許さない様に

春の温度に溺れて


窒息死してしまう

その前に吐き出した

呼吸は泡沫に変わる

呆けた様な目蓋に

麗らかな口付けを交わして


痛みは何処にもない様に

優しく弔いを手向けて

薄紅の懺悔を胸に刻む

大人になった瞬間に

それすらも忘れてしまって


罪は淡く溶けていく

罰は鮮やかに咲き誇る

なら意味は何処に残る?

理由は何処に還る?


未完成の世界で

何時までも其処に在る様

口にした生温い言葉さえ


嗚呼、春は漸く追い付いた

僕ばかりが追い越して

その背を追う事も

何時しか忘れてしまいそうで

負い目に感じた

感情論すらも語れずに


擦り切れた銃口は

まだ此処に在る様にと

鉄の塊を胸に落とす

繰り返す言葉は

もう何処にも届かない


春の気配は

緩やかに僕を殺していく


敷き詰めた色彩が

僕の網膜を焼いて

生きていく為に必要な

その事を忘れてしまった

僕の事を君は覚えていますか?


春に許されない僕は

此処に生きていたんだ


嗚呼、

僕は春に殺される。

まだ此処に在る世界は

僕の手を握ったまま。


深く沈んでいく

呼吸を止めて三秒、

詰まらせた喉の奥で

春が笑っている。


嗚呼、やはり。


何処までも春は美しかった。