果実の樹の

生まれた朝


僕は君を迎えた


いらっしゃい、

今日は温かな日だね

とても穏やかだ

綺麗に空が澄んで

鳥は緩やかに喉を鳴らすよ


ほら、一粒泣いて

君は笑みを零した

果実の中身は

笑いながら転げる


綺麗なんだよ

全て、何もかも

浮かべたものが

軽やかに胸に跳ねる

疾しい事なんて

全部置いてくればいいよ

此処は君の園だ

望めばいい

夢は、此処にある。


いらっしゃい、

少しだけ悲しそうだね

歪めた表情に

枯れた花弁

一輪だけ掲げて

世界を歌うんだ


優しいだけの熱を

静かに孕んで

大切に抱きしめた

それが答えになるのに


夢は、いつも綺麗なまま

此処に残る君へ

注がれているよ

壊せないものは

そのまま存在した

旅の途中で疲れて

立ち止まったら

開けばいいよ

此処は君の園だ

願えばいい

答えは、此処にある。


果実の樹は

優しく笑う

君と共に

此処にあった


一つのはなし。