偉大なる皮肉・質屋編 | Short+α

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○本日7月8日は「質屋の日」。

 

○質屋は金融の在り方として特殊である。

 

○まず、基本的には誰にでも貸す。物を持ち込んできた人に対して金を貸すのが質屋であり、誰に貸すか、ではなく、何を代償として貸すかは質屋が決める。

 

○そして、質屋から借りた金は返さなくてもいい。返さなかったら、質屋に預けた品が戻ってこなくなるだけである。

 

○質屋としては、貸した金が戻ってこなかった場合に預かった品を売って返済に充てるので、理論上は損をしないことになっている。

 

○ただし、預かった品が盗品であったり、あるいは、一見すると価値があるように見えて実際には価値がなかったりすると質屋は損をすることとなる。

 

○そこで、質屋は金を貸す代わりに預かる品について厳密な審査をする。損するわけにはいかないので、預かった品が盗品ではなく、かつ、売ったらいくらになるかを考えて、それに見合った金額を貸すこととなる。

 

○さて、この質屋、地図で見るとなかなかに面白い。

 

○どう言うことかというと、ほとんどの質屋は目立たないところに店を構えているのである。

 

○質屋を利用しなければならない、つまり、金を借りなければならない状態は恥ずかしい姿であり、この姿を見られるのを喜ぶ人は多くはない。

 

○そこで、そもそも質屋に出入りする様子が見られないような場所に店を構えており、かつ、店に入る姿も見づらくなるようにしている。

 

○知っている範囲で言うと、蕎麦屋と隣り合って営業をしており、店の外から見ると質屋ではなく蕎麦屋に入っていくように見えるという店がある。

 

○質屋の店主や従業員は一つの鉄則がある。それは、店の外で顔見知りと会っても絶対に挨拶を交わしてはならないということ。

 

○その人が質屋の店主である、あるいは従業員であると知っている人というのは質屋を利用したことのある人のことであり、質屋と店の外で挨拶するというのは、質屋と挨拶した人イコール質屋利用者と示すことになってしまう。

 

○また、本質的には金貸しであるため、恨まれる。金を貸すときはともかく、返してもらうときは取り立てに行くわけで、その取り立ての様子が快く受け入れられない話になるわけである。

 

○ちなみに、金融用のあり方として特殊であるといっても金融に関する法律の縛りから逃れられることは意味しない。物品を預かる前提の質屋であっても、利息制限法に引っ掛かる可能性がある。

 

○もっとも、厳密に言うと利息制限法に引っかからない特例であるとの判決も存在しており、また、質屋が利息制限法の適用対象なのか否かを示す最高裁判例は存在しないので、今のところはグレーゾーンといったところか。

 

 

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