昨年の春、息子の応援に十勝へ行ったときのこと。
海辺や谷間、平原を走り、美しい景色に見とれながら思った。

北海道の至る所にかつてはアイヌの人々が暮らしてた。

川では鮭やいろいろな魚と穫り、食べるだけなく、鮭の皮で靴も作ったそうだ。

アイヌの人々は、山や自然の中、動物の中に神を見て祈り、周りの動物たちと自然を共有し、生きてきた。
食べ物も穫りすぎることなく謙虚に生きてきたからこそ、何千年にも渡って続けてこられた暮らし。
『アイヌとキツネ』*という本の中で、キツネがアイヌに談判する場面がある。
食べ物は同じ場所に住む生き物が仲良く分け合うように神様が平等に用意してくれているものだからと、アイヌが穫った鮭の中から一尾をきつねが頂戴したときにアイヌの1人が怒って悪態をつき、その言葉が毒となってきつねに鋭く刺さった。きつねはやりきれない思いで、夜中にアイヌの村にやってきて、川越に訴えた。それをひとりのアイヌが聞いて、翌朝みんなに話し、きつねに謝って、またきつねと自然の恩恵を分かち合いながら暮らしたという話。
アイヌの人々も時には過ちを犯しながらも、常に周りの他の生命と対話しながら軌道修正して、自然の中で他の生き物と調和して暮らしてきたのが伺える。
