二人は団員を蹴散らしながら進んでいった。
「今まで通ってきた道にいなかったという事は、あの子の父さんは2階にいる事になるね。」
「じゃあこれからオレ達が向かう所にいるってわけだな?」
「そういう事になるね。コウキくん、油断しないようにね。」
「うん!」
二人は階段を駆け上がっていった。
ここは2階。
そこにはナオキの予想通り、あの子の父親らしき人物と先程の声の主がいた。
「一体何が目的だというんだ。」
「あなたには関係ないでしょ。とにかく私達にはポケモンとエネルギーが必要なの。素直に渡さなきゃ最悪の結果を生む事になるわよ。」
声の主がそう言った時…
「!?」
声の主はふと横を見た。
「そこか!」
見た方向から誰かの声が聞こえた。
声の主の見た先に二人の姿があった。
「誰なの?」
声の主がそう言うと、二人が駆け寄ってきた。
「どうやらここみたいだね。」
そう言った瞬間、声の主が姿をはっきりと確認できる位置に二人が立ち止まった。
「…あなたたちね。私達ギンガ団にたてつくポケモントレーナーは。」
「やはりここに潜伏していたか。さっきもソノオタウンでちょっと世話になったからね。」
ナオキの一言を聞くと、声の主は何かを思い出したかのような仕草をした。
「…そういえば…さっき団員がソノオの花畑でマグマラシを連れた青年に倒されたって言ってたわね。あなた、そのトレーナーからこの事を聞いて現れたヒーローみたいな感じかしら?」
(…そうか…。多分奴らは私の『あの時の姿』を教えたから私の『今の姿』を別人物だと思ってるんだな。)
ナオキは一瞬懐疑を抱いたが、正体がばれてない以上好都合な事なので、とりあえずそういう事にしておく事にした。
「あの子の父さんを解放してもらおうか!オレ達はあの子に頼まれてここまで来たんだからね。」
コウキが一歩前に出ながら言った。
「きみ達、助けに来てくれたのか!?」
「ええ。この子の言った通り、あなたの娘さんに頼まれましてね。」
ナオキが続けていった。
「『解放しろ』って言われて素直に解放したら今頃こんな事やらないわ。解放してほしかったら私とポケモンバトルで勝つ事ね。」
「いいだろう。ちょうど肩慣らしが終わった所だからね。」
彼らにとって団員達は肩慣らしに過ぎなかったようだ。
「オレもやる!」
コウキがそう言って前に出た。
「トライス、オレにもやらせて!オレ、キミと同じマグマラシを連れたトレーナーみたいに強くなりたいんだ!」
「…!」
ナオキはそれが自分自身である事にすぐ気がついた。
「……わかった。その代わりくれぐれも油断しないようにね。」
「うん!」
コウキは大きく頷いた。
「準備は整ったようね。それじゃあ始めましょ。」
声の主はモンスターボールを構えた。
「紹介がまだだったわね。私は『マーズ』。ギンガ団幹部の一人よ。」
「『マーズ』…。火星の事か。つまりコードネームというわけだな。」
そう呟いた後、ナオキも名を名乗った。
「私の名前は『トライス』。まあ、とりあえず言っておくならこれはただのコスプレじゃないって事だね。」
「オレも行くぜ。」
コウキはモンスターボールを構えた。
「行け!ナエトル!」
コウキがモンスターボールを投げると、発せられた光と共にモンスターボールが開き、ナエトルが姿を現した。
「行くわよ。行け、ズバット、ブニャット!」
マーズはモンスターボールを二つ同時に投げた。
モンスターボールは同時に開き、2体のポケモンが姿を現した。
「戦い甲斐がある相手だね。マグマラシ!」
「おう!行くぜ!」
マグマラシが前に出た。
「ズバット、きゅうけつ!」
ズバットがナエトルに襲い掛かった。
「ナエトル、かわせ!」
コウキがそう言うと、ナエトルはルックスとは裏腹に機敏な動きでズバットの攻撃をかわした。
「ナエトル、たいあたり!」
ナエトルは着地と同時にズバットにたいあたりをくらわした。
ズバットは少し遠くに飛ばされた。
「どうだ!」
