ある記事の抜粋です。
指導者として、大人としてとても考えさせられる内容です。

大人の目を気にした子、良く見かけます。
何をすれば大人が喜ぶかを知っている、いわゆる「いい子」は期待に応えるために、褒められたいために、叱られないために、空気を読み周りの目を気にするようになります。
本来の内から湧き出る感情による行動ではなくなる。

良く言うことを聞く子=いい子?
空気を読む子=いい子?

知らず知らずのうちに、大人の思う正解を、理想を子供たちに当てはめて縛っていないだろうか?
無理やりにではないにしても暗黙的に正しいことだからと強要してしまっていないだろうか?
空気を読むことのできるいわゆる「いい子」が、その期待を察知してしまうような無言のプレッシャーを雰囲気を作り出していないだろうか?

完璧な人間などいない。
失敗を、欠点を、非効率を受け入れるだけの余裕を大人が持たなければ子供は本当の意味での自由を感じることが出来ない。
期待の押しつけなんて大人の自己満足以外の何物でもない。

『待つこと、許容すること、受け入れること。』

肝に銘じて。
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第4章「もう一つの甲子園」
というエピソードです。

佐賀北が日本一になる13年前のことです。
百崎監督は佐賀県立神崎高校という高校で野球部の監督をしていました。

当時は部員が13人しかいないような弱小チームだったそうです。そんな中でも百崎監督は「目標は甲子園だ!」と言っていたそうです。選手たちは「は?」という感じです。「そんなの無理でしょ!」という雰囲気だったそうです。そんな中で一人だけ「僕は絶対に甲子園に行く!」と言っていた選手がいたそうです。

でも、そんなに野球がうまくないんです。控えの選手なんです。でも、一生懸命なんですって。こんなことがあったそうです。ある試合で7点差で負けていました。このままだと7回コールドで負けてしまうという場面です。

百崎監督はその彼を代打で出しました。ボテボテのショートゴロだったのですがファーストにすさまじいヘッドスライディングをしたんです。
その迫力に押されて相手がエラーをしたそうなんです。そこから勢いがついて7点差で負けていたものをなんと1点差まで追いついたそうです。
結局、その試合は負けてしまったそうですがそんな選手だったそうです。
しかも、彼の物事に一生懸命に取り組む姿勢はグランドの外でも変わらなかったそうです。

家では歳の離れた弟の面倒を良く見て家の手伝いも一生懸命にやり勉強も夜遅くまでやって成績は1番か2番だったそうです。
いつも笑顔で正義感も強くみんなから好かれていたそうです。百崎監督は密かに彼のことをキャプテンにしたいと思っていたそうです。
 
そんな彼が2年生の夏…
 
自らの手で…
  
命を絶ちました。
  
百崎監督は本当にショックだったそうです。「もう、なにをどう考えればいいのか…。 自分の子も彼のようになってくれたら いいなって思っていたくらいだからね。

理想の子だった。

その子が自分の手で命を落としちゃったんだよ。

子どもたちをどう育てればいいのか わからなくなってしまった…」
 
あとでいろんな人から話を聞いてわかったことなのですが彼は本当は野球をもっと頑張りたかったそうなんです。でも、勉強ができたために親戚や家族の期待も大きくこれ以上、野球を頑張ることができなかったそうなんです。
百崎監督は、「『いい子だね』と言われると 真面目な子ほど期待に こたえなきゃいけないって思うもんね。
俺も余計なプレッシャーを与えてしまったのかもしれない。本当は彼も、もっと甘えたりワガママを言いたかったしたんだろうな」と言っています。

さらに「あのときほど監督を変わってほしいと思ったことはなかった」とも言っています。辛かったでしょうね。
でも、百崎監督は逃げませんでした。なんと、百崎監督が神崎高校に着てから8年目に甲子園への切符を手にしました。
 
百崎監督 「あの、自殺をした子のおかげで 選手に対する見方がまったく変わった」と言っていました。

「それまでは、なんでも言うことをきくお利口さんに育てよう…と思っていました。 でも今は、『短所』があって当然。 それが本当の子供の姿。 逆になにも『短所』がない子の方が心配。人って、いろんな人に迷惑をかけながら成長していくものでしょう。だって、完璧だと思っていた子が死んでしまったんですから…」と言っていました。

ですから、日誌を出さない選手監督のサインを無視する選手試合中に興奮して相手チームの選手を突き飛ばしてしまった選手がいても今は「なんだ、こいつは!」とは思わないそうです。もちろん、こっぴどく叱りますよ。でも「そういう部分があってもいいんだ」って思えるようになったそうです。

佐賀北が甲子園で優勝した時センターを守っていた馬場崎選手なんかはその筆頭だったそうです。
何度も、百崎監督とぶつかったそうです。でも、その選手が数々のファインプレーをしてチームの窮地を救いました。

卒業式の時に馬場崎選手は職員室に来て百崎監督に「素直になれなくてすみませんでした…」ってボロボロ泣いたそうです。

百崎監督の「見放さない心」が彼をそうさせたような気がします。今、体罰が問題になっていますがこの姿勢こそが監督や教師の本来の姿なのでしょうね。