の事だったというわけだ。
というのも、その濃さは少し離れただけで姿が影に変わり、さらに離れたら全く見えなくなってしまうほどの濃さだったからだ。
霧と靄の違いは濃さの規模にある。
1キロ先がまだはっきり確認できるなら『靄』となり、1キロ先が全く見えない時は『霧』として扱われるのだ。
キロ単位にも到達しないところで、もう見えなくなる時点でこれが『霧』だというのは確実だ。
「かなり霧が濃いからはぐれないようにしなきゃね。」
「ああ。ほんの少し離れただけで、もう姿がぼやけちまってやがるからな。」
「さすがにオレの透視能力じゃあ、霧の奥を見通すのはできないみたいだ。」
向こう側が元々ぼやけてるからか、レントラーの透視能力でも霧の中は見通せないようだった。
「足元も霧がかかってますから、足場を見落とさないようにしなくてはいけませんわ。」
ロズレイドはナオキがひそかに見落としていた事を指摘した。
「そうだね。」
「………。」
ムクホークは黙り込んでいた。
それはただ黙り込んでいるのではなく、何か考え事をしているようだった。
ナオキ達はあらためて前に進んだ。
立ち込める霧はナオキ達を容赦なく包み込んでいる…
しばらく進むと、霧の中に微かに道らしき場所があるのを見つけた。
霧はさっきよりも濃くなっている。
「これは進みにくいなぁ…。微かに見えるけど、どうやらこの先は谷になってるみたいだよ。」
「みてえだな。一歩間違えりゃ谷底に真っ逆さまだぜ。」
「慎重に進まないとね。」
ナオキ達は前に進んだ。
視界は霧に覆われており、自分達が今いる場所もようやく見えるほど辺りは真っ白だった。
「これじゃあ、踏み込むまで足場があるかないかわからない事になるなぁ…」
ナオキ達の今の環境は、自分達のいる場所以外は足元でさえ霧で真っ白になっている感じだった。
「踏み込むまでわからねえんじゃかえって危ねえじゃねえか。これじゃあ、落ち着いて進めねえぞ。」
ナオキ達は足を止めた。
周囲は白く濃い霧が容赦なく立ち込めている。
その時…
「ナオキ。」
ナオキは声がした方を向いた。
声からしてムクホークのようだ。
「オレにいい考えがあるかもしれねえがいいか?」
「いい考え?」
「ああ。まだ身につけてやった事がねえから、自信ねえんだけどよ。これが決まったらもしかすると、この霧をどうにかできるかもしれねえからよ。」
「何か手があるの?」
ムクホークはナオキの前に姿を現した。
「こういう時のためっつー事で身につけてたんだけどよ、やる機会がなかったから、自信がなくて迷ってたんだ。」
「それならやってみてよ。」
「いいのか?成功するかわかんねえぞ。」
「とにかくまずはやってみてよ。このまま迷ってたら何も始まらないよ。」
「わかったぜ。」
ムクホークはこくりと頷いた。
ムクホークは低く飛び上がり体制を構えた。
「いくぜ!」
ムクホークは翼を交差させた。
「霧払い!!」
ムクホークは交差させた翼を大きく広げた。
その瞬間…
ブワァァァ…
立ち込めていた霧がムクホークの翼が発生させた風に飛ばされるように消えていった。
視界はさっきとは真逆のようにはっきり見えるようになった。
「すごーい!霧が一気に晴れましたわ!」
「すごいよムクホーク。君にそんな技があったなんてね。」
「まあな。こういう機会のための技で、今まで使う機会がなかったけど、やっと生かせたようだな。」
「あらためてありがとうムクホーク。」
「いいって事よ。」
ムクホークはひそかに大きな嬉しさを感じていた。
仲間の役に立てたという事に…
210番道路を突破したナオキ達は一つの小さな町に着いた。
「随分と小さい町ね。」
「しかも、町の作りがかなり古いね。かなり伝統のある町なのかもね。」
ロズレイドの一言に対してナオキが言った。
「こういう古い町もなかなか風流で美しいですわ。」