「子供なのに少しはやるようね。」
マーズはコウキに言った。
「でも、それごときじゃ私は倒せないわよ。」
「!」
ナエトルが着地しようとすると、そこにブニャットの姿があった。
「ブニャット、きりさく!」
ブニャットの斬撃がナエトルを襲った。
「ナエ!!」
ナエトルは切られた勢いでズバットよりも遠くに飛ばされた。
「ああ!」
ナエトルはコウキのいる所に飛ばされ、ズザザザと音をたてて地面に引きずられるように倒れた。
「ナエ…。」
ナエトルは満身創痍だった。
「その程度?あなたが攻撃したズバットもまだ倒れてすらいないわよ。」
「く…。」
コウキは額に汗を流した。
「これで終わりにしてあげるわ。ギンガ団にたてついた事を後悔しなさい。」
ブニャットと戻ってきたズバットが同時にナエトルに襲い掛かった。
「ああ!ナエトルー!」
「ナエ…!」
ナエトルは立ち上がる力も残っていなかった。
二体の攻撃がナエトルに襲い掛かった。
ナエトルは固く目をつぶった。
その時…
シュバッ!!
何かがナエトルの前に立ちはだかった。
「!」
二体はビクッとして動きを止めた。
立ちはだかったのはナオキとマグマラシだった。
「トライス…。」
コウキはナオキに囁くような声で言った。
ナオキはコウキの方を向いていった。
「君にはまだ早かったみたいだね…。君に任せすぎた事を許してほしい…。」
ナオキは気まずそうな様子で言った。
「ここから私達も参戦するよ。これで君のナエトルを治してあげて。」
ナオキはコウキにキズぐすりを渡した。
「ありがとう。」
コウキはキズぐすりを受け取り、ナエトルに使った。
「よし、これで体力はもとに戻ったね。」
そう言ってナオキはマーズの方を向いた。
「ナエトルがだいぶ世話になったね。2対1じゃあ不公平だから、ここからは私達も参戦させてもらうよ。」
「おもしろいわ。あなたにも思い知らせてあげる。ギンガ団にたてつくとどうなるかをね。」
「教えてもらおうか。…できるならね。」
「その子はまだ戦えないみたいだから実質あなたも2対1で戦う事になるわよ。私の優勢に変わりはないわ。」
マーズがそう言った時…
「2対1?2対3の間違いでしょ。」
「え?」
「言ったでしょ。私『達』で戦うってさ。」
「他にポケモンがいるとでもいうの?」
「いや、ポケモンは今のところマグマラシだけだよ。」
「ならどうしてそう言えるわけ?」
「君はバトルを『ポケモン対ポケモン』だけに限定してるからそう思うんだろうね。まあ、無理もないけどさ。言ったでしょ、『これはただのコスプレじゃない』ってね。」
そう言うと、ナオキはトライスソードを構えた。
鞘から抜き取った瞬間、細い刃からバチバチと電流が流れた。
「!?」
マーズは意外な光景に一瞬驚愕した。
ナオキが一歩前に出る。
「これで3人だ。」
「トライスも…?」
コウキは呆然としていた。
「あなた正気なの?」
マーズがそう言った時ナオキは即答した。
「正気だよ。そもそも私達に心に影響を与える技は通用しないんだけどね。」
これはガーディアンの力の一つである。
「それじゃあ、ナエトルの体力も戻った事だし、再戦と行こうか。」
ナオキはトライスソードを構え、マグマラシも体制を整えた。
「それなら仕方ないわね。でも、後で後悔しても知らないからね。」
マーズがそう言った瞬間、ナオキは間に入るように言った。
「御託はいいから、さっさと始めようよ。ましてやそうだったら今頃私の方からこんな事は言わないでしょうが。」
ナオキの余裕を持った『ちょうはつ』にマーズは一瞬かちんとした。
「本当に後悔しないでよ!行け、ズバット、ブニャット!」
2体のポケモンが同時に襲い掛かる。
「マグマラシ!」
「おう!行くぜ!」
二人は攻撃体制になった。
「ズバット、きゅうけつ!ブニャット、きりさく!」
マーズの一言と同時に2体の攻撃が同時に二人に襲い掛かった。
「危ない!」
コウキが叫んだその瞬間…
シュバッ!
