ナオキとリオルはギルドの入口の前に来た。

「ここがプクリンのギルドだよ。」

わかりやすいように建物の設計はプクリンの姿そのものだった。

「探検隊になるならここでまずチームを登録して…一人前になるまで修行しなくちゃならないんだけど…。」

リオルはブルブル震えた。

「…なんか怪しげな所だよね。やっぱり。」


リオルは前を向いた。

「いや。今度はナオキも一緒なんだ。勇気を出さなくちゃ。」

リオルはそう言って木の編み目のある場所に足を踏み入れた。

すると…

「ポケモン発見!ポケモン発見!誰の足型?誰の足型?足型はリオル!足型はリオル!」

どこからともなく声が響いた。

「わわっ!」

リオルは一瞬ヒヤッとしたが何とかこらえた。

「い、いや。ここはガマンしなくちゃ…。」

リオルは乗っていた場所から一旦離れた。

「…よし。側にもう1匹いるな。オマエも乗れ。」

再び声がした。

「…私も?」

「多分ナオキの事言ってるんだと思うよ。」

客観的に見て明らかにそうである。ここには今リオルとナオキしかいないのだから。

「ここに乗れって。」

リオルは自分がさっき乗っていた所を指した。

そこには木の編み目が張られていた。

「穴の上に細かい格子が張ってあって…誰かが上に乗っても落ちないようになっているんだけど…でもなんか妙なんだよね…。あそこの上に乗ったら足の裏がこそばゆそうというか…。」

ナオキがそう考えた時…

「おい!そこのもう1匹!早く乗らんか!」

またどこからともなく声が聞こえた。

「え!?あ、はい…。」

ナオキはリオルに続いて格子の上に乗った。

「ポケモン発見!ポケモン発見!誰の足型?誰の足型?」

「足型は…足型は…エート…。」

「どうした!?見張り番!ん?見張り番!?」

「見張り番のディグダ!どうしたんだ!?応答せよ!」

どうやらさっきのセンサーの声の主はディグダのようである。

「んーと…エート…。」



一方その頃格子の下では…


「エート…足型はぁ…多分ピカチュウ!多分ピカチュウ!」

「なんだ!多分って!?」

ディグダはあわてふためいていた。

「だ、だってぇー…。このへんじゃ見かけない足型なんだもん…。」

「あーもう情けないな!足の裏の形を見てどのポケモンが見分けるのが…ディグダ。オマエの仕事だろう?」

ディグダは焦っていた。

「そんな事言われてもぅ…。わからないものはわからないよー。」



一方その頃上では…


「あれ?どうしたのかな…?」

「…なんかもめてるのかな…。」

リオルがそう言った時…

「…待たせたな。」

どこからともなく声が聞こえた。

「まあ…確かにピカチュウはここらじゃ見かけないが…でも怪しい者ではなさそうだな…。よし!いいだろう!入れ!」

ゴゴゴゴゴゴ…

辺りが地響きが起きたようにゆれだした。

それと同時に門が開いた。
「ひゃー!」

リオルは驚き、ナオキの方を向いた。

「緊張してるせいか、いちいちビックリだよ。」

リオルは少し冷や汗をかいていた。

「でも入れるようになったみたいでよかったね。まだドキドキしてるけど…。とにかく行ってみよう。」

「OK!早速入ろう!」


二人は中へと入っていった。



入ってみるとそこには…

「こ、こんな所に地下の入口が!」

二人は梯をつたい下へ降りていった。



そこにはたくさんのポケモン達がいた。


「わぁ~!」

リオルはかなり感動しているようだった。

二人は歩き出していった。

「ここがプクリンのギルドかぁ!ポケモン達がたくさんいるけどみんな探検隊なのかなぁ。」

リオルがそう言った時…

「おい!」

降りてきた所から声がした。

振り向くとそこに1匹のペラップがいた。

「さっき入ってきたのはオマエ達だな?」

「は、はい!」

「ワタシはペラップ♪ここらでは一番の情報通であり…プクリン親方の一の子分だ♪勧誘やアンケートならお断りだよ。さあ帰った帰った。」

リオルは慌てて言った。

「ち、違うよ!そんな事で来たんじゃないよ。ボク達探検隊になりたくて…ここで探検隊の修行をするために来たんだよ。」

(情報通という割には他人の行動に対しては随分と極端な偏見を持ってるなぁ…。)

