二人がしばらく歩くと、小さな町を見つけた。

「ナオキ、あれじゃねえか?」

「そうみたいだね。行ってみよう。」

二人は町の方へ向かっていった。

そこはたくさんの花に囲まれた小さな町だった。

「ここは『ソノオタウン』。鮮やかに花香る町。どうやらヒカリちゃんが言ってた町はここみたいだね。」

「って事はコウキはこの町にいるって事なんだな。」

「そういう事になるね。じゃあ、早速探しに行こうか。」

「そうだな。」

二人がそう言った時…

「何してるんだ!」

とどこからともなく声が聞こえた。

「!?」

二人は声がした方を向いたが、そこに呼んだと思われる人の姿はなかった。

「何だったんだ今のは?」

「向こう側から聞こえたのは確かみたいだけど…。」

見てみると、そこにわずかながら自然にできたような道があった。

「向こうに誰かいるのか。行ってみよう、マグマラシ。」

「おう!急ごうぜ!」

ナオキがこくりと頷くと、二人は急いで声のした方へ向かった。





ここはソノオの花畑。

名前の通り、タウン本体に負けないくらいの花が咲き乱れている。

そこに一人の男性と、見覚えのあるような服装をした二人組、そして一人の少年がいた。

「何をしようとしてるのかはわからないけど、悪い奴らだって事は確かなようだな。」

そう言うと、少年はモンスターボールを取り出した。

「行け!ナエトル!」

モンスターボールが開かれ、中からポケモンが現れた。

頭でっかちの亀のような姿をしており、頭部には双子葉類の植物の芽のような葉っぱがある。

名前は『ナエトル』と言うようだ。

「邪魔するなら子供でも容赦はしませんよ!行け!ズバット!」

「行け!ケムッソ!」

二人組はポケモンを二匹繰り出してきた。

「2対1だなんて卑怯だぞ!」

「我々はギンガ団!目的のためなら手段は選びません!」

「くっ…。ナエトル、たいあたり!」

ナエトルはズバットに飛び掛かった。

攻撃はズバットに命中した。

だが、それと同時にもう一方の方がナエトルを襲った。

「ケムッソ、どくばり!」

「ナエ!」

攻撃がナエトルを襲った。

ナエトルは地面に叩きつけられるように地面に伏した。

「ナエトル!」

「ははは、何も考えずにギンガ団に盾突くからこうなるんですよ。」

「ギンガ団に子供一人で盾突いた事を後悔してください!」

ギンガ団員のポケモン達が同時にナエトルに襲い掛かった。

「ああ、ナエトルー!」

ナエトルにポケモン達の攻撃が襲い掛かる。

ナエトルは頭を抱えるように頭に前足を乗せて目を固くつぶった。



その時…



「マグマラシ、ひのこ!」

この一言と共にギンガ団のポケモンにひのこが飛んできた。

「ぐあ!」

ひのこは同時にギンガ団のポケモンに当たり、それに怯んでポケモンは攻撃をやめた。

「だ…誰です?邪魔をするのは!?」

「!?」

団員が火の粉が飛んできたと思われる方向を向いた。

それに合わせるように、少年も火の粉が飛んできたと思われる方向を向いた。

「偶然かもしれないけど、とりあえず間に合ったようだね。」

「ナオキ、あいつら!」

「やはり貴様らだったか。」

その一言と共に影で見えにくくなっていた姿が明らかになった。


「誰です!?」

(あ、そっか。『この姿』では初めてだからね。)

