YRC IMADOKI・REPORT VOL.14(2014年12月3日)

~空き家問題の対応策~ 

現在空き家の増加が問題となっています。総務省発表の平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)によると、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.5%、過去最高を記録しました。(図1参照)
東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)における、過去20年の空き家率の推移は図2のとおりです。全国平均より低いものの、東京圏の人口は2015年の3,590万人をピークに減少し始めると予測されていますので、毎年30万戸前後の新築住宅が供給され続けている現状では、空き家は更に増加するものと考えます。


図1 総務省統計局 平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)



図2 総務省統計局 住宅・土地統計調査資料を基に
山田不動産コンサルティング㈱作成
※グラフの空き家率は別荘などの二次的住宅を除く空き家が対象。

空き家増加の背景
空き家の増加は、日本特有の住宅事情が影響していると考えます。日本の住宅は戦後の住宅不足から高度成長期にかけて、大量に供給されてきました。質より量が求められたのです。長く使用することを想定して造られていない住宅は、修繕を繰り返すものの、経年とともに劣化し、やがてその住宅への需要はなくなります。これには日本人の根強い新築志向も少なからず影響していると思われます。(イマドキ・リポートVol.8参照)
需要のなくなった空き家を簡単に解体出来ない理由は2つ。固定資産税の負担増と解体費です。土地の固定資産税は、住宅用地の場合その土地上に建物があれば、1戸につき土地の面積200㎡までは6分の1になる軽減措置が設けられています。解体費用は一般的な住宅でも100万円以上掛かる可能性があるうえに、解体すると固定資産税が大幅に増加するのでは、建替えや売却の目処が付かない限りそのままにしておきたいと思うのは、無理のないところです。

賃貸住宅の空室も空き家問題を大きくしています。老朽化した賃貸住宅は、入居者を確保するのが難しいうえに、建物の老朽化が進んでいても建替えるのは容易ではありません。契約期間満了で退去する定期借家契約でなければ、家主の都合で入居者を退去させることは出来ないためです。賃借人全員が退去するまで待たなければならず、建替えのためにあえて空室にしているケースも多いのです。


親の自宅(空き家)を相続した場合に、実家を処分する決断がつかず、空き家のまま保有し続けているケースもあります。共有で相続した場合、共有者全員の合意がなければ処分することは出来ませんので、意見がまとまらず、結果として誰も手が付けられない状況で空き家になっているケースもあります。これが一番厄介です。

空き家がもたらす問題とその対策
空き家は周辺の環境に悪影響を及ぼします。火災や防犯上の懸念もありますし、庭木や雑草が伸びて近隣トラブルに発展しているケースもあります。特に、放置され朽ち果てた空き家においては、地震・台風・大雪などの自然災害によって倒壊の危険があり、通行人や近隣住民へ危害が及ぶ恐れもあります。加えて、景観や街づくりへの弊害になり、地価へ悪影響を及ぼす可能性もあります。

そこで国は空き家問題の対策として、「空き家再生等推進事業」を打ち出しました。これは、空き家を再利用したり、あるいは除去して公園にするなど、地域の活性化等に役立てられるための費用を国が一部負担する事業です。また、倒壊の恐れのある空き家については固定資産税の軽減措置の対象から外し、所有者が自主的に解体した場合には期間限定で軽減措置を続ける、とする税制改正が検討されています。

空き家対策に取り組む自治体も増えています。2014年4月時点で全国350以上の自治体が空き家の管理を促す条例を施行、実際に秋田県大仙市では市が強制的に空き家を解体した実例もあります。荒川区では災害時に危険性が高いとされる木密地域の解消のため、木造住宅を所有する人に建物だけを寄付してもらい、区の負担で撤去する制度を2014年10月に設置しました。

木密地域の解消が目的ではありますが、放置されている空き家問題解消にも効果があるのではないでしょうか。

民間企業においては、様々な不動産会社が空き家向けサービス事業に乗り出しています。弊社においても空き家の診断を行い、売却・賃貸・管理等の提案を行っております。実際に、相続で取得した空き家の維持でお悩みのお客様へ、あらゆる角度から最善策を検証し、売却に至った事例や、リフォームして賃貸することを提案し、弊社にて賃貸管理を行っているという事例もあります。

賃貸住宅オーナーにおいても、将来起きる空き家対策は必要です。資産運用や相続税対策のために賃貸住宅を建築、あるいは中古の賃貸用不動産を購入する際に、目先の賃料収入や利回りだけで判断した結果、その後空室に悩む賃貸住宅オーナーも少なくありません。
長く安定的な稼働を続けるためには、地価の動向や不動産市況に加え、その土地周辺を取り巻く環境を含め、将来の賃貸ニーズを捉える必要があるでしょう。



 出所:平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約
/総務省
平成25年首都圏整備に関する年次報告
平成24年度首都圏整備に関する年次報告/国土交通省
平成26年11月25日・11月26日 日経不動産記事