数千人乗りの大型客船で大海原を行く「クルーズ旅行」。
長期間で多くの国を訪れるリッチな旅というイメージが強いが、今年は7~10日間で日本各地と韓国などを巡る旅行が、11万円台から売られている。お手頃なクルーズ旅行を紹介しよう。
客室で価格差
クルーズ旅行は、レストランや娯楽施設を完備した大型客船で、各地の寄港地を巡るものだ。
日中は寄港地で下船して市内を観光し、夕方には船に戻りディナーを楽しむ。夜は船内の劇場でショーを見たり、バーでお酒を飲んだりして過ごす。翌朝起きると、船は次の寄港地に着いている、という旅だ。宿泊はずっと船内なので、荷造りして移動する手間がかからない。
旅行大手が売り出しているクルーズ旅行の例を、表に示した。目を引くのが、その価格だ。JTBのクルーズ旅行は、神戸や鹿児島の温泉地や韓国・釜山を巡り、最も安い代金なら10日間で12万円台だ。エイチ・アイ・エスでも7日間で11万円台が用意されている。
クルーズ旅行の代金には客船内の食事代に加え、船内の劇場や映画館など娯楽施設の利用料まで含まれる。代金は客室のランクで異なる。すべて個室だが、代金の下限は海に面していない客室で、その上が海に面した客室、上限がスイートルームとなっている。
低コストで運航
これらのクルーズ旅行は、米国やイタリアの会社が運航する外国客船を利用している。実は、手頃な代金設定は外国客船利用ならでは、なのだ。
これまで日本を発着するクルーズ旅行は、日本の客船を利用するものに、ほぼ限られ、代金は最低でも1人1泊当たり4万~5万円が相場だ。一方、今年に入って日本市場に参入した外国客船の代金は、同1万~2万円から設定されている。
外国客船の代金が比較的安い理由は「ほとんどの船員がフィリピンなどの外国人のため、人件費が抑えられ低コストで運航できる」(エイチ・アイ・エス)からだ。また、欧米では大衆的な旅としてクルーズ旅行が浸透し、企業間の競争が激しい分、相場が比較的低くなるという事情もある。
今年、米国の客船大手プリンセス・クルーズ社は、「サン・プリンセス号」(総トン数7万7000トン、全長261メートル)で、初めて日本市場に本格参入。JTBは、この客船を利用している。
また、エイチ・アイ・エスのように、イタリア企業の「コスタ ビクトリア号」(同7万5000トン、同253メートル)をチャーターして、旅行を企画する動きも出始めている。
「JTBロイヤルロード銀座」(東京)でクルーズデスク総支配人を務める斎藤和宏さんは、日本のクルーズ業界にとって、外国客船の参入は「黒船来航のような事態」と話す。
映画にカジノ眠れない
慣れない船旅には不安もある。特に船酔いが心配だ。しかし、大型客船は比較的波の影響を受けにくい。「海が大荒れでなければ、揺れはほとんど感じず、船酔いする人はまれ」(斎藤さん)という。医務室も完備されている。
船旅で退屈することもなさそうだ。船内では映画館やスポーツジム、屋上デッキにはプールなどもあり、どれも基本的に無料で楽しめる。しかも船が公海上にある間は、カジノが開かれ夜中まで遊べるという。
出典:読売新聞