美しい世界に


傘をさしましょう


降り積もる雪を払う様に


傘をさしましょう


いつも貴方は云っていた


椿の花の様だと


時が来たら堕ちゆく、椿の様だと


そう云う貴方はとても綺麗で


この時の最後に


貴方がいてくれて良かった、と


白く濁る意識の中で思った


それはまるで白銀の世界


美しいまでに穢れを知らない


世界の最果ての様で


美しくて、儚く


紅い、紅い


椿の花弁が視界の端で踊る


貴方はきっと知っていた


この声は、貴方にしか聞こえない事


嗚呼、良かった


貴方で良かった


貴方に逢えて、良かった


椿の花が堕ちて逝く




傘をさしたこの場所で