高架下の雑踏

雑居ビルの中で

誰かが溺死した

もがいて、足掻く様に

呼吸を止めて一秒

つまらないと吐き出した

言葉の裏の裏

僕は悲しみを表現して

この道を歩いた

無駄に明るい癖に

どれも手に取る様に寂しい


嘲る様に蔑む様に

隠しながら毒を吐いて

向かいに座る少女は

気付いているのかいないのか

横目で見ては視線を外す

ふわふわ揺れてるのに

足は地面についててさ

馬鹿みたいに苦しいと

勝手に止めてた呼吸を始める


進み始めた人混みと

混雑する様に回り始める

環状線の駅前で

誰かの手を取って走り出す

灰色の空と見えない星の

嘘吐きコントラスト

今殺したばかりの感情に

上乗せした不快感と

不愉快だと笑ってる心は

エレベーターに閉じ込められた

悲しい籠の鳥みたいだ


雨音を引き裂いた

発車の音楽に歩み始める

気付いていたのは僕なのさ

君の声も言葉も姿も

意味すらも呑み込んでしまって

踏み割ってしまった風船が

破裂して零れ出したのも

救い出せない雑踏の嘘

もう何もかもが分からなくて

とりあえず必死に笑うよ


興味も関心も置いてきて

僕は落ち始めるのさ

隙間に溢れだした

失った心の奥底で

回り始める電車の車窓に


泣いている僕を見つけた