「な!?」
二人は2体の攻撃をひらりとかわした。
そのまま二人は2体の背後にスタッと着地した。
「攻撃がワンパターンだから避けやすいよ。」
「次はオレ達の番だぜ。」
マグマラシがそう言うと、二人は体制を整えた。
「しまった!」
マーズはスキをつかれた事に気がついた。
しかし、もう手遅れだった。
ナオキはふとコウキの方を向いた。
「…?」
コウキは一瞬キョトンとした。
ナオキは小さく微笑みながらこくりと頷き、再び前を向いた。
二人は同時に2体に飛び掛かった。
「くらえ!」
二人の同時に発した一言と共に二人の攻撃が2体を襲った。
ナオキはトライスソードでズバットに切り掛かり、マグマラシは火炎車でブニャットに突撃した。
「ぎゃあああ!」
2体は今まであった中で一番と言っていいほど遠くに吹っ飛ばされた。
電気タイプの技をくらい、壁にぶつかったズバットは一瞬で戦闘不能になった。
ブニャットは地面にたたき付けられたが、自身の特徴が幸いしたのか、戦闘不能にはならなかった。
「チッ…ちょっと侮っちまったみてえだな。」
マグマラシは着地したのと同時に言った。
ブニャットはまだ立てるほどの気力は残っているようだった。
「油断したみたいね。まだ勝負は終わってないわよ。」
マーズがそう言った時…
「そうだね。ただし…それは私達の言うセリフだけどね。」
「?」
マーズが『え?』という反応をした時、ナオキは付け加えるように言った。
「言ったでしょ。『3人で戦う』ってね!」
ナオキがそう言った時…
「今だよ、コウキくん!」
ナオキのこの一言と共に、もう一つの影が飛び掛かってきた。
影はブニャットに突撃した。
ドガッ!!!
突撃したのはコウキのナエトルだった。
ナエトルのたいあたりはブニャットの急所をとらえていた。
ブニャットは地面にたたき付けられる前に壁にぶつかり、そのまま地面に伏した。
「ブニャット!」
マーズが叫んだ後、ブニャットは何とか立ち上がろうとした。
しかし、マグマラシの火炎車、そしてナエトルのたいあたりを急所に受け、最終的に壁に打ち付けられたブニャットにはもう体力は残されていなかった。
ブニャットはついに戦闘不能になった。
「………。」
マーズは呆然とした。
「倒したつもりになってナエトルの事を忘れてたみたいだね。」
ナオキはマーズに言った。
「この勝負、私達の勝ちだ!」
マーズはしばらく言葉が出なかった。
「コウキくん、見事だったよ!」
ナオキはコウキのいる方を向いて言った。
「…うん…ありがとう…。」
コウキは力のないような声でナオキに言った。
しばらくしてマーズはようやく口を開けた。
「あーらら負けちゃった。」
心を落ち着かせるためか軽い気持ちのこもった言い方だった。
「まあいいわ。あなたとのポケモン勝負、割りと面白かったし。何より、人間が相手するならなおさらね。」
マーズはポケモンをモンスターボールに戻した。
「約束通り、ひとまずバイバイするわ。」
そう言い残し、マーズと団員達は谷間の発電所を去っていった。
「今まで通ってきた道にいなかったという事は、あの子の父さんは2階にいる事になるね。」
「じゃあこれからオレ達が向かう所にいるってわけだな?」
「そういう事になるね。コウキくん、油断しないようにね。」
「うん!」
二人は階段を駆け上がっていった。
ここは2階。
そこにはナオキの予想通り、あの子の父親らしき人物と先程の声の主がいた。
「一体何が目的だというんだ。」
「あなたには関係ないでしょ。とにかく私達にはポケモンとエネルギーが必要なの。素直に渡さなきゃ最悪の結果を生む事になるわよ。」
