パステルの海に沈む

碧眼の貴方は

淡白に呟く

顔も向けずに

背けたままの視線

注がれるのは

紺碧の海の色


貴方は気付いているでしょう

私の心の奥底のところ

傷付ける事を厭わない

嫌な部分の私を

剣を片手に盾を構えて

濡れていくのは足元の楔

許されないから

貴方に跪くのです


遠くに聞こえる

教会の鐘の音

溶け始めた掌と

緩やかに握り返される

指先の温度

しがみ付けない背中は

随分離れてしまっている

そんな気がした


茜が滲み始める

空飛ぶ鳥は哀しく泣いて

何かを拒む様に旋回、

貴方は虚無を抱えて

それを眺める


失う事には、慣れた

失わせる事にも、慣れた

そこに募るのは罪悪感と

奪い取る事への懺悔

遠くに感じた貴方は

それに気付いているのに、

拾い上げては、くれない。


千切った心が泣く前に

貴方へ還れたら

きっと私は後悔しないで

前を向いたまま愛せたでしょう

背中合わせの嘘と紅眼を

目蓋の奥へと静かに隠した