休日だったけど、いつもと同じように朝早くに起きた。

歯を磨いて顔を洗って、服を着替えて身なりを整えた。

そして一服したら、あの子の荷物を整理したのだった。

お化粧道具が入ったバッグや下着、寝間着、

お揃いのマグカップ、お揃いのスリッパ、アルバム、

手紙がたくさん入っている宝箱。

あの子との思い出が詰まっているものを全て紙袋に入れて、

あの子が来るのを待っていた。

 

いや正確には、来ないのを待っていた。

この日が延期を繰り返して、ずっと来ないことを願っていた。

でもそんなことはなく、約束の時間から15分ほど遅れてやって来たのだった。

 

3年間、仲良くやってきたその子は、

充血した目から涙をたくさん流していて、

今まで見たことがないほど悲しそうな顔をしていた。

 

ああ、最後まで、僕はこの子のことを悲しませてしまっている。

子犬のようなクリクリの目が潤んでいるのを見て、

胸が締め付けられるようだった。

 

ごめんなさい。

今まで不安にばかりさせてしまって。

 

きっとこれからも楽しくやれていったはず。

でもそれは、今のままだったらの話。

それを叶えられないくらい、現実には障壁がたくさんあった。

もしかしたら二人が幸せになる方法があったかもしれないけど、

とうとう最後まで見つけることができなかった。

 

トレーの返却口がわからなくて立ち尽くしている姿。

守りたくなってしまうような小柄な体。

小動物のように可愛い寝顔。

色素の薄い綺麗な瞳。

柑橘系の甘い匂いのする髪。

他人の悪口を絶対に言わない硬い口。

一度決めたら頑として曲げない強い心。

誰にも心配かけまいと一人で抱え込む優しさ。

お手本のような綺麗な字。

ササっと作ってくれた美味しいオムライス。

エンドウ豆が入った炊き込みご飯。

みんなに愛されているあなた。

 

その全てがとても愛おしく、大好きでした。

でも、僕たちはここで行き止まりなんだね。

これからは身軽になるから、きっといろんなところへ行けるね。

今までありがとう。そしてごめんなさい。

僕とは叶えることができなかった幸せを、

僕より素敵な誰かときっと掴んでね。

 

3年間、喧嘩もそれなりにしたけど、

一緒に過ごした日々は本当に幸せでした。