リオルの言った事を聞いた瞬間ペラップは一瞬ビクッとした。

「えっ!た、探検隊!?」

ペラップは後ろを向いた。

「今時珍しい子だよ…。このギルドに弟子入りしたいとは…。あんな厳しい修行はもうとても耐えられないと言って…脱走するポケモンも後を絶たないというのに…。」

リオルはペラップの行動に疑問を抱いているようだった。

「ねえ。探検の修行ってそんなに厳しいの?」

「はっ!?」

ペラップは「聞こえてた?」というような仕草をした。

ペラップは慌てて振り返り言った。

「いやいやいやいやいやいや!!そ、そんな事ないよ!探検隊の修行はとーっても楽チン!」

「…いや、もう撤回しなくていいですよ…。そこまで極論表現されたらむしろそっちを疑っちゃいますから…。」

ペラップは笑顔で言った。

「そっかー♪探検隊になりたいなら早く言ってくれなきゃー♪フッフッフ♪」

二人はポカンとした。

「…なんか急に態度が変わったね…。」

リオルはナオキに言った。

「それだけここは行き詰まってるのかな…?」

二人が述べた時ペラップが言った。

「じゃ、早速チームを登録するから着いて来てね♪」

ペラップは梯のある方へ歩き出した。

二人は立ちすくんでいた。

ペラップが後ろを向いた。

「何してんの?こっちだよ♪さあ早く♪」

二人はペラップの後に着いていった。



もう一段梯を降りた。

「ここはギルドの地下2階。主に弟子達が働く場所だ。チームの登録はこっちだよ。さあ。」

ペラップの案内に着いていった時、リオルは突然走り出して窓を見た。

「わあ!ここ地下2階なのに外が見えるよ!」

「いちいちはしゃぐんじゃないよ!」

ペラップは怒鳴るように言った。

「このギルドは崖の上に建っている。だから外の見えるんだよ!」

「へえ~っ。」

ペラップがナオキの方を向いた。

「さあここがプクリン親方のお部屋だ。くれぐれも…くれぐれも粗相がないようにな。」

ペラップは扉の方に向かって言った。

「親方様。ペラップです♪入ります。」



親方の部屋。

「親方様。こちらが今度新しく弟子入りを希望している者達です。」

プクリン親方は反応を見せなかった。

「親方様…。…親方様?」

すると…

「やあっ!!」

プクリン親方が振り返った。

「ボクプクリン!ここのギルドの親方だよ?探検隊になりたいんだって?じゃ一緒に頑張ろうね!とりあえず探検隊のチーム名を登録しなくちゃ。キミ達のチームの名前を教えてくれる?」

「ええ?チームの名前?」

リオルはあわてふためいた。

「チームの名前なんて考えてなかったよ。」

リオルはナオキの方を向いた。

「ナオキ。何かいい名前ある?」

「チーム名ねぇ…そうだな…。」

ナオキは考え込んだ。

その時、ナオキの中で閃光のようにある単語が浮かんだ。


「…セイント…。チーム『セイント』。」

「…セイント?」

「『セイント』っていうのは「聖なる・慈悲深い・清浄な」っていう意味があるんだ。純粋な聖なる心のもとに、正しいやり方でみんなの役に立つ存在になり、清浄な心のもとに、大切な仲間達を護る気持ちも込められているんだ。」

「…セイント!うん!いい名前だね!気に入ったよ!」

「ありがとう。気に入ってもらえて嬉しいよ。」

ナオキはリオルに小さく微笑んだ。

「決まりだね!じゃあ『セイント』で登録するよ。登録♪登録♪みんな登録…」

すると…

「たあ―――――――っ!」

プクリンが突然大声で叫んだ。

「おめでとう!これでキミ達も今日から探検隊だよ!記念にこれをあげるよ。」

プクリンはポケモン探検隊キットを置いた。

「ポケモン探検隊キット?」

「うん。探検隊に必要な物なんだよ。早く中を開けてみて。」

リオルはポケモン探検隊キットを開けてみた。

中には「探検隊バッジ」と「不思議な地図」と「トレジャーバッグ」が入っていた。

「わあ~!いろいろ入ってる!」

「まず探検隊バッジ。探検隊の証だよ。そして不思議な地図。とても便利な地図なんだよ。最後にトレジャーバッグ。ダンジョンで拾った道具をとっておけるんだよ。また、キミ達のこれからの活躍によってバッグの中身もどんどん大きくなっていくという…とても不思議なバッグなんだよ。トレジャーバッグの中を見てごらん。」

リオルはバッグを覗いてみた。

中には「キトサンバンダナ」と「水色リボン」が入っていた。

「その2つの道具は特別な物。キミ達の探検にきっと役立つと思うよ♪」

「あ、ありがとう!ボク達これから頑張ります!」

「うん。でもまだ見習いだから頑張って修行してね!」

「はい!」

リオルはナオキの方を向いた。

「ナオキ!頑張ろうね!」

「うん!」

二人は「おーっ!」という形で空に向かって手を掲げた。





ペラップに案内され二人は部屋の中に入った。


「ここがオマエ達の部屋だ♪」

二人は中に入った。

「わ~い!ベッドだあ!」

リオルはかなりはしゃいでいた。

「これからオマエ達には住み込みで働いてもらう。明日から忙しいぞ♪早起きしなきゃならんし規則も厳しい。夜更かししないで今日はもう早めに寝るんだぞ♪じゃあな。」

ペラップは部屋を去っていった。



その夜…

「…ねえナオキ。まだ起きてる?」

「起きてるよ。」

「ボク今日はもうずっとドキドキだったけど…でも思いきってここにきてよかったよ。プクリンももっと怖いのかと思ったけど案外優しそうだったしさ…。明日からまた色んな事がありそうだけど、でもボクそんなに怖くない。逆にこれからどんな冒険があるんだろうってワクワクしてるんだよ。」

「それは私も同じだよ。その気持ち、忘れずにね。」


「…少し眠くなってきちゃった…。明日から頑張ろうね。」

「…そうだね。一緒に頑張ろうねリオル。」

ナオキは囁くような声でリオルに言った。

「じゃあね。ナオキ…。おやすみなさい…。」

「おやすみ、リオル。また明日ね…。」

そう言ったのを最後に二人は床に就いた。

(なんかあっという間にギルドに入門しちゃったな…。確かに探検隊するのはワクワクするし…リオルと一緒にいるのも楽しそうなんだけど…。でも…それより…私は一体…何者なんだろう…。だいたい私はどうしてポケモンになってしまったんだろう…。そしてどうしてあの浜辺に倒れていたんだろう…。)

ナオキは心の中で囁いていた。

(まあ今考えても仕方ないし…とりあえず今はギルドの仕事を頑張ろう…。そうすれば…きっと見えてくるはずだから…。真実も…そのうちに…。きっと…。)

これを最後にナオキの心の中も静かになった。

部屋の中は静寂に包まれた。

静寂に包まれた部屋の中からは二人の小さな寝息の音が微かに聞こえていた。

こうして二人のギルドでの初めての夜は更けていった。