団員と初めて戦った時は『本当の姿』ではなかったので、彼らが知らないのも無理はないとすぐにわかった。

「別に名乗る程の者じゃないと思うけど。ただ言える事は、貴様らを倒しに来た通りすがりのポケモントレーナーの端くれですけど?」

ナオキがそう言った時、少年が話しかけてきた。

「キミは誰なの?」

ナオキは少年の方を向いた。

「!」

向いた瞬間、ナオキは一瞬ぴくりと反応した。

「どうかしたの?」

「…事情は後で話すよ。それより大丈夫だった?」

「え?あ…うん。」

「そう。それなら安心したよ。」

そう言うと、ナオキは付け加えるように言った。

「さっきこの辺りで声が聞こえたんだけど、もしかして君が言ったのかな?」

少年は即答した。

「そうだよ。こいつらがあの人を脅してたから…。」

少年の指差した先に団員と何か入っている瓶を持った男の人がいた。

「助けてくれ!こいつらにあまいミツをよこせと脅されて…。」

「…OK。状況はつかめましたよ。お任せ下さい!」

そう言うと、ナオキは体制を整えた。

「マグマラシ、いくよ!こんな奴らさっさと倒しちゃおう!」

「おう!こんな奴らオレ一人で十分だ!」

マグマラシは前に出た。

「さあ、かかっておいで。どうせ私達が勝つんだからさ。」

ナオキは挑発するように言った。

「ナメたマネしてくれますね。今更謝っても遅いですよ!」

「邪魔するものは全員廃除させていただきます!行け!カラサリス!」

そう言って団員は有りったけのポケモンを繰り出した。

「あの端くれトレーナーを倒せ!」

3匹のポケモンが一斉に襲い掛かった。

「3匹同時!?これじゃ勝てないよ!」

少年はかなり焦っていた。

「大丈夫だよ。これぐらい私達にはたいした事はない。」

「え?」

ナオキの一言に少年はきょとんとした。

「マグマラシ、火炎放射!!」

マグマラシは額と背中にある炎を一回り強く燃え上がらせた。

大きく息を吸い、マグマラシは口から炎を吐き出した。

「ぎゃあああ!!」

ケムッソとカラサリスは一瞬でマグマラシの出した炎に飲み込まれた。

ケムッソとカラサリスは一瞬で戦闘不能になった。

「な…何だと!?」

団員はア然とした。

「す…すごい…。」

「言ったでしょ、どうせ私達が勝つってさ。弱い悪党ほど、群れるっていうのは本当の事だったってわけだね。」

「お…おのれ…。ズバット、奴らを倒せ!」

ズバットがナオキ達のもとに向かっていった。

「無駄だ!マグマラシ火炎…」

ナオキが技の名前を言おうとした時、ナオキは急に口を止めた。

「どうしたんだナオキ?」

マグマラシはナオキのいる方を向いて言った。

ナオキは指をさした。

マグマラシはナオキの指差す方向を見た。

「…なるほどな。」

そう呟くように言うと、マグマラシはナオキの方を向き、こくりと頷いた。

ナオキもそれに合わせるようにこくりと頷いた。

マグマラシは体制を構えた。

「ズバット、きゅうけつ!」

ズバットがマグマラシに襲い掛かった。

「よっと!」

マグマラシはそれをひらりとかわした。

「何っ!?」

マグマラシはスタッと着地した。

そして次の瞬間…

「ここまで来てみな!」

そう言って背を向けて逃げていった。

「何?戦いの最中なのに逃げる気か!?」

「さっき戦った相手と違って効果抜群にならないタイプだから怖じけついたのですか?ですが、逃がしませんよ!」

背を向けて走るマグマラシにズバットが襲い掛かった。

「危ない!」

少年は叫ぶように言った。

「これで終わりです!」

その時…

マグマラシがニヤリとした。

それと同時にナオキは言った。

「かかったね。」

「何っ!?」


団員が言った後、ナオキは言った。

「マグマラシ、今だよ!」

「おうよ!あらためてくらいやがれ!」

そう言うと、マグマラシの背中の炎が激しく燃え上がり、そのままズバットの方へ飛んでいった。

「ぎゃああああああ!」

ズバットはマグマラシの炎に飲み込まれた。

炎がおさまった時、ズバットは地面に伏すように墜落した。

「ば…ばかな…背を向けても攻撃できるだと…?」

団員は茫然とした様子で言った。

「図鑑にもあるように、マグマラシは背を向けた状態でも攻撃できるのさ。背を向けたから逃げたと思って油断したね。」

