記憶の奥底に
閉じ込めた情景と
胸に潜ませた憧憬に
焼きつきそうな程の
熱量を感じた
その身の丈を覆い隠す
心に宿した化物は
常に目蓋を押し開けて
その生温い舌先で
骨の音を嗅ぎ分ける
無限の時の先を
誰も知る事はないけれど
それでも私の胸の内は
燃え尽き焼き爛れ
何時しか忘れてしまった
美しい硝子玉を抱えた
真直ぐな感情を
一つ二つ拾い上げ
口付ける憐れな劣情と
愚かしいと嘆く夢々を
私が私と知らぬ様に
押し潰して磨り潰して
粉々と溶け消える泡沫と
その身を風に委ねる
綺麗なその瞳の奥の
鮮烈なる憧憬が
網膜に貼り付いたままの心を
置いていく事も出来ないで
追い付かないで処理も出来ず
ただ溢れんばかりの情を
何度も抱え直した
化物は何処までも巣食う
私の胸の中のこの心が餌で
きっと明日にもまた広がる
この暗闇の様な悲しい思いを
終わらせる事も出来ないで