祈り出した掌に

穏やかに爪を立てる

開いた目蓋も

遠ざかる様に細めて


転がり落ちる

曖昧な恋の跡は

痛みを引き摺る様に歩く

萎びたままの呼吸に

僕らは愛を謳った


月の影には誰も居ないなんて

頭の中じゃ分かってるのに

一つ一つ丁寧に並べる

御託の上で胡坐かいて

閉ざしたままの心で

君は何を語るんだい?


時には嘘も交えて

回り出したレコードは

知りはしないだろうね

本当のところなんて

必要ないなんて嘘も吐いて

太陽の裏で君が笑う

月の痛みは分かりはしないだろう


そんな甘い夜に

君は何一つ声をあげず

優しく謳い出した

神父様に十字を切って

退屈を蹴飛ばした


陳腐な愛を語るにも

安い恋の物語が必要で

回り出す嘘吐きの

舞台は整然としたままに

僕は言葉だけを落としてしまった