二人は森の中を歩いていた。

「パルキアはどうしたんだ?」

マグマラシがナオキに言った。

「エレメンタル内にいるよ。」

「あいつは外に出ないのか?」

「まあね。彼もギンガ団にかなり警戒してるみたいだからね。」

いつまた狙われるかわからないパルキアはしばらく聖地エレメンタルに避難する事になった。

「それじゃあ、早速色んな所に行ってみようか。」

「おう。どんな場所があるのか見物だぜ。」

二人は森の中をしばらく歩いていった。





しばらく歩くと町が見えた。

「あっちに何かあるみたいだぜ。」

「行ってみようか。」

「おう。」

二人は町の方へ走っていった。



そこはとても静かな町だった。

ナオキは看板を見てみた。

「ここは『フタバタウン』。若葉がいぶく場所…か。」

「町にしては結構静かだな。」

「多分、田舎町なんだろうね。」

そこへ誰かが二人のもとに駆け寄って来た。

「見かけない顔ね。どこから来たの?」

フタバタウンの住人のようだった。

「あ、初めまして。私、ジョウト地方から来た者です。」

「ジョウト地方!?随分と遠い所から来たのね。」

声の主が驚くのも無理はない。

ジョウト地方はシンオウ地方から見れば、カントー地方を跨いだ所に位置している。

そこから考えれば、二人はかなり遠い所から来た事になる。

二人にはわけない事だが、普通の人から見ればかなりの遠出である。

「はい。私達は色んな所を旅してるんです。」

「そうなの…。そういえばまだ名前を聞いてなかったわね。あなたの名前は?」

「私の名前は『ナオキ』。昨日ここに来た者です。このポケモンはマグマラシ。ジョウト地方のポケモンですから、ここで見かけないのも無理はないですね。」

「ナオキくんて言うのね。私はアヤコ。ポケモンをつれてるみたいだけど、あなたもポケモントレーナーなの?」

「まあ、一応そう言えますね。」

自身の実質的な姿を考えると、少々複雑な心境だった。

「私の息子も最近ポケモントレーナーになったばかりで、博士のお手伝いをするために旅に出る事になったのよ。」

「そうなんですか。それっていつ頃の事なんですか?」

「1週間ぐらい前だったわ。幼なじみのジュンヤくんと一緒に湖に行ってたらムックルに襲われて、その時偶然近くにあったポケモンを使って難を逃れたの。それをきっかけに私の息子のコウキとジュンヤくんはポケモントレーナーをする事になったの。」

「すごい奇遇ですね。」

「そうなのよ。コウキは博士の手伝いをする事になったって言って次の日に旅に出たの。ポケモンがいるにしてもまだ10歳だから、気掛かりでね…。あの子だけで本当大丈夫かしら…。」

「10歳…。ちょうどポケモントレーナーの資格が認められる年齢だったんですか。」

ナオキは10歳で旅に出たコウキに少し関心を抱いていた。

その時、アヤコはナオキに言った。

「ねぇナオキくん。あなたにちょっとお願いしていいかしら?」

「お願いですか?」

「そう。そんなに大きな事じゃないんだけど…。」

「どんなお願いです?」

「コウキを見かけたら、私の事を言っておいてくれないかしら?元気でやってるとか、旅の調子はどうとか。何を言うかはあなたに任せるわ。あと、もしコウキに会ってまたここに来たらコウキの事を教えてほしいわ。お願いできる?」

「大丈夫ですよ。コウキくんってどんな人ですか?」

「あ、そうだったわね。これよ。赤い帽子を被ってて、黄色いリュックを背負ってるわ。あと、右腕に青色のポケッチっていう腕時計みたいな物を着けてるわ。それから赤いマフラーを着けてるのも特徴よ。」