ロズレイドは新たな美しさを見つけたようだった。
「ここは『カンナギタウン』。昔を伝える町…。環境からしてこのフレーズはある意味合ってるかもね。」
ナオキ達は前に歩いていった。
その時、ナオキ達の見た方向に誰かがいた。
「誰かいるぜ。」
「何か様子が変みたいだよ。」
マグマラシが先にその存在に気付き、レントラーがその人の様子に気付いた。
「…そうみたいだね。行ってみよう。」
ナオキ達は一斉にそこに向かって走っていった。
そこにいたのは、かなりお年をめしたおばあさんだった。
「おばあさん、どうしたんですか?」
「おお、ちょうどいいところに来たねトレーナーさん。」
おばあさんはすぐにナオキ達に気付いた。
「遺跡の前に宇宙人みたいなのがおる。あそこには何もないのに、それに腹を立てて、爆弾を使うと言っておる…。」
「爆弾!?」
「この町を吹っ飛ばす気か!?」
「困ったものだ…。わしが若ければポケモンと一緒にギタンギタンにしてやるのに!」
「言う事だけは、力強いなぁ…。」
ナオキは言う事は出来ても、それを実行できない事に対して、『本当、年はとりたくないなぁ…』とひそかに思っていた。
「では、私達が奴をギタンギタンにしてやります!まかせて下さい!」
そう言うと、ナオキはマグマラシ達の方を向いた。
「みんな、急ごう!早くしないと大変な事になるよ!」
「ああ、そうみてーだな。」
「早速行こう!この町を悪の手から守り抜くんだ!」
レントラーのこの一言と共にナオキ達はカンナギタウンの中心部にある場所へ走っていった。
「こんなしみったれた町、何もないならギンガ爆弾で吹き飛ばす!」
ギンガ団がそう言った時…
「そんな事はさせないぞ!」
どこからともなく声がした。
「誰だ!?」
団員は振り返った。
「やはり貴様だったか。」
「てめえはさっき逃げ回ってたしたっぱ!」
「懲りずにこんな所にまで来ていたのか。」
ムクホークの一言が終わった後、団員は言った。
「またおまえか!どこまでもしつこいやつめ…!邪魔するというならポケモン勝負で黙らせるぜ!さあ、どうする?邪魔をするのか!?」
団員の質問にナオキはあっさり即答した。
「するとも。けど、邪魔はしない。」
「何っ?」
『する』と言ったはずなのに、邪魔をしないとはどういう事なのか団員にはさっぱりわからなかった。
「私達の場合は、『邪魔』ではなく、『阻止する』って言うべきだからね。貴様なんかに邪魔者扱いされる筋合いはない。」
「くっ…。ギンガ団の邪魔をするとは、世界に…いや、宇宙に逆らう奴だな!」
「フン、そんな子供チックなごてれつはいいから、さっさとかかってきてってば。どうせ私達が勝つんだから。」
「野郎…!行け!奴らをギタンギタンにしてやれ!」
団員はありったけのポケモンを繰り出した。
「よし、じゃあ一気に畳んじゃおうか。まとめて全部出してくれたからさ。」
「おう!」
「さっさとけりをつけちまおうぜ。」
マグマラシとムクホークが言った後、ナオキが言った。
「OK。それじゃあ行くぞ!」
ナオキ達は団員の出したポケモン達に向かっていった。
「くっ…。何なんだ、こいつらの強さは…。」
団員はあっさり負けたようだった。
「てめえに合わせてオレ達も2人で戦ったってのに。こんなのトレーニングにもならねーよ。」
マグマラシは余裕勝ちした事がわかる一言を言った。
「つまんないな。オレ達の出番はなしかよ。」
レントラー、ロズレイド、ムクホークの出番は今回はなかったようである。
「くっそー!こんな何もない所、とっとと帰ってやるよ!」
そう言って団員は、爆弾を持ち、一目散に走り去っていった。
「おお、助かったよ。それにしても強いトレーナーだね。このカンナギタウンの長老として御礼を言うよ。」
「いえいえ。人として当たり前の事をしたまでですよ。」
