心臓を突き抜ける

痛みは空の彼方

滲んだ針の先は

秒針にて傾く

天秤仕掛けて

君を弔う


デリートキーは小指で、

鈍いままのタイピング

いつもと同じ様で

微妙に狂い始める

タイミングは一秒前後

またまた今日は寒くて

少し笑ったり

力の抜けた様な

そんな話の中で

君が突き刺してた


黒インクが滲んで

均衡が崩れてしまう

手をついて

吐き出す様に

嘘が零れていく

痛みを悼む。

チクタク、タク、

ずれて気持ちの悪い

音の波が攫っていく

どれが答えなの?

答えはあるの?


外れていく道の上で

僕はキーボードに手を乗せる

許しておくれよ、

どうせ消えるんだから

小指で押された

デリートキーの重さが

また胸に乗っかって

天秤が傾いていく

零れる、

溢れる、

軋んでまた深く

針が突き刺さっていく


また君を弔う

悴んだ掌で

撫ぜる冷たい陶器の上辺

悲しみが流れるけれど

それも仕方ないから

僕は、君を隠す

動かすこの手も

嘘吐くこの心も

全部全部。