握りしめた
柔らかな指先
甘く落ちる
果実の様に
伝う涙は痛みを伴って
焼き付いた景色を消してく
届かない距離だけ
追いかけて
眩しくて細めた
温度分の世界を
優しさで埋めてほしかった
木漏れ日の中で
僕は溶け出した
苦しみも悲しみも
きっとそれは寂しさも
全部飲み込んだ
虚ろに開いた
硝子玉の中
僕は映り出して
動き出した時間も
脈打ち始めた鼓動も
瞬いた目蓋に
零れ出した雫の奥
睫毛に引っかかる
この世界の分だけ
輝いた世界を
飲み込んだ
嚥下したこの世界は
僕を迎えてくれた
僕の居る場所は
優しい場所だ。