雨追い人

手を翳した空の下

唄歌いの嘆きを

唇に乗せた悲劇の詩


何処へ行こうにも

凪ぐ風に揺れる

影の後追い

膝下の海に身投げる

それは誰の為でもない


それは意味を持たぬ

それは理由を持たぬ

人々の夢語りは

天に咲く蓮の花の如く

言葉失くし双眸で語る


声は要らぬ

音は要らぬ

光は要らぬ


ただ其処には

瞳に全てを映す

静寂に堕つる水面

湖面にも似たただ二つの眼


両腕に抱え込まれた

赤子は泣きもせず

仰いだ天空の紺碧には

名も無き鳥達が舞い踊る

翼をはためかせ

罪など知らぬと云う様に


形を得るもの程

無価値なものはないと

嘘と欲で固められた

偽りの啓示を掲げる

愚かな叫びは

唄歌いの形ばかりの叫びを切る


語り継がれる物語は

音を失くした銀時計に刻まれた

秒針は止まり動きはしない

それは時の終わりを差して

進みも戻りもしない


ただそこで終わる

物語は唄歌いの声を知らぬまま

悲劇の後の幸せも知らぬまま

唄はそこで途切れた



「これは愛の唄だった」と一言を残し