「悲しいね、」


そう呟いたのは


僕だったかすら


思い出せずに



辛いとも一言も言わないで


独りで沈んでいく


其処で泣いていた僕が


苦しさから逃げれる訳もなく


白くぼやけた視界の


向こうに映る世界が悲しい



「さよ、なら、」


それが最後


目蓋の裏に過る


美しい世界が


僕に別れを告げる様に


死んでいく、


どこに行くのかも


教えてくれないで、


僕を置いて行ったまま


全てが死んでいく



僕は、


底で泣いたまま