手繰り寄せて

覗き見た隙間から

彼が笑っている


嗚呼、またそうかと

伏せた目蓋から

滲む視界の果て

僕が泣いている


掌から転がって

触れては腐り落ちる

言葉の端で

君は静かに指差した


千切れた糸を

僕は一人抱えて

笑えない顔で

歪に感情を表す


「哭いたって

何一つ変わらないだろう、」


冷たく頬濡らす

救いの無い意図は

散らかしたままの感情で


隙間から覗いている

その瞳の奥は

誰も笑えないまま


君が笑う。


僕が笑う。


一つ雫を

指で弾いて