言葉は寂しさの塊だ
私の足が生活を歩まなくなってから、私の目はどの風景を見ても、それがどこだか分からなくなった。
私は歩く。
眠るまで歩く。
眠るために歩く。
道はいくらでもあるから歩くには困らない。
街路樹は街に飼われている。
枝を伸ばせば切られ、夜でも明るい街灯に照らされる。
狭い地面に用意された四角い土に、人間もまた街に飼われている。
街路樹の断面に架空の時間を感じ
コンクリートの断面に険しさを見出し
言葉の断面には寂しさが浮き出る。
言葉は寂しさの塊だ。
それをぶつけ合う人間とは悲しい。
街灯のない暗い路地だけは風が止まっているように見える。
そこには誰かの生活の一部があるはずなのに誰もいない。
得も損もなく、善も悪も過去も未来もない。
存在する事に意味がないようで、しかし存在しなければいけない。
世界はそうやって出来ているからだ。
どんよりと曇った空はあーんと口を開けて伸びきったビルディングを飲み込もうとしている。
今でも低く轟くあーんという響きが聞こえているはずだが、人間には自分の言葉しか聞こえない。
聞こえないふりをしているだけなのか。
病院のベッドに横たわった動かぬ人間にはいくつものパイプが繋がれた。
ビルディングのように必要なものを内部に送り込まれ、不必要なものを外部に吸い出される。
本人の意思とは関係なく動くシステムに乗せられ、システムは淡々としている。
車の騒音は言う。
車の言葉で。
騒がしく無機質で無感情な言葉だ。
私は急に人間の言葉が恋しくなる。
繰り返す言葉は繰り返されず、ただ夜の時間は流れる。
いつしか松の葉はどんどん尖り、ついには原型を失ってしまった。
今では松の木ですら元の葉の形を忘れて佇んでいる。
朝日を浴びる頃には生気を取り戻したように輝き出すが、やはり思い出せないでいる。
私は歩く。
眠るまで歩く。
眠るために歩く。
道はいくらでもあるから歩くには困らない。
街路樹は街に飼われている。
枝を伸ばせば切られ、夜でも明るい街灯に照らされる。
狭い地面に用意された四角い土に、人間もまた街に飼われている。
街路樹の断面に架空の時間を感じ
コンクリートの断面に険しさを見出し
言葉の断面には寂しさが浮き出る。
言葉は寂しさの塊だ。
それをぶつけ合う人間とは悲しい。
街灯のない暗い路地だけは風が止まっているように見える。
そこには誰かの生活の一部があるはずなのに誰もいない。
得も損もなく、善も悪も過去も未来もない。
存在する事に意味がないようで、しかし存在しなければいけない。
世界はそうやって出来ているからだ。
どんよりと曇った空はあーんと口を開けて伸びきったビルディングを飲み込もうとしている。
今でも低く轟くあーんという響きが聞こえているはずだが、人間には自分の言葉しか聞こえない。
聞こえないふりをしているだけなのか。
病院のベッドに横たわった動かぬ人間にはいくつものパイプが繋がれた。
ビルディングのように必要なものを内部に送り込まれ、不必要なものを外部に吸い出される。
本人の意思とは関係なく動くシステムに乗せられ、システムは淡々としている。
車の騒音は言う。
車の言葉で。
騒がしく無機質で無感情な言葉だ。
私は急に人間の言葉が恋しくなる。
繰り返す言葉は繰り返されず、ただ夜の時間は流れる。
いつしか松の葉はどんどん尖り、ついには原型を失ってしまった。
今では松の木ですら元の葉の形を忘れて佇んでいる。
朝日を浴びる頃には生気を取り戻したように輝き出すが、やはり思い出せないでいる。