アヤコはコウキの写真を見せながら言った。

言ったままの特徴通りのコスチュームをしていたので、これはどうやら出発前に撮影された写真のようである。

「説明するよりも、この写真を持った方が早いわね。」

アヤコはナオキにコウキの写真を渡した。

「いいんですか?」

「大丈夫よ。コウキを見つけてもらうためならわけないわ。」

「では、ここに来た時にお返しいたしますね。それまでこれは借りさせてもらいます。」

「ええ、そうしておくわ。それじゃあよろしく頼むわ。」

「はい。それではまた。」

そう言ってナオキとマグマラシはフタバタウンを後にした。





しばらくして二人はもう一つの町に着いた。

フタバタウンよりは建物が多い町だった。

「ここは『マサゴタウン』。海につながる砂の町。コウキくんの故郷の近所みたいだね。」

看板にある通り、看板のある位置から後ろを向いた先には海岸が見える。

「海に面してるのか。ガーディアン・トライスが表示してた地図から推測すると、まだ南西の辺りにいるって事になるな。」

「まさに私達はまだ氷山の一角ならぬ、シンオウ地方の一角しか進んでないって事だね。」

二人はシンオウ地方の広さをあらためて実感した。

「コウキくんらしき人物はいないみたいだね。次に進もうか。」

「そうだな。」

二人は次の町に行く事にした。

その時…

「あれ?何このポケモン?ここじゃ見かけないわね。」

またもやどこからともなく声が聞こえた。

「?」

ナオキは声がした方を向いた。

そこに、一人の女の子がいた。

モンスターボールのマークのある白い帽子を被っていて、青いロン毛をしていて、コウキと似たマフラーをしていた。

「君は?」

ナオキは声の主に言った。

「私?私の名前はヒカリ。ここに住んでるの。あなたの名前は?」

「私の名前はナオキ。昨日この地方に来たんだ。このポケモンはマグマラシ。ジョウト地方のポケモンだから君が見かけないのも無理はないね。」

「ナオキくんって言うんだ。よろしくね、ナオキくん。」

「こちらこそよろしく。」

ナオキはヒカリと握手をかわした。

「あなたの方もよろしくね、マグマラシ。」

ヒカリはマグマラシに手を差し出した。

マグマラシは人から握手されるのが初めてだからか、少々躊躇いを見せていたが、向こうから握手を求めてる以上やらないわけにはいかないので、ヒカリの手に前足をくっつける形で握手をした。

「あなた達、ここに来るのは初めてなの?」

「そうだね。この辺りに来たのは今日が初めてだから。」

「そうなの。だったらどこか案内してあげようか?」

「…まあ、それは必要に応じてそうさせてもらう事にするよ。そうだ。ヒカリちゃん、君、この男の子見かけなかった?」

ナオキはそう言ってアヤコからもらったコウキの写真を見せた。

「あ、この子だったらさっきソノオタウンに行ったわ。」

「ソノオタウン?」

「ここから前に進んだらコトブキシティっていう町を通ってずっと北の方に進んだ所よ。そこってたくさんの花が咲いてるんだって。」

「そうなんだ…。なかなか綺麗な町なんだね。早速案内してもらったね。ありがとう、ヒカリちゃん。」


直に案内しなくても教える事もちゃんとした案内である。


「どういたしまして。それにしてもナオキくんってすごく大きいのね。近くからだと顔を上げなきゃ顔が見えないわ。」

ヒカリの全長は140㎝。それに対してナオキは180㎝だったのでヒカリがそう思うのも無理はない。


「それじゃあ早速行ってみるよ。またね、ヒカリちゃん。いろいろありがとう。」

「うん。またねナオキくん。またどこかで会おうね!」


ナオキ達はマサゴタウンを後にした。






「今日はいろんな人に会うよね。」

「ああ、そうだな。ま、町なんだから当たり前だと思うべきなんじゃねえの?」

「そうかもね。」

二人はあらためて行動を続けた。





しばらく前に進むと、今まで訪れた中で(といってもまだ2つしか訪れてないのだが)かなり大きな町にたどり着いた。


「うわぁ…すごく広い場所だなぁ…。」

「確かにすげぇな。ジョウト地方で言ったらどこに相当するんだろうな。」

田舎町から都会に来たような気分だった

「ここは『コトブキシティ』。人が集う幸せの街、か…。まさにその名の通りだね。」

看板の通り建物だけでなく、たくさんの人達が集っていた。


ナオキは辺りを見回した。

「…確かにここにはいないみたいだね。ヒカリちゃんが言った通りソノオタウンに向かったのは間違いないみたいだね。」

コウキがコトブキシティにいないという見解は、偏見みたいな判断だが、コトブキシティはかなり広いので、さすがにぱっと見だけで十分な判断をするのは不可能に等しい。

二人はしばらくコトブキシティ内を歩いた。

さすがはコトブキシティと言うほどその広さは普通じゃなかった。

「ここに来て早々こんな広い街に来るとはね。ジョウトの時はコガネシティまでかなり遠かっただけに。」

「そうだな。ジョウトと比べたらここは都会の街が多いのかもしれないな。」

二人がそう話しながらしばらく歩くと…

「あ。マグマラシ、あっちじゃない?」

ナオキが指差す方角にはコトブキシティの出口らしき道があった。

「ガーディアン達の情報とヒカリが言ってた事からすればそうみてえだな。」

出口はマップから入口から見れば真っすぐの位置にあった。

簡単のように見えるが、これほど広い街の中でこれを見つけだすのは結構難しい事だった。

歩いてるうちに進んでいる方向がいつの間にかズレて全く違う方向に行ってしまう事があるというのがその理由の代表例である。

「じゃあ早速行ってみようか。」

「おう、早くしないとコウキがまた遠い所に行っちまうかもしれないからな。よし、じゃあ行こうぜ。」

そう言ってマグマラシは一目散に走っていった。

「あ、ちょっと待ってってば!」

ナオキはつい最近同じセリフを言ってたような…とひそかに思いながら慌ててマグマラシを追い掛けていった。