○三月四日は雑誌の日。
○大学時代は本屋でアルバイトをしていた経験で雑誌事情を語ってみるが、以下は全て過去の話であり現在は通用しないであろうことを前もって記しておく。
○書店の店員にとって恐怖なのは、付録の多い雑誌。雑誌に付録をつけるのは品出しをする書店員の仕事であり、この準備のために長時間奪われる。
○そして付録は盗まれる。
○週刊少年ジャンプ黄金時代は、そもそも雑誌コーナーに搬入されたジャンプを全部置くなど無謀。レジの後ろのスペースで未陳列のジャンプが壁を構築しており、「こんなに仕入れたら売り切れるのか?」と誰もが疑問を感じる光景を作り出す。
○なお、当日中に売り切れる。
○問題記事を載せたことで世間で問題になった雑誌は、売れる。それも、今までの販売実績を簡単に塗り替える記録を残して売れる。売り切れ後の問い合わせも続出する。
○問題記事を載せなくても、突然変異で売れる雑誌がある。性的な特集を組んだときである。絵画や写真の雑誌が、裸婦画やヌードモデルとテーマにすると、搬入初日の午前中に売り切れになる。
○コンビニで成人向け雑誌が販売されなくなるというニュースは知っている人が多いであろうが、書店から見て、成人向け雑誌はさほど売り上げを残す雑誌ではない。ただ、固定客はいる。
○德薙零己がアルバイトを始める前、その書店では複数の某成人向け雑誌を発売日当日に必ず買う人がいて、店員の中で有名人になっていたそうである。
○ところが、德薙零己がレジに立つ日だと、その有名人が買うのはもっぱら社会問題や国際問題を取り上げた真面目な雑誌ばかり。店員の中ではあの有名人に何が起こったのかと話題になったようだが、私は知っている。その人の職業は中学校の社会科教師。そして私はその教え子。
○左がかった社会派雑誌というのはいつの時代にもある。右がかった雑誌もまた存在する。経験で言って、前者の読者は後者の雑誌をなぜ置くのかとしつこく批判するが、後者の読者は前者の雑誌に特に文句を言わないだけでなく、両方とも買うことも珍しくない。
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