大阪市西淀川区で先月19日に起きた火災で、3階の窓からパスされた生後5カ月の赤ちゃんを受け取るなど一家3人を救助したトラック運転手、上野武志さん(47)に対し、関淳一市長は5日、年内にも感謝状を贈ることを決めた。
救助された3人は、実家に帰省していた長野県白馬村のスポーツインストラクター、森岡峻一さん(22)と美由紀さん(25)夫妻、生後5カ月の長女の璃音(りおん)ちゃん。
火事は先月19日午前9時半ごろ発生。森岡さんの父で塗装業、文雄さん(44)の木造3階建て倉庫兼事務所を全焼した。
出火当時、向かいに住む上野さんが長女の真由さん(21)に呼ばれて表に出ると、1階の玄関や2階の窓の奥に燃えさかる炎が見えた。森岡さん一家が3階から助けを求め、美由紀さんは璃音ちゃんが煙に巻かれないよう、璃音ちゃんを抱えた両手を窓から突き出していた。
「このままでは赤ちゃんが死んでしまう」。上野さんはとっさの判断で美由紀さんの真下に移動し、「そのまま手を離せ、ちゃんと受け取るから」と叫んだ。高さは約7メートル。美由紀さんは一度は拒否したが、背中に迫る熱気と煙を感じ、手を離した。
上野さんは璃音ちゃんをしっかりキャッチ。璃音ちゃんはきょとんとしていたが、すぐに元気に手足をばたつかせた。俊一さんと美由紀さんも、上野さんが集めた布団の上に飛び降りた。手足にけがをしたが、命は助かった。
森岡さん一家と上野さん親子はもともと付き合いがあり、美由紀さんは「上野さんだから、勇気を出して手を離すことができた。一生かけて感謝します」と話す。
上野さんは「今でも現場の前を歩くと『もし失敗していたら…』と背筋が寒くなる。とにかくみんな助かってよかった」と救出劇を振り返った。