声の主がそう言った時…
「!?」
声の主はふと横を見た。
「そこか!」
見た方向から誰かの声が聞こえた。
声の主の見た先に二人の姿があった。
「誰なの?」
声の主がそう言うと、二人が駆け寄ってきた。
「どうやらここみたいだね。」
そう言った瞬間、声の主が姿をはっきりと確認できる位置に二人が立ち止まった。
「…あなたたちね。私達ギンガ団にたてつくポケモントレーナーは。」
「やはりここに潜伏していたか。さっきもソノオタウンでちょっと世話になったからね。」
ナオキの一言を聞くと、声の主は何かを思い出したかのような仕草をした。
「…そういえば…さっき団員がソノオの花畑でマグマラシを連れた青年に倒されたって言ってたわね。あなた、そのトレーナーからこの事を聞いて現れたヒーローみたいな感じかしら?」
(…そうか…。多分奴らは私の『あの時の姿』を教えたから私の『今の姿』を別人物だと思ってるんだな。)
ナオキは一瞬懐疑を抱いたが、正体がばれてない以上好都合な事なので、とりあえずそういう事にしておく事にした。
「あの子の父さんを解放してもらおうか!オレ達はあの子に頼まれてここまで来たんだからね。」
コウキが一歩前に出ながら言った。
「きみ達、助けに来てくれたのか!?」
「ええ。この子の言った通り、あなたの娘さんに頼まれましてね。」
ナオキが続けていった。
「『解放しろ』って言われて素直に解放したら今頃こんな事やらないわ。解放してほしかったら私とポケモンバトルで勝つ事ね。」
「いいだろう。ちょうど肩慣らしが終わった所だからね。」
彼らにとって団員達は肩慣らしに過ぎなかったようだ。
「オレもやる!」
コウキがそう言って前に出た。
「トライス、オレにもやらせて!オレ、キミと同じマグマラシを連れたトレーナーみたいに強くなりたいんだ!」
「…!」
ナオキはそれが自分自身である事にすぐ気がついた。
「……わかった。その代わりくれぐれも油断しないようにね。」
「うん!」
コウキは大きく頷いた。
「準備は整ったようね。それじゃあ始めましょ。」
声の主はモンスターボールを構えた。
「紹介がまだだったわね。私は『マーズ』。ギンガ団幹部の一人よ。」
「『マーズ』…。火星の事か。つまりコードネームというわけだな。」
そう呟いた後、ナオキも名を名乗った。
「私の名前は『トライス』。まあ、とりあえず言っておくならこれはただのコスプレじゃないって事だね。」
「オレも行くぜ。」
コウキはモンスターボールを構えた。
「行け!ナエトル!」
コウキがモンスターボールを投げると、発せられた光と共にモンスターボールが開き、ナエトルが姿を現した。
「行くわよ。行け、ズバット、ブニャット!」
マーズはモンスターボールを二つ同時に投げた。
モンスターボールは同時に開き、2体のポケモンが姿を現した。
「戦い甲斐がある相手だね。マグマラシ!」
「おう!行くぜ!」
マグマラシが前に出た。
「ズバット、きゅうけつ!」
ズバットがナエトルに襲い掛かった。
「ナエトル、かわせ!」
コウキがそう言うと、ナエトルはルックスとは裏腹に機敏な動きでズバットの攻撃をかわした。
「ナエトル、たいあたり!」
ナエトルは着地と同時にズバットにたいあたりをくらわした。
ズバットは少し遠くに飛ばされた。
「どうだ!」
「子供なのに少しはやるようね。」
マーズはコウキに言った。
「でも、それごときじゃ私は倒せないわよ。」
「!」
ナエトルが着地しようとすると、そこにブニャットの姿があった。
「ブニャット、きりさく!」
ブニャットの斬撃がナエトルを襲った。
「ナエ!!」
