僕が探し求めていたノートを持って現れた少年。
年齢的には僕と同じぐらい・・・・・・といっても、ここは高校の図書室だから、同年代の生徒か、先生しかいない。
それも、さっき自ら1年C組の小笠原なんとかって自己紹介したのだから、嘘でもついてない限り同級生だろう。
短い黒髪。意志の強そうな凛々しい眉。人懐っこい笑顔が顔に浮かんでいる。
そういえば・・・・・・合同体育の時間にクラスの女子が騒いでた気がする。C組の誰かと誰かと、小笠原くんがかっこいいって。
「ありがとう・・・・・・」
「あーあー、あ、あのさっ! 今いい?」
伸ばした指先でノートに触れる。小笠原くんはノートの反対側に手をかけたまんま。
訝しげに眉を寄せる。
「ノート・・・・・・返してくれないの?」
むっとした表情が顔に出ていたのかもしれない。
小笠原くんは掴んでいたノートの端を慌てて離した。
「わりぃ、その・・・・・・興奮しちゃってて・・・・・・」
「興奮・・・・・・?」
「そのノートの中身・・・・・・見ちゃった」
「はぁー?!」
一瞬で頬が赤らんでいくのがわかった。
人生で一番誰かに見られたら困るもの、恥ずかしいもの、それをよく知らない、同級生に見られた。
それも、自分とはまったく正反対のタイプの活発そうな男子に・・・・・・。
今日は・・・・・・厄日だ・・・・・・。
へこむ僕の真正面の席に彼は腰を下ろした。
落ち込む僕とは逆にきらきらと目を輝かせてこちらを見てくる。
中、見られたんなら・・・・・・小説かいてることをからかわれるかな・・・・・・。
でも、彼の反応は僕の予想とはまったく別のものだった。