○昭和56(1981)年当時、金曜夜八時はテレビでのプロレス中継の時間であるが、プロレス中継は選択肢の一つであって絶対的なものではなかった。ただ、その日は、普段はプロレスを観ない小学生たちもプロレス中継に目を見張った。
○アニメのキャラクターであるタイガーマスクを名乗るプロレスラーが登場したのである。アニメのキャラクターを名乗るプロレスラーは悪い冗談だと当初は思っていた。
○その思いは1試合で覆された。テレビアニメのキャラクターよりも華麗なプロレスラーがテレビの中にいたのである。
○なお、その翌日である土曜日、タイガーマスクの真似をして鉄棒を使ってサマーソルトキックを決めようとして失敗し、病院に担ぎ込まれた上級生がいたのを徳薙零己は目の当たりにしている。
○デビューがあまりにもセンセーショナルであっただけでなく、メディアミックスも幅広く展開されることとなった。
○今でもそうだが、小学生男児向けの雑誌の表紙といえば、ウルトラマン、仮面ライダー、戦隊ヒーローといった特撮物と決まっている。しかし、タイガーマスクのデビュー以後は、現実のプロレスラーであるタイガーマスクが表紙を飾った。
○雑誌の中も、怪獣を倒すウルトラマンや悪の組織に立ち向かう仮面ライダーと同等の扱いで、リングの上のタイガーマスクに着目していた。
○タイガーマスク人気はメディアミックスだけではなく、実際のプロレス会場でも沸騰した。何しろ入場券が手に入らない。
○テレビのプロレス中継も視聴率が急上昇した。実に視聴率25%である。最高視聴率が、ではなく、平均視聴率が、である。
○現在、ワイドショーがプロレスを取り上げるのはほとんどないが、当時は珍しくなかった。正確に言えば、タイガーマスクの日常の練習風景を取り上げた。
○なお、当時は「国籍不明の謎のプロレスラー」だったのに、ワイドショーで流暢な日本語を喋っているのを目の当たりにしてしばらく呆然としたのは、そういう時代だったから、ということになるか。
○今日、11月27日は、初代タイガーマスクこと佐山聡氏の誕生日。
- 初代タイガーマスク (G SPIRITS ARCHIVES vol.1)/辰巳出版
- ¥1,080
- Amazon.co.jp
にほんブログ村