本日は蜷川幸雄監督の舞台・彩の国シェイクスピア シリーズより『ヴェニスの商人』のご紹介。


オススメ!!
めっちゃオススメ!!



個人的には大好きなシェイクスピア劇をオールメール(シェイクスピアの時代に合わせ、全ての役を男性が演じている)で見られる素晴らしい作品ということで、もうそれだけでテンションだだ上がり。しかもしかも中村倫也さんの美し可愛いポーシャ(女性役)が見られるということで、これを観るためだけにブルーレイドライバ@10,000円を買いに電気屋に走った思い出(ディスクと合わせて17,000円也)www

【作品紹介】
「自らの目的のためなら悪魔も聖書を引用する」という台詞でも有名なシェイクスピア喜劇。今回は悪名高い高利貸し・シャイロック(市川猿之助)を主役に据えた物語ということで、ちょっと悲劇的な要素もある物語に仕上がっています(そもそもヴェニスの商人ってただただシャイロック気の毒な話だよねー)。


舞台は貿易で栄えた街・ヴェネツィア。大富豪の御令嬢(で、莫大な遺産を相続した)美貌のポーシャ(中村倫也)に求婚しようと考えるバサーニオ(横田栄司)は、高等遊民(いわゆるニート!)。ゆえにまったく全然お金がない!(一応学者で軍人、と紹介されてるけど、少なくとも金遣いが荒く、超絶貧乏らしいww)


というわけで、親友の貿易商・アントーニオ(高橋克実)に結婚資金3000ダカット(よくわからんけど、たぶんとんでもない大金)を借りようとするところから物語は始まります。ところが、生憎アントーニオの全財産は船の上。というわけで、アントーニオは自身の信用を以って(つまり保証人として)借金しておいで、というのですが、バサーニオが金を借りに行った先はなんと高利貸し・シャイロック(市川猿之助)。


シャイロックは無利子で貸し出すことをしぶしぶ受け入れますが、もし返済できない場合はアントーニオの(心臓近くの)肉1ポンドと引き換えだ、と持ちかけます。アントーニオはこれを受け入れますが、なんと彼の全財産を乗せた船が沈み(という噂が流れ)、期日までには返済できない事態に。


倍にして返すというアントーニオたちですが、証文通り肉1ポンドを払え!とシャイロックが譲らなかったため、皆さんご存知「人肉抵当裁判」が始まるのでございます……。


シャイロックはユダヤ人なので、物語の随所にユダヤ人への偏見と迫害が見て取れる問題作(人、といえばいいところをわざわざキリスト教徒とかユダヤ人と言ったり、謎にシャイロックにキリスト教への改宗を迫ったり)としても知られていますよね。



見どころ!



まず。

中村ポーシャ!かわいい!美しい!素晴らしい!(※語彙貧困。)

なんかポップでキュートな立ち振る舞いで劇全体に明るく華を添えている。あの声のトーンでしゃべり続けられるの凄いなぁ。あと侍女!ネリッサ(岡田正)との掛け合い(もはやコント)もテンポが良くて見ていて楽しい。

タイプじゃない求婚者たちについて問われて「あんな奴らやだー(翻訳)」とネリッサに駄々をこねるポーシャさん。
嫌い具合はこちらw

「あれでも神様に作られたのだから人間の仲間に入れてあげましょう」

ひどいww
天然毒舌炸裂www

求婚者が、続々箱選びに失敗するシーンでは、


「深読みしすぎる馬鹿ばっかりww」


と大層お喜びの悪女ポーシャさんw


でもヤな女って感じが全然しない天然感がすごいのだよなー。
(※ポーシャは父の遺言で、銘の入った金銀鉛の三つの箱のうち、正しい箱を選んだ者と結婚しなければならなかったのである)

一方「あのヴェニスの方は?」とネリッサが言った瞬間の、


キャハー!!



