開いた眼で
幼い熱を孕んだ
夢を見ている様な
優しい温度で
柔らかな掌を包んだ
「帰ろうか、」
茜色の坂道
振り返った横顔は
軽く頭を振って
振り払った思いは
どれだけの重さで
僕はその思いを
どれだけ汲み取れるのか
到底分からなかった
ただ怖いくらいに
君だけが愛しいと
口に出せるくらいには
恋しさを感じていた
目蓋の重さが
空気の冷たさに反して
確かな熱を伝えた
頬の温度を奪って
触れた指先の冷たさ
それが描くのは
君だけの心なのに
憎いくらいに美しくて
優しくて淡く溶ける
それが、息をした
優しく包む様に
抱擁された身体は
君の名前を零した
呼びかけた声は
淡白な世界を奪った
残ったのは
色鮮やかな世界だけ