歌うことは好きだった
何ともいえない昂揚と
孤独を感じる
それが正しいかは
分からないが
雑踏は動き回る
止まる事を知らないまま
動く事に意味を見出した
苦しいという事も
逃げる事もせず
俺は死に物狂いで
逃げ出したんだ
そして手に入れたものは
小さな孤独と悲哀
俺は、孤独だった。
泣く事は良しとせず
ただ俯いて堪える
震える喉を押さえつけて
気丈を振舞う
どれが答えかを
見つける事は出来ないで
俺は。
終わり、が。
そこに在る気がした
逃げ回る雑踏の群れの
隙間を抜けて走りだす
歌う事は、好きだった
いや、今でも好きだ
呼吸と共に吐き出す音が
空気を震わせる
瞬間を切り取って
残しておきたいほどに
それが、俺の『答え』だった
色褪せる声は
反響して捨て去る
もう、いいよ。
アイツの声が聞こえる
嗚呼、アイツの声が、近い
逃げ出した先は
深い深い藍に沈む
呼吸に溶け込む悲しみは
唄歌いの歌に消える
そうして雑踏から
一人が消えた
誰もその事には
気付かないまま