憲法ということばの概念(concept)は多義的(polysemy)である。


(1) 形式的意味の憲法

 これは、憲法という名称をもつ特定の成文法典(=憲法典)として定義される。実際には、その法典の表題が憲法であり、内容が国家の根本法であり、形式的効力が国法秩序におてい頂点にあるなどの点から、憲法と位置づけられる法典であることをも含意する。

日本国憲法、アメリカ合衆国憲法、かつての大日本帝国憲法などは形式的意味の憲法である。

* ドイツ連邦共和国基本法は、表題こそ憲法ではないが、形式的意味の憲法として扱われている。聖徳太子の十七条憲法はその内容は道徳的規範であり、形式的意味の憲法には含まれない。


(2) 実質的意味の憲法

 国家の統治の基本、つまり政治権力を行使する機関、組織と作用および相互の関係を規律する基本的原理、規範。どの時代のどの国家にも必ず存在する。憲法附属法(現代日本における皇室典範など)もこれに含まれる。

* イギリスには実質的意味の憲法は存在するが、形式的意味の憲法は存在しない。



*日本国憲法は、それ自体形式的意味の憲法であるとともに、憲法附属法も含めて実質的意味の憲法をも成している。


*学者さんによっては、ここで実質的意味の憲法として説明したものを、固有の意味の憲法とよび、固有の意味の憲法と「憲法 第2回」で触れる立憲的意味の憲法とを合わせて、実質的意味の憲法とされます。


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