二度と戻れない


あの場所が崩れ落ちる


僕の瞳に映るのは


きらきらと光る


僕のいない空間だけで


「もしも戻れたら、」


そんな願いばかりが


僕の胸を過る


それでも届かない願いは


口に出す事もなく


呑みこんだ


涙が零れない様に


静かな時間を


思い出す事すらせず



望みすぎたら


きっと叶ってしまう


それが怖くて


あの人たちは


きっと僕を待っててくれるから


優し、すぎるから


壊れたヒビを指で辿って


上を向いた


零れそうな涙を


頬に流さない為に



「ごめんね、」


「もう、戻れないよ」


「きっと僕は幸せだった」


「幸せ、だったよ」



「ありがとう」