○日本国では7月22日のことを7/22と記すことが多いが、言語によっては22/7と記すことがある。
○22/7を計算すると3.14285714……と小数点以下2桁までが円周率と一致する。なので、本日7月22日は「円周率近似値の日」。なお、3月14日は「円周率の日」である。
○ほとんどの人は知っているであろうが、円周率は無理数である。小数点以下何桁まで計算しても割り切れることはない。
○円周率が割りきれることがないかどうかはわからなくても、小数点以下何桁まで計算しても割り切れないままであるというのははるか昔からわかっていた。
○本日の記事の二段目に記した22/7というのは紀元前2000年頃の古代バビロニアで用いられていた円周率の近似値である。小数点以下2桁まで一致しているので精密さを求められない場面では22/7とするのは合理的ではある。
○古代バビロニアでは22/7であったが、古代エジプトでは「円の面積と、円の直径の8/9を辺とする正方形の面積とがほぼ等しい」と考えていた。これを分数とすると256/81=3.16049378……となるので、古代バビロニアよりは離れているが円周率の近似値にはなる。
○古代ギリシャでは、円周が、円に内接する正六角形の外周より大きく、円に外接する正六角形の外周より小さいことをスタートとし、正十二角形、正二十四角形、正四十八角形、正九十六角形へと拡げた結果、円周率πは 3+10/71 < π < 3+1/7 であるとし、3.14084507…… < π < 3.14285714…… まで求めることに成功していた。
○古代ギリシャではより正確な円周率を求める動きが進んだが、古代ローマではより便利な円周率の近似値を使用するようになっていた。25/8=3.125である。円周率の近似値としてはギリシャより遠いが、8で割って25を掛ければいいというのは建築をはじめとする実用性の高さがあった。
○ギリシャと別の場所でギリシャと同じアプローチをしていたのが古代インドである。古代ギリシャでは正九十六角形までであったが古代インドでは正三百八十四角形まで求め、9.8684の平方根である3.14140096……まで算出し、近似値として3927/1250=3.1416を実用的な数字とした。
○別のアプローチで円周率を求めていたのが中国の隋の時代で、近似値として355/113=3.14159292……まで求めることに成功していた。
○隋の記録を抜いたのが1400年代のインドで、2兆8274億3338万8233/9000億0000万0000=3.141592653592……という近似値を算出することに成功した。
○10進数ではなく60進数を利用して円周率を計算したのが同時期のイランで、3.14159265358979323084…… < π < 3.14159265358979325482…… まで円周率の数値を導き出すことに成功していた。
○円周率を求める歴史を辿ると、16世紀になるまでヨーロッパが出てこない。それまでに出てくるヨーロッパの数学者の計算結果もインドやイラン、中国で既に求めている数値には及ばなかった。
○ヨーロッパがトップに躍り出たのは1596年である。3.14159265358979323846 < π < 3.14159265358979323847 がその近似値である。
○1655年、円周率でついに一つの答えが出た。円周率は無理数であり、小数点以下何桁まで求めても終わりは無いという答えである。ただし、このときは円周率を用いた計算結果が割り切れないという計算であり、円周率そのものが割り切れないとまでは気づいていない。
○円周率そのものが無理数で割り切れないことが証明されたのが1761年である。それから先は、円周率を割りきるのではなく円周率の小数点以下の数値を求める競争が始まった。
○忘れてはならないのは、この時代にはコンピュータどころか電卓もないことである。つまり、計算するのは人力しかない。
○19世紀まで小数点以下500桁程度が上限であったが、コンピュータが利用できるようになると円周率の計算を機械に託せるようになり、円周率の桁数が一気に増えてきた。
○1966年には25万桁まで行き、1973年には100万桁を突破、1983年に1000万桁を突破、1989年に10億桁、1997年に515億桁、1999年に2000億桁、2002年に1兆桁まで至った。
○そして今年の6月9日、人類は円周率100兆桁まで計算することに成功した。なお、計算するのに157日23時間31分7.651秒を要している。人間が計算するのでは無い。Googleのクラウドコンピューティングでの計算結果である。