「な…なぜわざわざそんな事を…?」

「さっき攻撃すれば倒す事はできていた。けど、今攻撃したらいけない理由があったからさ。」

「理由?」

団員よりも先に少年が聞いてきた。

「そう。さっきマグマラシが攻撃しようとした時、ズバットはこの辺りにいたでしょ?」

「うん、そうだったね。」

「そしてその位置からもっと奥を見てみて。」

「…あ!もしかしてキミは…。」

少年は何かに気付いたようだった。

「そう。ズバットのいた所にあの人がいたからなんだ。ここで攻撃しちゃったら、あの人を巻き込んじゃうからね。」

ナオキはとっさに気付いたのだ。

攻撃範囲の中に団員に襲われている男の人がいたという事に…

襲われている男の人は、団員によって身動きがとれないに等しい状態にあった。

そのため、あの時ズバットに攻撃をしていたら、その人まで火炎放射の餌食になってしまう。

だからナオキはわざとズバットをおびき寄せたのだ。

「くっ…そこまで計算していたとは…。」

「さて、次はどうするつもりかな?」

ナオキはマグマラシと共に威圧感を込めて言った。

「く…もう我々には残された手段がありません。ここは退散する事にしましょう!」

「それがいいですね。一度谷間の発電所に戻って作戦を立て直しましょう!」

そう言うと、団員はナオキ達の方を向いて言った。

「今日のところはここで引いてあげますよ!ですが、次はないと思って下さい!」

そう言うと、団員達は一目散に走り去っていった。

その時、チャリンという音が微かに聞こえた。

(谷間の発電所は鍵がなければ入れませんからね。)

(奴らが追ってこようと、鍵をかけてしまえば入れない。この勝負は我々の勝ちですね!)

そうひそひそ話のように言いながら団員はソノオの花畑から消えていった。







「ありがとう。きみ達のおかげで助かったよ。」

ナオキだけでなく、少年の事も言っているようだった。

「オレは何もしてませんよ。助けるつもりが逆に返り討ちにあっちゃったから…。」

少年はしょんぼりした様子で言った。

「いやいや、それでも助けようとしてくれただけで嬉しいよ。まだ子供なのにあんな大人達に立ち向かっていったんだからね。」

「そうだよ。相手が大人でも恐れずに立ち向かうのは本当すごい事だよ。」

ナオキが男の人の言った事に付け加えるように言った。

「助けてくれた御礼にさっき奴らにとられそうになったこれをきみ達にあげるよ。」

そう言って彼は二人に『あまいミツ』をあげた。

「それは木に塗るとポケモンが寄ってくる時があるんだ。」

「ありがとうございます。」

ナオキはペコリとお辞儀をした。

少年もそれに合わせてお辞儀をした。


「ところで、キミは誰なの?」

少年はナオキに言った。

「あ、そうだったね。君ってもしかしてコウキくんかな?」

「え?どうしてオレの名前を?」

初対面なのに名前を知ってる事に少年は驚愕した。

「さっき君のお母さんに会って君に会ってほしいって頼まれたんだ。」

ナオキはアヤコから借りた写真を見せた。

「そうだったんだ。そうだよ、オレの名前は『コウキ』。つい最近ポケモントレーナーになったんだ。キミは?」

「私の名前はナオキ。昨日ここに越して来たんだ。このポケモンはマグマラシ。ジョウト地方のポケモンなんだ。」

「ジョウト地方から来たんだ。それにしてもキミって凄く強いんだね。」

「まあね。一応君よりは長くポケモントレーナーをやってるみたいなもんだからね。」



その後、ナオキはコウキにアヤコから頼まれた事をした。

「それじゃあ今度母さんに会ったら言っておいてくれない?『オレは元気でやってるから心配ない』って。」

「OK、まかせてよ。」


その後、ナオキはコウキと別れた。

「またな、ナオキ。またどこかで会おうぜ!」

「気をつけてねコウキくん!」

ナオキは手を振りながら歩いていくコウキに手を振った。

「よし、じゃあフタバタウンに戻ろうぜ。」

「そうだね、アヤコさんに報告しに行かなきゃ。」

二人は歩き出そうとした。

その時…

「?」

「どうしたんだナオキ?」

マグマラシがそう言うと、ナオキは違う方向に歩いていった。

ナオキは何かを拾いあげた。

「これは…?」

ナオキが拾いあげた物は何かの鍵のようだった。