少しだけ苦しくて

少しだけ哀しい

ただそれだけの事に

嫌に泣きそうになる

どれかの選択肢で

誰かの意思が殺されて

首を絞めつけられる

気道が細く震えて

吐き出されたものは

意味を持たない呼吸だった


屍の様に倒れ込む

受け止めるものは何もない

ただ無感情に無感動を装う

装飾された言葉に

愛想笑いが醜く歪んで映る

瞳の奥の方で

硝子玉がごろりと動いた




「楽しいね」


「嬉しいね」


「好きだよ」


「好き、」




少しだけ、泣きたくなった




どうして僕は素直に云えない

癒えない心の分だけ

拭えない不快感さえも

慈しむ事も

出来ない癖に。