目蓋を押し上げて
光の輪を覗く
暗い暗い海の底から
見上げる青空は
何処までも広く
限りなく高かった
この手は届かない
伸ばすだけ無駄な事は
最初から分かってた
選ばない言葉の端を
握りしめ離せずに
隣で触れる温度の形は
何時からか見失って
正しさの意味を忘れていった
その夢は未だ此処に在る
僕の存在意義を
その上に何度も重ねて
僕がそう、在りたい事を
君は笑いもせずに受け止め
そうして消えていった
揺らめいた炎の向こう側を
小さく覗き見た深淵を
僕は知ってしまったんだ
目蓋を透かしみた光に
言葉は浮かび上がった
呼吸を忘れた屍は
二度と笑えはしないと
そんな嘯きを零して
僕が離れたのか
君が離れたのか
それとも初めから
僕らは途切れていたのか
千切れてしまった糸の最初を
追いかける事なんて
僕には出来ないけれど
海の底から覗いた
光の束を君が差し出す
手向けた鮮やかな色彩に
君が笑っている事だけは
僕の瞳に今も焼き付いている。