遠くまでやってきて
僕は何を見たのだろうか
活字の中の様な
夢を見るでもなく
不規則な揺れと
震える指先が
どうしようもなく情けないまま
考える事すらも
途中放棄したのに
失くしたものが
簡単に拾えないと
泣き出したその背中を
横目で見るに抑えて
爪を立てた、
傷付いたのは
掌なのか心なのか
誰も気付かないのに
気付く気すらないのに
なにもかもが雑然とした
雑居ビルの間を駆ける
鉄の塊に乗っけられて
笑えないままに
冷たくなっていくのを感じた
遠ざかる
もと居た位置と
自分のポジションと
見失ってた
本音という名の戯言も
言いかえればただの言葉で
動かないのは当たり前、と
投げ捨てた言葉に
自分一人傷付いたんだ
僕は君になれないよ
分かってるはずなのに
分かってたはずなのに
また僕は一人で居るんだ
折り目のつけられた心は
綺麗になんかなれなくて
滑稽なほどに虚ろで
泣き出したくなる程、
僕は嘘吐きだったんだ
僕は、君に、なれないよ。
何時だって、そうだった
何時だって遠ざかっていったのは
僕のほうだ
他の誰でもない、僕だったんだ。