なんとなく本格的なミステリがよみたいなとおもって手にとったんです。
今回の作品は宇梶圭太『誘拐の誤差』です。
私の主義なんですが、小説は立ち読みしたり、解説をみてから買わないんです。
じゃないと、ついつい自分の好きな作家の本ばかりを読んじゃうんですよね。
そうすることで食わず嫌いな作家をつくらないようにしております。
当然タイトルだけできめています。
誘拐の誤差とはたのしみですね。
本作のインスピレーションとしては、濱嘉之氏の警視庁情報官シリーズ、最近あてまくってますよね。馬鹿売れしてるのはまちがいないでしょう。
そしてもうお一人、浜田 文人氏です。
警察ものだといちおしですね。シリーズでいうと捜査一課なんかもいいですし、個人的にはやくざものがたまらなくスキだったりします。
さて、本題にはいりましょう。
【宇梶圭太 誘拐の誤差 あらすじ】
不快と取られる方もいるとおもいますのであらすじ省略です。
主人公は小学生のレオ、車にスケートボードをぶつけたことがきっかけだった。
ぶつけた車は須田というドSのパチンカーが運転していた。
彼はレオに車を傷をつけられ立腹し、たったそれだけでレオを死に至らしめてしまう。
そう、拉致られ、暴力を振るわれ、路上に死体を捨てられて放置されてしまう。
意識が途絶えていくと共に、不思議なことに体から意識が離脱していく。
レオは、体の感覚を失っていくのだが、意識だけはしっかりしている。
須田に殺されたのだが幽霊として現世に残ることになるのだ。
当然彼は、自身が拉致された事件に対する周囲の反応に興味を持つと共に、この事件の結末に興味をもつ。
幽霊レオが主人公かつ視点となって物語は紡ぎだされていく。
レオは、死んだことで人の本音が聞こえることに気づく。
両親、祖父母、学校の友達、自分をころした須田、そして警察官の本音と行動を覗くのだが・・・事件は進展せず、須田は殺人をくりかえしていく。
つづく。
【宇梶圭太 誘拐の誤差 レビュー】
確実にタイトルにだまされました・・・
きっと著者は「してやったり」といったところじゃないでしょうか・・・
「誘拐の誤差」っていうからには警察小説でしょ?っておもいますよね・・・
警察小説どころじゃないです!完全エンターテイメントなんです!
軽快な殺人鬼が、軽いノリで人を殺し、警察は、明智小五郎並の迷探偵ならぬ、迷捜査しまくりという!
人が殺されていくのに、プッと笑っちゃうんですよね・・・
なにがなんだかもうほんとに!っていう内容です。
「まちがいなくドラッグきめながら書かれましたね、宇梶先生?」ってくらい胸焼けをおこさせます。
少し読んだだけでガッカリする人もいるでしょう。
しかし決してそれだけでは切り捨てられない小説だと僕は思いますよ。
ここまで現実を直視しながらも、軽いテンポの物語をつくるっていうのは、素晴らしい力量だとおもいます。
冷めた目線で、非常に人間の本質を抉っており、些細な理由で殺害された主人公レオを含め、そのほとんどの殺人は不条理そのものでしょう。
また、警察のあり方について、警察官個々の本質を深く描いているともいえるでしょう。
つい最近もネット遠隔操作事件での冤罪が起こったわけですが、この小説をみていただければ納得できるともいえます。警察官とはいえ普通の人ってことが言いたいのでしょう。
非情に印章に残ったものは、レオ本人が、自分自身の事件への興味がつきるシーン。
子供の視点からは、大人は、凄い、体が大きくなれば心も広く、深くなるものと思っていたが、肉体だけが大きくなるだけで、根本的にはなにもかわらないものなのだと、真実を悟ったこと。
サボリーマンの私は、子供の時と比べ本質的な成長はできているのか、精神的に豊かになっているのか?
様々な情報を仕入れて自己防衛はできるようになったが、自分の本質的な何かを包み隠せるようにはなったけれども本当の根っこの部分はかわってないのではないだろうか。
好き嫌いははっきり分かれるとおもいますが、僕はこういうのもありじゃないかと思います。
宇梶圭太の誘拐の誤差、是非読んでいただき感想をお聞かせください。
よかったらおねがいします。
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