……なポーシャさんが可愛すぎて目眩。

お化粧も可憐で、ハイパーぶりっこな表情と上目遣いにヤラレるw

バサーニオに正しい箱を選んでほしすぎるポーシャさんが、バサーニオに「待ってまだ選んじゃやだ!だって間違っちゃったら離れ離れになっちゃうじゃん(翻訳)」と我儘いうシーンではこちらの長台詞w

「もちろん私は正しい箱をお教えできます。でもそうすれば誓いを破ることになる。誓いを破るわけにはいかない。だからお間違いになるかもしれない。そんなことになれば私はいっそ誓いを破ればよかったと罪深いことを願うでしょう。癪なのは貴方の目! その目に魅入られて私は二つに裂かれてしまった。半分は貴方のもの。もう半分も貴方のもの(おいw)。私のものだと言いたいけれど私のものだとしても貴方のもの(支離滅裂w)。だからみんな貴方のもの(もう可愛いから何でも許すw)。嗚呼、嫌な世の中! 持ち主とその権利の間に壁が立ちはだかっている! だから貴方のものも貴方のものではない。もしそうなら地獄へ行くのは運命の女神、私ではありません! ……おしゃべりしすぎました!!」



愛溢れすぎwwwww





続きまして裁判のシーンより。


男装して裁判官に扮するポーシャ。事実関係を改めシャイロックに慈悲を説くが、あくまで「証文通り」を貫くシャイロック。
この裁判官ポーシャは、聡明さの伝わる芯のある声がほんとに素敵。


で、シャイロックに近寄られたり触られたりするとビクついて素に戻るポーシャがまじ可愛いww


アントーニオが刑を受ける直前、バサーニオと抱擁を交わすシーン。
バサーニオ が話の流れで「妻(=ポーシャ)は僕にとって命と同じぐらい貴重な存在だ」とか言うのを聞いては、後ろできゃっきゃと喜び、「でも僕の命も妻もこの世のすべて、君(=アントーニオ)の命に比べればそれほど大切とは思えない」とか言われては「なぬーーー」という顔をしてるポーシャがただただ愛しいww


からの、「抵当はきっかり肉1ポンドなんだから、それ以上でも以下でもダメだぞ。あと証文に書いてないから血も一滴も垂らすんじゃねーぞ。いっとくけど、証文通りにこだわったのはあんただからな!(翻訳)」というやくざな詭弁を持ち出してアントーニオを助ける場面は、もちろん原作通りの見せ場でございます。



男装のポーシャがちゃんと男装してる感があってよいのですよねー。
ちょいちょいポーシャの素に戻って挙動不審なのが可愛すぎる……!!悶絶。
可愛いの類語を誰か教えてくれめんす。


指輪の件でバサーニオに意地悪するポーシャもキュートがすぎるから必見ですよ!!


そうそう!
この舞台、映像がめちゃくちゃ美しいんですよー! 舞台美術きれいー!! 衣装すてきー! 動画のクオリティの高さよ。


さすが巨匠!!


そして主演の市川猿之助さんはじめ、皆さん演技がめちゃくちゃうますぎて、終始引き込まれる!!
シェイクスピア様の素晴らしい台詞の数々が一つひとつ、ずしずし心に刺さるのである。
まじ拍手。

そしてそして、猿之助さんが主演ということもあり、歌舞伎のパロディ的な演出も細々あっていろいろ楽しい(脚本うまい!)。
この異質な演出(つまりこのヨーロピアン劇の中に、1人だけ歌舞伎的な立ち振る舞いをする人物がいるという異質性)がユダヤ人への偏見と迫害を表しているんだろう、と解説されている方がいらっしゃって、


なるほど!!と物凄く納得しました。


私のようにブルーレイを読み込む機械がない方はいますぐヨドバシに行ったほうがいい!
機材を購入いただくところから始めても損はさせない一作!!


中村倫也さんファンじゃない人も絶対楽しめる!!



彩の国シェイクスピア シリーズ、他のも観てみたくなりました。

3時間弱あるけど、その長さを全然感じさせない素敵な作品でございます。


とにかく騙されたと思って見てみてください❤︎




いつになく長いなwww




おわる!!