両手で支えた
銀糸は緩やかに
指の腹に波打つ
息を静かに止め
美しい限りの海へ
足を踏み出す
千切れてしまいそうな
柔らかな愛しさを
きっと貴方は知らない
腕を落とす
目蓋を押し上げ
掻き分けた指先は
銀糸が絡まったまま
この感情は
溺れてしまえと
貴方が笑うたび
きっと心を殺す
たったの一本で
この愛を埋め尽くして
縋り付いた腕に
緩く解けた愛を
絶えまなく手折る
息を止めるほどの
美しい海へと
きっと忘れはしない
伝ってきた声も
解けた指先も
貴方へ繋がる
銀糸でさえも
きっと愛していた
愛していたと
願っていた。