ナエトルは切られた勢いでズバットよりも遠くに飛ばされた。
「ああ!」
ナエトルはコウキのいる所に飛ばされ、ズザザザと音をたてて地面に引きずられるように倒れた。
「ナエ…。」
ナエトルは満身創痍だった。
「その程度?あなたが攻撃したズバットもまだ倒れてすらいないわよ。」
「く…。」
コウキは額に汗を流した。
「これで終わりにしてあげるわ。ギンガ団にたてついた事を後悔しなさい。」
ブニャットと戻ってきたズバットが同時にナエトルに襲い掛かった。
「ああ!ナエトルー!」
「ナエ…!」
ナエトルは立ち上がる力も残っていなかった。
二体の攻撃がナエトルに襲い掛かった。
ナエトルは固く目をつぶった。
その時…
シュバッ!!
何かがナエトルの前に立ちはだかった。
「!」
二体はビクッとして動きを止めた。
立ちはだかったのはナオキとマグマラシだった。
「トライス…。」
コウキはナオキに囁くような声で言った。
ナオキはコウキの方を向いていった。
「君にはまだ早かったみたいだね…。君に任せすぎた事を許してほしい…。」
ナオキは気まずそうな様子で言った。
「ここから私達も参戦するよ。これで君のナエトルを治してあげて。」
ナオキはコウキにキズぐすりを渡した。
「ありがとう。」
コウキはキズぐすりを受け取り、ナエトルに使った。
「よし、これで体力はもとに戻ったね。」
そう言ってナオキはマーズの方を向いた。
「ナエトルがだいぶ世話になったね。2対1じゃあ不公平だから、ここからは私達も参戦させてもらうよ。」
「おもしろいわ。あなたにも思い知らせてあげる。ギンガ団にたてつくとどうなるかをね。」
「教えてもらおうか。…できるならね。」
「その子はまだ戦えないみたいだから実質あなたも2対1で戦う事になるわよ。私の優勢に変わりはないわ。」
マーズがそう言った時…
「2対1?2対3の間違いでしょ。」
「え?」
「言ったでしょ。私『達』で戦うってさ。」
「他にポケモンがいるとでもいうの?」
「いや、ポケモンは今のところマグマラシだけだよ。」
「ならどうしてそう言えるわけ?」
「君はバトルを『ポケモン対ポケモン』だけに限定してるからそう思うんだろうね。まあ、無理もないけどさ。言ったでしょ、『これはただのコスプレじゃない』ってね。」
そう言うと、ナオキはトライスソードを構えた。
鞘から抜き取った瞬間、細い刃からバチバチと電流が流れた。
「!?」
マーズは意外な光景に一瞬驚愕した。
ナオキが一歩前に出る。
「これで3人だ。」
「トライスも…?」
コウキは呆然としていた。
「あなた正気なの?」
マーズがそう言った時ナオキは即答した。
「正気だよ。そもそも私達に心に影響を与える技は通用しないんだけどね。」
これはガーディアンの力の一つである。
「それじゃあ、ナエトルの体力も戻った事だし、再戦と行こうか。」
ナオキはトライスソードを構え、マグマラシも体制を整えた。
「それなら仕方ないわね。でも、後で後悔しても知らないからね。」
マーズがそう言った瞬間、ナオキは間に入るように言った。
「御託はいいから、さっさと始めようよ。ましてやそうだったら今頃私の方からこんな事は言わないでしょうが。」
ナオキの余裕を持った『ちょうはつ』にマーズは一瞬かちんとした。
「本当に後悔しないでよ!行け、ズバット、ブニャット!」
2体のポケモンが同時に襲い掛かる。
「マグマラシ!」
「おう!行くぜ!」
二人は攻撃体制になった。
「ズバット、きゅうけつ!ブニャット、きりさく!」
マーズの一言と同時に2体の攻撃が同時に二人に襲い掛かった。
「危ない!」
コウキが叫んだその瞬間…
シュバッ!
