食卓に広げた
皿を前にして
涙を零す訳でもなく
只々哀しいと
目を伏せた
白く拉げた
花束を踏み躙り
その丘を越えていく
遠くに見えた
曇天の雲が
僕の頭上を覆って
溶けていく涙の痕なんて
興味もないけど
掠れて消えた声も
何もない日常も
全部明日へと
越えていく丘の上で
誰かが笑っている
途切れそうな鼓動も
霞んでしまった視界も
置いていった心も
縺れそうな足に隠して
顔の見えない誰かが
静かにこちらを指差して
終わっていく事を
知らないと笑い
それでもなお
僕は此処で生きている
それはさよならなのか
それは哀しいのか
折れた茎を足元に
多くを犠牲にしたとしても
きっと、僕は。