ナオキは長老に言った。
その時、ナオキはふと長老の手元を見た。
そこにはお守りみたいな物があった。
「長老さん、それって何ですか?」
「ああ、これかい?これはむかーしむかしにカンナギで作られていたお守りでな、シンオウ地方を作ったと言われる神様に捧げていた物で、今でも時々見つかるのじゃよ。」
「そうなんですか。歴史を感じますね。」
「そうじゃ!せっかくカンナギに来たんだ。この遺跡を見ていかんかね?」
「いいですね。何気に気になってたところだったんです。」
「アルフの遺跡と何が違うのかオレも気になってたんだ。」
「君もなんだ、マグマラシ。」
ナオキはマグマラシに対してひそかに親近感を感じていた。
ナオキ達は遺跡の中へ入っていった。
「何だ?随分と変わった形をした内部だな。」
「そうだね…。」
内部は大きなくぼみのようなものが中心部にあり、その周りが通路のようになっていた。
「これは…?」
ナオキ達は壁を見てみた。
そこにはポケモンらしき形をした絵が3つあり、その真ん中に何かがあった。
そこへ長老が歩いてきた。
長老はナオキ達の所に来ると、そこで足を止め、話を始めた。
「その壁画…そこには神がいた。それらは強大な力を持っていた。その力と対になるように3匹のポケモンがいた。」
「3匹のポケモン?」
「そうじゃ。そうする事で鼎のごとく均衡を保っていた。カンナギに伝わるシンオウ地方の昔話さ。」
ナオキはあらためてその壁画を見直してみた。
「よくわからない模様が壁一面に描かれてる…。三角形に並んだ3つの何か…。そして中央に光るもの…。何の事なんだろうか…?」
ナオキはしばらく考え続けていた。
しばらくしてナオキ達は外に出た。
すると、そこに誰かが立っていた。
「あなたって確か…。」
ナオキはその姿に見覚えがあった。
そこにいたのは、ナオキ達がテンガン山で初めて会った人物だった。
「どうもくだらない争いがあったようだ。」
(くだらない争い?さっき私達が戦ってたのをこの人は見てたのか?)
彼の言ってる事が何を指しているのかナオキには見当がつかなかった。
「もっと世界を見渡して大きなレベルで物事を見るべきだ。そう、宇宙のような大きさで…。」
何気にいい事を述べた後、彼は言った。
「私の名前は『アカギ』。くだらない争いをなくし、理想の世界を作るための力を探している。が、ここにはなさそうだ。」
(理想の世界…?)
ナオキはこれをどこかで聞いた事があるように感じた。
だが、かなり前の事らしくどうしても思い出せなかった。
「キミはテンガン山で会ったが、何か伝説にまつわる力を見つけたら教えてほしい。それが新しい世界を生み出すのに必要だからね。」
「あ…はい…。」
ナオキは違和感を感じつつも一応今回は頷いておく事にした。
「では、失礼。」
そう言ってアカギはどこかへ歩いていった。
「あいつ、オレ達がテンガン山で会った奴だよな。あいつも言ってたけど。」
「キミ達はその時オレ達のパーティーにまだ入ってなかったから知らないと思うけど、オレ達以前奴に会った事があるんだ。」
マグマラシ、レントラーが続けてムクホークとロズレイドに言った。
「何者なんだあいつ?」
「少々怪しい感じがするわね。」
ムクホークとロズレイドは少々懐疑した。
ナオキは、214番道路で謎の監視員から彼の名前を聞いたのを思い出した。
あの監視員は、あの男に頼まれて入口を監視していたのは間違いないようだ。
ナオキはアカギが歩いていった方をしばらく向いていた。
(あの人は何者なんだ…?何より、『理想の世界』と『新しい世界』って…どこかで聞いた事があるような…。彼の言動は一理ある内容もあるけど…何かがひっかかる…。)
ナオキはアカギに対してしばらく懐疑の念を抱いていた。
ナオキはひそかに感じていた。
何か、大変な事が起きるかもしれないと…。