思い出す事は
余りに簡単で
僕が考える事は
哀しい事だった
足取りを揃える事も
並べたそれは曖昧な
言葉の羅列と同じで
受け取り方一つで
すぐに崩れてしまう
虚無の城の様に見えた
砂の様に
するりと抜け出す
指の隙間から見えた
ぼけやた世界は
濁る視界を閉ざして
綺麗な物だけを映した
逃げてしまった心と
忘れてしまった声と
また覚える事を拒んで
誤魔化した世界が
僕を責めるから
もう一度、
この世界と向き合って
溢れたこの涙を無視して
今はただ自分と向き合う様に
夜を越える力が欲しかった
覗き見た物は
そんな綺麗な物じゃなかった
だけど確かな美しさを纏って
優しいのだけは分かった
忘れる事も苦ではなかった
だけど思い出したいと
そう思った
この意味のない言葉と
揃わなくなった足音に
謂れも無い苦しさを感じて
僕が行き着いた考えに
涙が溢れてきたから
また伸ばした掌が
君まで届いたら
思い出せるように
忘れた言葉も
声も心も
優しい温度で
揃えてみせるよ
もういちど、君まで。