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星の本棚

管理人七瀬のオリジナルSS置き場です。
ご自由に拝見ください。

今回は七瀬のブログに足を運んでくれてありがとうございます。


ここは、七瀬が気ままにオリジナル小説をアップしていくブログです。

気ままに日記を書いたりなんかもします。

よろしければお付き合いください。


早速、1個目のお話を書き始めてみました。

『トライアングラー』

タイトル元ネタは某SF三角関係ロボットアニメの主題歌です。


ちなみに話の中身も三角関係。

どんな三角関係課はまだ秘密にしときます。


ちなみにBLです。

ボーイミーツボーイです。


苦手なのに見ちゃった方、申し訳ありません!


のろのろと、1年ぐらいかけて完結出来ればいいかなぁと思ってます。

よろしければ最後までお付き合いください。

君との出会いは本当に偶然。


いろいろな偶然と奇跡が重なって僕と君は出会った。


僕、綾瀬郁実。

君、小笠原悠介。

そして、あの子、山崎梓。


僕らの出会いは高1の春まで遡る。

ピンクの桜が散って木々が緑に彩られる新緑の季節のこと。

僕は、音楽室にノートを置き忘れた。見た目普通の科学のノート。

中身は……中学生のころから書き続けていた小説で埋め尽くされていた。


冒険小説。偶然特別な力を得た主人公がヒロインと出会って世界を救う話。

よくある話。

だけど、僕にとっては特別で、大事な物語。


そのノートを落としてしまったことがその日一番の不幸な出来事だった。

表紙に学年もクラスも名前も書いてあるから、きっと戻ってくるって思ったけど、ノートを拾った人が中身を見ないなんて保証はなかったから。

中身を見られて、最悪……大騒ぎされてからかわれて……そんな最悪の想像ばかりが頭を駆け巡っていた。


放課後、大好きな図書室の夕日が差し込む特等席で過ごす大好きなひとときもノートのことを考えると憂鬱で仕方なかった。


「ねえねえ、君が綾瀬郁実?」


声をかけられたのは、ちょうど図書室に夕日が差し込み本棚や本が真っ赤に染められる時間だった。

壁も天井も夕日の色をしたその場所に、不釣り合いなきらきらと眩しい笑顔をした少年が一人立っていた。


見慣れない顔、聞きなれない声……訝しげに眺めているとそいつは僕の目の前の席に座った。


「はじめまして。俺、小笠原悠介。1年C組!」

「……はじめまして」

「ねね、君が1年A組の綾瀬郁実であってるよね?」

「あってるけど……何か用?」

「よかった!A組の友達に聞いたらさ放課後は文芸部の部室か図書室にいるって言ってたからドキドキしながら来たんだよね」


……何だコイツ?


それが、第一印象。

決して印象が良かったわけではない。


だけど、なんだか気になった。その瞳と笑顔から目が離せなくなった。

もしかしたら一目惚れだったのかもしれない。僕の大嫌いな一目惚れ。


怪訝そうに見ている僕の視線なんかものともせず君はノートを差し出してきた。


『科学   1年A組 綾瀬郁実』

「はい、これ君のでしょう?」

差し出されたノートは僕が探し求めていたものだった。






この世界の片隅で起きた小さな小さな奇跡。

誰にも気づかれないように息を潜めてた。
誰にも気づかれないように眠っていた。

だけど、本当は誰かに気づいてほしかった。
だけど、本当は誰かに見つけてほしかった。

こんな自分でもこの世界に存在してていいよって誰かに言ってほしかった。

だけど、自分からは何も動き出そうとはしなかった・・・・・・。

こんな、僕を見つけ出してくれたのは君だった。
君が殻に閉じ困って拗ねていた僕の手を引っ張ってくれた。

外の世界へ連れ出してくれた。

だから、僕は君のことを好きになったんだ。
こんな僕でも、この世界に存在してていいんだって君が言ってくれたから、僕は歩き出すことができたんだ。


これは、僕と君とあの子の物語。
小さくて幼い僕らの物語。


物語は僕の大好きな場所からはじまる。
今でも思い出すたびに涙が出てしまう。

夕日の差し込む図書室の窓際の静かなあの場所。
思い出すときはいつも綺麗な夕日と君の笑顔があった。