音楽をする知人が

「絵はずっと残るからいいですね。

 音楽は形がなくて、歌う鼻から消えていく・・・」

と言いましたが、

音楽は、一人ではなく皆と何度でも楽しめますよね。


それとはまた、相反する話ですが

「歳を取ったら、後に残らないものがいい」と

歌を習う人が多いそうです。

大きなモノを残したら、残される人が困るからと。


心配しなくてもいいと私は思います。

長い歴史の中で、必要なものは残りますし

不要ならいつか消えていきます。


人生で、「残るもの」を心配するのなら

はじめから、何をすることも無駄になりますよね。

そんなメッセージは、

若い人たちに伝えて欲しくないと私は思います。

人生に、何も無駄なことはない。

なんであれ、精一杯生きていきましょう。

個人の人生はたったの一度きりです。

でも、思いの遺伝子は生き続けます・・・・

大切なお役目、懸命に生きましょう。


ヘルマンヘッセの晩年の詩。

90歳を超えて人生を悟った彼が

それでも生への意欲を持っていた最後のフレーズが

私は大好きです。


彼を心から尊敬しています。



「老いる」    ヘルマンヘッセ


青年がありがたがるがらくたをすべて

わたしもありがたいと思った

髪型やネクタイや兜や剣

そしてとくに女性たちを


しかし今私ははっきりと見る

老いた少年である私が

もうそれらを何一つ持っていないことを

しかし今私ははっきりと悟る

この努力が賢明であったことを


たしかにリボンや髪型や

一切の魅力あるものはまもなく消え失せる

しかし私がそれ以外に獲得したもの


知恵 美徳 暖かい靴下

ああ それもまたまもなく消えてしまう

そしてこの世は冷たくなる


老いた人びとにとってすばらしいものは

暖炉とブルゴーニュの赤ワインと

そして最後に穏やかな死だ

しかし もっとあとで 今日ではなく!