偉大なる皮肉・人間ドック編 | Short+α

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○昭和29(1954)年の今日に日本初の人間ドックが行われたことから、毎年7月12日は人間ドックの日として記念日となっている。


○人間ドックについて言うと、中年になったらそれ以後の人生は必ず、最低でも一年に一度は自分の健康状態を確認した方がいい。


○ここでいう中年とは、実年齢のことである。精神年齢が若いからとか、周囲から若く見られているとか、自分は本当はもっと若いはずだとか、そんな理屈はいっさい通用しない。


○人間ドックでは検査着に着替えるのが通例であり、身につけてよいのは最小限のもののみ。病院によっては財布やスマートフォンなどの貴重品を専用の金庫にしまうようになっている。


○そのせいか、待合室で雑誌を読んで時間を潰すことが多い。


○雑誌を読んでいる途中で検査室に呼ばれ、雑誌を棚に戻し、検査を終えて戻ってくると、その雑誌は別の誰かの手に渡っている。


○食事を摂らずに体重を減らして人間ドックに臨もうとする気持ちは理解できる。私も良くやる。ただし、本来それは許されない話である。


○ただし、胃カメラやバリウム検査をする場合は断食でなければならない。「ご飯を食べてはいけないということなので朝食はパンにしました」という笑い話もあるが、冗談でもやってはならない。


○世の中にはひったくり犯という者が存在するが、人間ドックの会場に行く人のカバンをひったくるのは、カバンを盗まれた人にとっても悲劇であると同時に、ひったくり犯は死ぬまで「検便泥棒」というあだ名で呼ばれ続ける人生を迎えることを意味する。


○体重計は人間ドックにおける実に恐ろしい乗り物であるが、私のような視力の者には視力検査台も恐ろしい乗り物となる。裸眼視力測定不可能という言葉は好き好んで聞きたいフレーズではない。


○人間ドックの場で腎臓に石が見つかる人がいる。德薙零己もその一人である。水にありがとうと言うと結晶ができるという言説があるが、どうやら私も誰かからありがとうと言われたらしい。


○太りすぎという診断結果が下ることはもう慣れている。しかし、太りすぎを解消する方法を提示されても困る。なぜなら、もっと太っていたのがここまで痩せた結果が現在なのである。


○ちなみに、多少ではあるが体重を落とし、同時に肝臓の状態も好転した理由は酒を止めたから。と言っても、禁酒を決意したのではない。痔になってしまったので飲酒にドクターストップがかかったのである。


○なお、ここまで長々と人間ドックについて書いてきたが、我が勤務先では誕生月を基準に人間ドック受診時期が決められる。1月生まれの德薙零己の人間ドック受診時期は前年12月から当年2月までのいずれか。すなわち、今日は人間ドックの日ではあるが、德薙零己個人が人間ドックを受ける日ではない。



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