「な!?」
二人は2体の攻撃をひらりとかわした。
そのまま二人は2体の背後にスタッと着地した。
「攻撃がワンパターンだから避けやすいよ。」
「次はオレ達の番だぜ。」
マグマラシがそう言うと、二人は体制を整えた。
「しまった!」
マーズはスキをつかれた事に気がついた。
しかし、もう手遅れだった。
ナオキはふとコウキの方を向いた。
「…?」
コウキは一瞬キョトンとした。
ナオキは小さく微笑みながらこくりと頷き、再び前を向いた。
二人は同時に2体に飛び掛かった。
「くらえ!」
二人の同時に発した一言と共に二人の攻撃が2体を襲った。
ナオキはトライスソードでズバットに切り掛かり、マグマラシは火炎車でブニャットに突撃した。
「ぎゃあああ!」
2体は今まであった中で一番と言っていいほど遠くに吹っ飛ばされた。
電気タイプの技をくらい、壁にぶつかったズバットは一瞬で戦闘不能になった。
ブニャットは地面にたたき付けられたが、自身の特徴が幸いしたのか、戦闘不能にはならなかった。
「チッ…ちょっと侮っちまったみてえだな。」
マグマラシは着地したのと同時に言った。
ブニャットはまだ立てるほどの気力は残っているようだった。
「油断したみたいね。まだ勝負は終わってないわよ。」
マーズがそう言った時…
「そうだね。ただし…それは私達の言うセリフだけどね。」
「?」
マーズが『え?』という反応をした時、ナオキは付け加えるように言った。
「言ったでしょ。『3人で戦う』ってね!」
ナオキがそう言った時…
「今だよ、コウキくん!」
ナオキのこの一言と共に、もう一つの影が飛び掛かってきた。
影はブニャットに突撃した。
ドガッ!!!
突撃したのはコウキのナエトルだった。
ナエトルのたいあたりはブニャットの急所をとらえていた。
ブニャットは地面にたたき付けられる前に壁にぶつかり、そのまま地面に伏した。
「ブニャット!」
マーズが叫んだ後、ブニャットは何とか立ち上がろうとした。
しかし、マグマラシの火炎車、そしてナエトルのたいあたりを急所に受け、最終的に壁に打ち付けられたブニャットにはもう体力は残されていなかった。
ブニャットはついに戦闘不能になった。
「………。」
マーズは呆然とした。
「倒したつもりになってナエトルの事を忘れてたみたいだね。」
ナオキはマーズに言った。
「この勝負、私達の勝ちだ!」
マーズはしばらく言葉が出なかった。
「コウキくん、見事だったよ!」
ナオキはコウキのいる方を向いて言った。
「…うん…ありがとう…。」
コウキは力のないような声でナオキに言った。
しばらくしてマーズはようやく口を開けた。
「あーらら負けちゃった。」
心を落ち着かせるためか軽い気持ちのこもった言い方だった。
「まあいいわ。あなたとのポケモン勝負、割りと面白かったし。何より、人間が相手するならなおさらね。」
マーズはポケモンをモンスターボールに戻した。
「約束通り、ひとまずバイバイするわ。」
そう言い残し、マーズと団員達は谷間の発電所を去っていった。